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【お金】たくさん稼いだら、人はお金持ちになるのか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

たくさん稼いだら、人はお金持ちになるのか?

この命題に対して、あなたならどう答えますか?

お子さんがいらっしゃる方は、もしお子さんからこの質問が飛んで来たら、あなたはどう答えますか?

「すぐに使える資産が2000万円以上」が入会基準のコミュニティを主宰、子どものお金教育にも精通している村田幸紀さんは、7月13日発売(Amazonでは7月12日)の新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』の中で、この命題について詳しく解説しています。

今回は、その該当箇所をnote掲載用に一部編集して公開します。

子供には「しっかり稼いでほしい」
と願うけれど……

 親であれば誰もが、大切なわが子に対して「将来お金に困るような大人にはなってほしくない」と願うものです。
 その際、第一に考えるのは、「しっかりと稼げるスキルを身につけてほしい」ということではないでしょうか。
 医者、弁護士などの職業は(子供の人気はともあれ)、「手に職」系の最高峰として親からの人気は高いと思います。また、野球、サッカー、バスケットボールなどのプロスポーツ選手、最近ではプロ棋士も大きな注目を浴びています。「将来、自分の子供が大谷翔平選手や藤井聡太棋士のようになってくれたらいいなあ」などと願う親御さんも多いでしょう。その気持ちはとてもよくわかりますし、お子さんに対する願いを否定するつもりはまったくありません。
 ただ、本書を通じて私がどうしてもお伝えしたいのは、お金を稼ぐことも大事だけれども、それ以上に重要なことがあるということです。
 なぜなら私は、
「驚くほどたくさん稼いでいるのに、お金を全然持っていない人」
 をたくさん見てきたからです。
 その一方で、私の会には、
「世の中のごく平均的な収入なのに、お金持ちになった人」
 が多数在籍しています。
 つまり、「たくさん稼いだら、人はお金持ちになるのか?」という質問に対しては、私ははっきりと「NO」と言えます。

 では、「驚くほどたくさん稼いでいるのにお金を全然持っていない人」と、「世の中のごく平均的な収入なのに、お金持ちになった人」との決定的な違いはいったいどこにあるのでしょうか?
 それは、
「お金というものの本質を理解した上で、お金をコントロール(把握→区別→管理)できたかどうか」
 にあります。
 詳細については本書を通じて順番に解説していきますが、「コントロール(把握→区別→管理)」は本書のキーワードとなりますので、ぜひ頭に入れておいてください。

INとOUTの両方をコントロールする能力

 ひと口に「お金のコントロール」といっても、実はINとOUTのフレームがあります。INは「入ってくるお金」、OUTは「出ていくお金」を指します。
 この両方をコントロールできて初めて、人はお金持ちになれます。
「驚くほどたくさん稼いでいるのに、お金を全然持っていない人」は、INを大きくするスキルは持っているけれど、OUTのコントロールができていない人なのです。

 ……と、ここまで読んでみて、
「INとOUTのコントロールって……。何を今さらそんな当たり前のことを」
 と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 まったくそのとおりです。私は、きわめて当たり前のことをお伝えしています。
 けれども実際、さまざまな大人に、

◎IN
「税金や保険料など払わなければいけないお金をすべて差し引いた『実際に自分の手元に残るお金』がいくらなのか正確に知っているか?」【把握】
「INの内訳を『収入』と『運用』の2つに分けて考えているか?」【区別】

◎OUT
「家賃や住宅ローン、携帯電話代、食費、車の維持費、子供の習い事の月謝などを合計した『毎月の生活費』を算出してみたことがあるか?」【把握】
「OUTの内訳を『浪費』『消費』『投資』の3つに分けて考えているか?」【区別】

 といった質問を投げかけてみると、「知らない」「算出したことがない」「区別して考えたことがない」という答えをもらうことが非常に多いのです。
「実は手元に残るお金がいくらになるのか知らない」という人は、「お金の管理についてはパートナーにすべて委ねている」といった回答や「共働きで夫婦別財布なので、自分のほうはだいたい把握しているが、相手のお金の使い途はまったくわからない」といった回答が多く見られます。
「実は毎月の生活費を算出したことがない」と回答した人には、「では、今月の生活費を算出してみてください」とお伝えします。すると、ほぼ全員が「毎月こんなにかかっていたんですね……。知らなかったです」と驚きます。
 INとOUTの把握・区別をせずに毎日を送っているわけですから、INとOUTを管理することなど当然できません。
 それではお金を貯めることができないのです。

このINとOUTのコントロールについてよりわかりやすくイメージできるよう、村田さんは著書の中で事例を挙げながら解説しています。テーマは、「年収2000万円、貯金ゼロ」と「年収500万円、貯金2000万円」、よりお金をコントロール下に置き、お金のリテラシーが高いのはどっち? です。

【事例】年収2000万円、貯金ゼロ

 1人で年収2000万円を稼ぐのはかなりハイレベルだと思いますが、「夫婦ともに外資系企業など給料の高い職場で働いています」といった感じで、世帯年収2000万円を超えているご家庭は少なからず存在しています。世間で高額所得者に属する人たちです。
 私は仕事柄、このような人たちからも話を聞く機会が多いのですが、驚くのは「金融資産(今すぐ自由になるお金)はゼロなんです」という言葉を、彼らから非常によく聞くことです。
 そこで、彼らにお金の使い途などを聞かせてもらうと、「やはり」という結論に至ります。
 典型的な使い途の1つは、家賃(あるいは住宅ローン)です。
 例えば、月々何十万円もの家賃(あるいは月々のローン)のタワーマンションに住んでいれば、それだけで年間何百万円も出ていきます。また、高い家賃(または分譲価格)の住居に住むと、お隣・近所の方々も、基本的に高所得者です。
 さらに、このような「夫婦ともに高収入」のご夫婦の場合、夫婦ともに高学歴のケースがほとんどです。どちらの学生時代の友人も高所得者ばかりになります。
 そのような環境で暮らしていると、どうなるか?
「最低でもこれくらいのものは……」という感覚が、何においても生じてしまうのです。
「さすがに国産車には乗れないよね」とか、「時計もスーツも安物は身につけられないよね」とか、「子供を公立には通わせられないよね」といった感覚です。わかりやすい言葉で表現するならば、見栄の張り合いのような状態になってしまいます。
 そんなふうに、住居費、食費、車両費、衣服費、遊興費、子供の教育費……などの出費を積み重ねていったら、世帯年収2000万円なのに月々の収支はゼロ、金融資産(今すぐ自由になるお金)もゼロになってしまうご家庭は多いのです。
 このような共稼ぎのご家庭の場合、「財布は別」というケースも多く、「『相手がいくら稼いでいるのか?』『それぞれが何にいくら使っているのか?』は知らないし、干渉もしない」というご家庭も多いのです。
 けれども、自分も相手も稼ぐチカラはあると自負しているし、自分たちの収入は今後も上がっていくだろうと信じているので、ゼロであってもあまり気にしません。
 たとえるならば、「ダブルIN、全額OUT」タイプです。
 良い家に住み、良い車に乗り、良い服を着ているので、まわりの人からは「あのご夫婦は絶対にお金持ちだよね」と羨ましがられるのですが、私の目から見れば、残念ながらお金持ちとは対極の世界にいる人です。
 収入の金額こそ違いますが、「INをすべてOUTに回している」という状況においては、「収入がとても少なく、食費を切り詰めたりして、なんとか毎月やりくりしています」という生活苦の状態とまったく変わりません。
 現在の状況が何か1つでも変わったら(ご夫婦のうちの1人が仕事を辞めなくてはならなくなった、あるいは、かなり年収の下がる職場に移ることになった など)、収支は完全にマイナスになってしまうでしょう。
 仮にマイナスに気づいたとしても、一度上げてしまった生活レベルを下げることは、かなりストレスが大きいため、できないことが多いでしょう。まさに綱渡り状態の毎日なのです。

【事例】年収500万円、貯金2000万円

 先の事例はお金が貯まらない人の例でしたが、この事例はお金を貯められた人です。「金融資産2000万円を貯めるぞ」と決意し、日々の生活の中でさまざまな工夫をしてきた結果、お金を貯めることに成功しています。
 そのような方には、ある特徴があります。
 それは、「お金の使い方に対して明確なビジョンを持っている」ことです。
 私の会の会員の1人から聞いて、「なるほど」と思ったのは、iPhone の買い換えに関する話です。
 その方は、iPhone12が発売されたときに、一瞬「機種変更をしようかな」と思ったそうです。自分の持っているiPhone は8。iPhone12は5G対応だし、写真や動画もきれいに撮れるらしいぞ、と。
 そこで「自分が手に入れたいタイプに変更するといくらくらいかかるのか?」を調べたところ、15万円ほどの出費、割引などを含めても10万円ほどかかることがわかりました。
 その結果、彼は機種変更をやめたのです。
 なぜなら、「10万円を使ってiPhone8から12にアップグレードしたときに得られる満足感」と、「使うつもりだった10万円を使わず、手元に残したときに得られる満足感」を天秤にかけ、後者のほうが、満足度が高いと考えたからです。
 彼は、この一連の行為を「買ったことにした貯金」と呼んでいました。

コントロールに使った「ものさし」

 私が「なるほど」と思ったのは、単に10万円を節約したのではないという点です。
「欲しいけれど、買わずに我慢する」という気持ちで節約に励むと、ストレスがたまり、なかなか続けられません。
 彼はそうではなく、「どちらが自分にとって満足度が高いか?」を比較し、自分の心が喜ぶ方を選んだのです。
 さらにおもしろいと感じたのは、彼が、「手元に残ったiPhone8に対して、以前よりも愛着が湧いたとでもいうのでしょうか。iPhone8は今日も問題なく動いている。なのに、自分の手元には自由になる10万円がある……。心の底から『得したなあ』と思えるんです」
 と話していたことでした。
 iPhone の買い換えはあくまでも一例ですが、金融資産(今すぐ自由になるお金)を2000万円以上所有している人は、こんなふうにお金との付き合い方を上手にコントロールしながら目標を達成している人が多いのです。
 このような人は、たとえるならば、「平均IN、少なめOUT」タイプです。当たり前のことですが、「IN > OUT」の生活を続けるからこそ、お金持ちになれるのです。

「平均IN、少なめOUT」タイプの弱点

 ただし、うまくお金を扱えているこのタイプにも、1つだけ弱点と言える傾向があります。それは、「OUT下手」という点です。
 詳しくは別項目でお伝えしますが、OUTの内訳には「浪費」「消費」「投資」(自己投資を含む)の3つがあります。同じOUTであっても、極力抑えるべき浪費や消費と異なり、投資(自己投資)はしかるべきタイミングで行なうべきです。
 投資をして「お金に働いてもらう」ようにしなければ、お金をさらに増やすことはできませんし、自己投資をしなければ、自分自身を成長させることができないからです。
 つまり、「貯める」ばかりで「使う」ことをしないと、次のステージには行けないのです。
 その貯めるだけの状態では、今は「小金持ち」とは言えますが、経済的自由を手にすることは難しいですし、将来もお金持ちでいられるかどうかはわかりませんよ……。
 OUT下手の方に、私はそんなふうにお話をすることもあります。

今回ご紹介した新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』(村田幸紀・著)は、

◎「お金の教育」とは、何を教えることなのか?
◎クリスマスプレゼントの先渡しOK?
◎お小遣いは、いつから渡し始めるのがいい?
◎お小遣いのあげ方4パターンと、メリット&デメリット
◎効果バツグンの「お小遣いのあげ方」
◎親がお金を出してあげる範囲
◎親が絶対にやってはいけない2つのNG行動
◎こんなときどうする? 子供間でのお金の貸し借り
◎「テストで良い点取ったらお小遣いちょうだい」と言われたら……

などなど、子供のお金リテラシーを上げるお小遣いのルールはもとより、親の不安や疑問も具体的に答えた「子供のお金教育」の決定版的な1冊となっています。7月13日(Amazonは7月12日)より発売開始です。興味のある方はチェックしてみてください。

▼関連記事はこちら(同書の「はじめに」を全文公開しています)



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