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『HubSpotワンストップマーケティング』序文全文公開

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先日、とある大学3年の学生さんと話していて、「コロナ禍の大学生はかわいそうだなぁ・・・」と思ったことがありました。

それは「コロナでろくに大学生活を謳歌できないまま、就職活動がスタートしてしまうこと」でした。大手出版社のエントリーシートの提出の〆切が2月の頭で、そこから本格的な就活が始まるそうです。

よくよく聞けば、大学に入学したものの、授業はオンライン、飲み会もできなかっため、同級生と親しくなる機会が少なかったとのこと。

ちなみに、マイナビが日本経済新聞と連動して調査している、文系学生向けの人気企業ランキングTOP10をみてみましょう。

第1位 JTBグループ
第2位 全日本空輸(ANA)
第3位 東京海上日動火災保険
第4位 日本航空(JAL)
第5位 オリエンタルランド
第6位 伊藤忠商事
第7位 ソニー
第8位 味の素
第9位 ニトリ
第10位 ソニーミュージックグループ

旅行代理店と航空会社がTOP2に入っているのが、意外です。コロナ禍で大変な業界なのに・・・これホントなのかな!?

伊藤忠商事以外はどれも一般消費財として触れる商材を扱うBtoC企業です。学生の身分だと、なかなかリアルなビジネスに触れる機会がないため、こういう人気ランキングになるのはいたしかたないでしょう。

さきほどの出版業界志望の学生さんも「第一希望はマンガ編集者、第二希望は雑誌が好きなので雑誌にいきたいです」と言っていて、業界事情を知るオッサンからしたら「雑誌が売れないで困ってるのに・・・」と頭抱えてしまいました。

そんなオッサンからしたら、名の通った企業ではなく、一般消費者には無名だけど、その業界ではトップクラスの優良企業に目を向けた方がいいだろうなぁと思いました。

たとえば「BtoB」の業界です。BtoCはこれまでの大量生産・大量消費の文脈で成長してきた産業です。とにかくスケールをデカくして数と量を売ることを目指しますが、いかんせん日本はどんどんこれから人口が減る国。将来性を考えると、不安です。

一方、BtoBは(これはECのカテゴリーですが)市場規模がBtoCよりも大きく上回り、経済産業省が令和2年7月に発表した、令和元年度の電子商取引(エレクトリックコマース)の市場調査に関する報告書によれば、日本国内におけるBtoB-ecの市場規模は352兆9620億円に上ります。

ただし、企業間取引であるBtoBですから、あまり世の中的には表に出てきません。ましてや、学生さんにはさっぱりわからない世界でしょう。

BtoBが伸びているのは、ITインフラのコモディティ化(汎用化)、働き方改革(≒営業スタイルの変化)、MA(マーケティングオートメーション)の普及、DX改革といった背景があるかと思います。

先日もあるBtoBマーケティング会社の資料をダウンロードしたら、ちょうど資料を読み終わったぐらいのタイミングで、その会社の営業マンから電話がかかってきて「おぉ・・・すごいタイミングだな」と思いましたが、おそらく資料をダウンロードするとMAで自動的に営業担当に連絡がいく仕組みになっているのでしょう。

MAはこれまで各マーケティングファネルに応じたものとしてSalesforce.comやMarketoといったツールがありましたが、マーケティングファネルの上流から下流まで一気通貫で扱えるツールがあるのをご存じでしょうか?

それが「HubSpot」です。

全世界120ヵ国、12万8000社が導入するHubSpotですが、日本国内ではいまいち地味な存在。ところが、最近では国内BtoB企業のHubSpot導入が増えているそうです。

なぜか。

そんな秘密を明かしつつ、HubSpotを活用したマーケティングの指南書が本日発売となりました。

その名も『HubSpotワンストップマーケティング』です。

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著者はHubSpot導入支援の最強集団と呼ばれるクリエイティブホープ。現場のナレッジを凝縮して初公開しました。

今日は発売を記念して「序文」を全文公開します。

『HubSpotワンストップマーケティング』序文


「自力でBtoBマーケティングを実践しているがなかなか成果が出ない」
「マーケティング部門が創設されリーダーに抜擢されたのだが、営業部門から期待されていないと感じる」
「成果拡大のためにデジタルマーケティングツールを導入したいが、何に着目して選んだらよいのかよくわからない」

 これらは多くの企業、特に伝統的な大手企業からよく伺う声です。
 私たちは、HubSpotを用いて、実践型のBtoBビジネスコンサルタントとしてマーケティングとセールスの成果向上を支援してきました。
 伝統ある大手企業からこれから成長していくベンチャー企業まで数多くのクライアントと会話する中、冒頭に挙げた悩みを口にするマーケティングリーダーが少なくありません。
 またHubSpotのパートナー資格を持つWeb制作会社やコンサル会社からも、クライアントがこうした課題を抱えているので力を貸してほしいと言われることも多いのです。
 
 BtoCに関してはナレッジも多く、マーケティングが実践しやすい環境が整っているように感じます。実施することは明確ですし、Google アナリティクスをはじめとして必要なツールを使いこなしている企業が多いのではないでしょうか? 
Webで収集したデータを活用して、リマーケティング広告を打つなどといったマーケティングも普通に行われています。何よりも情報も指南書も巷に溢れかえっています。
 対してBtoBマーケティングは未開拓の部分が多く、とたんにやり方がよくわからないという話になるのです。
 日本企業、特に大企業でBtoBマーケティングがうまく行っていない理由の1つは、法人営業部門が強すぎるからです。消費者を相手にするBtoCマーケティングと違って、法人相手のBtoBマーケティングに関しては、営業部門が主体となって行っていました。
 しかしそのマーケティングは、高度成長期の成功体験に基づくものであり、デジタルを活用する最新のBtoBマーケティングとはかなり性格の違うものでした。
 つまり日本企業、特に大企業の多くはいわゆる「BtoBマーケティング」の経験がほとんどないのです。そのためBtoBマーケティングを理解し、そのための方法論やツールを使いこなしている人材が全くと言っていいほどいません。
 ではどうすればよいのでしょうか?
 日本のBtoBマーケティングは海外に後れを取っています。海外では、マーケティング、セールス、サポートの大きく3つのフェーズを連続したものと捉えながら、それぞれを専門要員が役割分担をして進めていきます。いわば、点でなく面としてマーケティングを俯瞰するという考え方です。この「面のマーケティング」が日本ではこれまであまり行われてきませんでした。マーケティング部門、営業部門、サポート部門で別々の施策、すなわち点の施策を行う企業が多いのです。
 面として俯瞰する方式が優れていることは、日本のメーカーが作る製品が相変わらず世界でトップレベルの品質であるにもかかわらず、海外企業に売上の面で後れを取っているという事実が物語っています。
 日本企業はシステムを自社向けにカスタマイズすることを好みます。しかしマーケティングで負けているのであれば、自社のマーケティングに合わせてシステムをガチガチに作り込むより、海外のマーケティング標準を取り入れたシステムに自社のマーケティングを合わせるほうが絶対に有利なはずです。
 私たちはこうした考えに基づき、マーケティング、セールス、サポートを一元的な顧客情報管理(CRM)に基づいたデータベースに連携した「HubSpotCRMプラットフォーム」(以下HubSpot)を推奨し、導入サポートのコンサルティングを通じて、多くの企業のBtoBマーケティングを支援してきました。
 本書はHubSpotを通して、どうすればBtoBマーケティングを実施することができるかを説明する「BtoBマーケティングの指南書」です。しかしながら、HubSpotのマニュアルでもガイドブックでもありません。したがってHubSpotの操作や使いこなし方を知りたいのであれば、本書を選ぶのは適切ではありません。
 私たちはHubSpotを販売していますから、もちろん宣伝したい気持ちはあります。ですがHubSpotを取り上げる理由は、それがBtoBマーケティングを説明するための材料として最適と考えるからです。それぐらいHubSpotはシンプルに、BtoBマーケティングの真髄をシステム化したものだと言ってよいでしょう。
 HubSpotの機能について述べている箇所もありますが、それよりもHubSpotでマーケティング組織やセールス組織がどのように変わったかに注目してください。そこに貴社の進みたい方向が示されているのであれば、ぜひ実践を検討してみてください。
 本書によってモヤモヤを抱えているマーケティングリーダーやマーケターが晴れ晴れとした気持ちになるのなら、それに勝る幸せはありません。またHubSpotパートナー資格を持つ方がクライアントの課題解決に役立てていただければという気持ちもあります。
 ぜひご活用ください。
 本書はBtoBマーケティングの指南書ですが、もう1つ大きなねらいがあります。それはデジタルマーケティングをDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のきっかけにするということです。マーケティングはビジネスの1つの柱であり、ビジネス戦略を実現するために欠かせない営みです。そのマーケティングの本格的なデジタル化に取り組むことは、DX推進の中心的な活動の1つになり得ます。マーケティングのデジタル化なくして、企業のDX推進はあり得ないと言っても過言ではないでしょう。
 マーケティングのデジタル化の取り組みを通じて、読者のあなたにもDX人材になっていただきたいと願っています。これからの企業を支えていくのはDX人材であることは間違いありません。
 DX人材と聞くと、データサイエンティストやITエンジニアをイメージするかもしれませんが、マーケターやマーケティングリーダーもDX人材になることは可能です。むしろマーケティング部門にDX人材がいない企業は、今後衰退していくと私たちは考えています。
 どうか本書をきっかけにDX人材となり、あなたの会社はもちろん、これからの日本を支えていく役割を担っていただきたい。そう願ってやみません。





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