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【クラウドファンディング】「資金調達」以外の7つのメリット

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

コロナ禍をきっかけに、一気に広がった感のあるクラウドファンディング(クラファン/CF)。なかには、ご自身でクラファンで企画を立ち上げた経験のある方もいらっしゃるかもしれません。

立ち上がっているクラファン企画の大半は、資金調達目的が多いと思いますが、企画者がクラファンで得られるのは、それだけではありません。クラファンを利用すれば、お金以外にもさまざまな副産物を受け取ることができるんです。

今回は、NY在住で、日米のクラウドファンディングについて現場に入って研究、コンサルティングをしているクラウドファンディング研究の第一人者板越ジョージさんが、著書『日本人のためのクラウドファンディング入門』の中で解説している、クラファンの「資金調達以外の7つのメリット」について公開します。

①予約販売サイトとして利用できる

まずは、自分の売りたい商品やサービスが、オープン(販売)前に「予約注文」を取れるという点です。

実は、アメリカ人に「クラウドファンディングって何?」と聞くと、彼らは「ああ、予約販売サイトね」と言います。アメリカ人にとってクラファンとは、予約販売サイトのようにとらえているのです。

私自身も普段身に着けている腕時計は、世界最大のCFサイト「キックスターター」で買いました。木目が好きで、「本物の木を使った時計がないか」とインターネットでサーチしていたら、ちょうどキックスターターで「木材を使った時計メーカーを作る」というプロジェクトが立ち上がっていました。「これ、おもしろい、かっこいい!」と思い、支援、購入をしたのです。アメリカ人にはこのような利用の仕方をしている人が多いのです。

②テストマーケティングが行なえる

クラファンを利用すると、「テストマーケティング」が行なえます。プロジェクトを実行する前に、顧客のニーズを把握することができるのです。そのため、在庫リスクや販売不振を大きく軽減することができます。

言い換えれば、クラファンで人気がないプロジェクトは、たとえ商品化、サービス化しても、そもそも売れない商品、サービスであることが事前にわかるのです。

たとえば、ある商品を世の中に出す場合、販売するまで顧客のニーズはわかりません。商品を出した後に、「あの色がいい」とか、「こういう形がいい」とか、「こういう機能があったらいい」という意見があっても、世に出回ってしまってからではもう遅いのです。

クラファンでは、プロジェクトがネットに公開されると、リアルタイムで支援者から生の声を聞くことができます。情報は不特定多数に公開されているので、幅広いユーザーから直接声を聞くことができます。販売する前の段階で、顧客から直接さまざまな情報を収集できるわけです。

「クーラーボックスの色が、赤でダサイよね。黒もあったほうがいいんじゃない」とか、「時計のバンドは、自由に取り外しができたほうが便利でいいのではないか」などと、販売前に思いもよらない情報が寄せられるのです。

③販売ルートの開拓ができる

通常の販売では、営業マンなどを使って販売ルートの開拓をする必要があります。しかし、クラファンで話題になれば、販売店のほうから直接声をかけてくるケースが多いのです。

伊勢丹などの大手デパート、ドン・キホーテやツタヤなども、CFサイトと提携をして、顧客に人気のある商品をより早く入手したいと考えています。

たとえば、「時計業界に新風を! 日本製のプレミアムな腕時計を1万円台から気軽にカスタムオーダー」というプロジェクトでは、終了後すぐに、渋谷の商業施設ヒカリエの1階正面玄関入口でポップショップの出店が実現しました。大手デパート、小売店などから直接声がかかり、販売ルートを開拓することもできるのです。

④応援者を集めることができる

クラファンを利用すると、お金だけではない応援者が現れる点も大きなメリットです。

たとえば、本を出版するプロジェクトを立ち上げたとします。不特定多数にその活動をアピールすることで、応援してくれる人が現れます。

支援者の中から、「表紙の写真を撮りましょうか」と申し出るカメラマンが出てきたり、「本の販売をお手伝いしましょう」というボランティアが現れたり、「印刷所を紹介しますよ」という業界に精通した人など、さまざまな応援者が現れ、あなたのプロジェクトをお金以外でも支援してくれることがあります。

⑤将来の上客の確保やファンの囲い込み

またプロジェクトを事前に告知するというクラファンの特性上、将来の上客やファンを囲い込むことができます。

たとえば、「渋谷に夜の図書室を! @道玄坂に本と人がつながる場所を作ります」というプロジェクトでは、500円から支援ができ、2014年当時では日本最多支援者数の1737人を獲得しました。8000円からなれる会員権を目当てに874人の支援者を獲得、オープン前から十分な会員数を獲得することができたのです。

このように、プロジェクトを応援してもらう人たちを事前に集めることができます。また、これらの顧客は、オープン前からプロジェクトにかかわっていることから、あたかも自分のプロジェクトのように、「自分事」として愛着を持ってくれます。彼らを後々の上客として見込むことができます。これが、応援者やファンの囲い込みです。

⑥メディアの露出が増える

さらに、クラファンで資金を調達しているということで、普段はメディアなどに注目されないような個人の取り組みが、大手出版社やローカルテレビ局の取材を受けたり、コミュニティで話題になったりもしています。

たとえば、地方の町工場が、「これまでにない新しい商品を作ります!」と言ったところで、なかなか記事にされることはありません。しかし最近では、マスコミも、「なにか新しいネタはないか」という目的で、CFサイトをまめにチェックしています。クラファンで行なっているプロジェクトだと、ある意味、公共性や信用性があり、メディアなどに掲載される可能性が高いのです。

⑦社会的信用やブランド構築に役立つ

公共性に関連しますが、「クラファンでの資金調達には透明性がある」との定評もあり、社会的信用がアップしたという話も聞きます。社会的信用とブランドが構築できるのです。

たとえば、私のプロジェクトは「海外進出を目指す人のための『活動拠点』をNYにつくります!」と、私のことをまったく知らない人に説明をしても、「本当にニューヨークにあるの?」「人が集まっているのだろうか?」などと思われるかもしれません。

しかし、クラファンを利用すると、プロジェクトを立ち上げたときの情報が、その後もネット上にずっと残っています。今でも「グローバルラボ」で検索すると、プロジェクトの詳細がインターネット上で公開されています。

そのため、知らない人でもネットで調べればすぐに、グローバルラボが創設時にクラファンで賑わったのがわかります。見た人は、「ああこんなに支援者がついて、これだけのお金が集まっているんだ」と信用してもらえる要素になります。初めてビジネスを行なう人には、信用性を高める大きなメリットになるでしょう。

図1

いかがでしたか?

このように、クラファンは単に資金調達をする以外に、さまざまな大きなメリットが得られるんですね。隠れた才能やアイデアに光が当たり、社会に大きな貢献をしてくれる可能性を秘めていると思うと、ワクワクしてきます。

『日本人のためのクラウドファンディング入門』では、クラファン研究の第一人者である板越さんが、クラウドファンディングをまったく知らない人、聞いたことがあるというレベルの人に向けて、クラウドファンディングの【潮流】から【超基礎知識】【活用法】までわかりやすく解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。

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