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問題や課題はマトリックスで整理すればすっきりする

フォレスト出版編集部の寺崎です。

月曜日はいつもバッタバタでnoteの投稿が遅くなってしまう体たらくですが・・・それもこれも私自身の「問題解決能力」に問題あるからではないかという気がしている今日この頃です。

問題解決や生産性向上でよく引用されるのが、世界で4000万部以上売れたベストセラー『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)の「第三の習慣」に出てくる「第二領域」ですが、これってみなさん使いこなせていますか?

中尾隆一郎『世界一シンプルな問題解決』より

「緊急ではない」けど「重要」な領域にこそ時間を割くべきだというのでが、これがどうにもいまだに理解できず、実践できません(うまいやり方があったらどなたか教えてください!)。

そんなわけで今日は中尾隆一郎『世界一シンプルな問題解決』から、いますぐ実践できる「マトリックスを使った問題解決法」をいくつかご紹介します。

キャッシュ・カウ( 金のなる木)で捉える

これは個人の問題解決というより、組織の問題解決あるいは事業計画などを考える際に使える考え方です。

「キャッシュ・カウ(金のなる木)」は、世界トップクラスのコンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループが開発した経営戦略策定のための方法であるPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)で使われる言葉です。
 PPMは複数の製品をどのように取り扱えばよいのかについて重要な示唆を与えてくれます。
 あなたが関与している製品、サービスに対して、会社がどのように考えているのかが分かるマトリックスなのです。
 PPMでは、製品・サービスを相対マーケットシェアと市場成長率の2つの軸で次のように4つに分類します。

◎ Star(花形事業):相対マーケットシェアも高く(これが属している)市場成長率も高い
◎ Cash Cow(金のなる木):相対マーケットシェアは高いが、市場成長率が低い
◎ Problem Child(問題児):相対マーケットシェアは低いが、市場成長率は高い
◎ Dog(負け犬):相対マーケットシェアも市場成長率も低い


 Star(花形事業)にあてはまる製品・サービスは、属している市場も伸びているし、シェアも高いので期待できます。投資をすることでさらに伸ばせる可能性があります。だから、これに関連する部署には人・モノ・金といった経営資源を投資します。
 Cash Cow(金のなる木)の製品・サービスはシェアは高いのですが、属している市場の成長が低く、将来に陰りがあります。
 そうなると判断は2つです。再度、成長曲線を描く戦略を実行できるか、それともあきらめてCash Cow(金のなる木)として、可能な限り経営資源を減らし、利益を生み出す製品・サービスと位置づけるかです。
 このCash Cow(金のなる木)の製品・サービスは、かつてはStar だったかもしれません。そのときは経営資源を投資されていたのです。しかし、現在ではCash Cow(金のなる木)なのです。経営判断を間違って投資をし続けると、その投資が回収できません。
 Problem Child(問題児)の製品・サービスは、シェアは低いのですが市場成長率は高い。大半の新製品などがここに属します。市場成長率が高いので、経営資源を投資するか、あきらめるのかの判断が必要です。
 最後のDog(負け犬)は、おそらく負け戦です。これは、撤退する方向を選ぶのが通常です。
 複数の製品・サービスがある場合に、PPMで整理すると、経営資源を投資する優先順位(つまり課題)がはっきりします。

中尾隆一郎『世界一シンプルな問題解決』より

これが正しいSWOT分析

戦略論でよく出てくる「SWOT分析」(SWOT=スウォットと読みます)ですが、これが一般的に間違った形で広まっているそうです。『世界一シンプルな問題解決』では、正しいSWOT分析を紹介していますので、ここでもお伝えします。

「SWOT」は私の大好きな経営学者のヘンリー・ミンツバーグが考案したマトリックスです。知っている人も多いのですが、使った人や使いこなせている人が少ないマトリックスでもあります。だから、使いこなせていれば、これは自慢できます。
 戦略を検討する初期段階に自社の現状把握をするために使うと役立つことが多い考え方です。「SWOT」は、内部要因としての自社の強み(Strength)と弱み
(Weakness)と外部要因としての機会(Opportunity)と脅威(Threat)の4つのキーワードの頭文字からなるマトリックスです。
 SWOTは有名なのですが、間違って使っている人も少なくない残念なマトリックスでもあります。本来は2つの軸で分類する手法なのに、単に内部要因としての自社の強み、弱み、外部要因としての機会と脅威をリストアアップしてSWOTだと勘違いしている人が多いのです。
 図の間違ったSWOTと正しいSWOTを比較してください。間違ったSWOTは、軸は2つあるのですが、書いていることは2つの軸を考慮していないのが分かります。
 間違ったSWOTは単純にそれぞれの軸に関する強み、弱み、機会、脅威を書いて
いるに過ぎません。
 一方、正しいSWOTでは、以下のように2つの軸で4つに分類します。
 
◎自社の強み×機会:強みを活かして機会を捉える戦略
◎自社の弱み×機会:弱みを克服して機会に挑戦する戦略
◎自社の強み×脅威:強みを活かして脅威を避けるための戦略
◎自社の弱み×脅威:弱みを克服して脅威を避けるための戦略


 これら2つの軸の掛け算を考えるマトリックスなのです。これらにより自社の現状を把握をします。戦略を検討する際の出発点として、正しいSWOTは、かなり有効に活用できるはずです。

中尾隆一郎『世界一シンプルな問題解決』より

ジョブズも活用したマトリックス

こうした「マトリックス」で分類して整理する手法は、アップルの救世主であるスティーブ・ジョブズも活用していたことで知られます。

 今では世界有数の時価総額を誇るアップル。
 しかし、その歴史は必ずしも順風満帆ではありませんでした。
 創業者のスティーブ・ジョブズは、自分が三さん顧こ の礼で迎えた人にアップルを追い出されました。
 その後、ジョブズは、ネクスト、ピクサーを大成功させ、アップルに再度CEOとして戻ってきました。
 ジョブズが復帰した当時のアップルは、ビジョンもコンセプトも不明確で、さまざまな商品を開発しては、成功したり、失敗したりという凡ぼん庸ような会社になっていました。
 そこでジョブズは何をしたのか。
 凡庸な商品群を絞ることにしたのです。
 このアップル商品を絞る際に、ジョブズもマトリックスを使いました。
 ジョブズが自社商品を絞り込むために使ったマトリックスは次のようなものでした。
 顧客が「一般向け」か、「プロ向け」かという軸と、「デスクトップ」か、「ポータブル(ノート)」かという形態軸の2つでした。
 当時あった多くの製品ラインナップを次の4つに絞りました。

◎一般向け×デスクトップ=iMac
◎一般向け×ポータブル(ノート)=iBook
◎プロ向け×デスクトップ=PowerMac
◎プロ向け×ポータブル(ノート)=PowerBook


そして、この4つの製品に経営資源(人・モノ・金)を集中投下したのです。
 当時のアップルには多くの製品に投資するほどの余裕はありませんでした。限られた経営資源を特定商品群に絞ることで、再成長のきっかけにしたのです。
 この決断の結果は、みなさんご存じですよね。2022年1月に時価総額が世界初の3兆ドルを超え、話題となりました。世界有数の企業になったきっかけの1つにマトリックスの考え方があったのです。

中尾隆一郎『世界一シンプルな問題解決』より

いかがでしょうか。
みなさんのビジネスに応用できるマトリックスがあるかもしれません。
『世界一シンプルな問題解決』では全部で8つのマトリックス法を解説しています。ぜひ、お手に取ってみてみてください。


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