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親が遺した、思い出の詰まった実家を活用するか? 売るか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
実家の「空き家」を相続することになったら、あなたはどうしますか?
 
放置しているだけで、年間コスト50万円(月4万円)以上かかります。毎年50万円垂れ流しというわけにもいかないでしょう。法律も厳しくなり、管理不行き届きの空き家に対しては、税金控除を外したり、行政執行で取り壊して、取り壊し費用全額負担を相続した空き家オーナーに課すことも考えられます。

なにかしらの対処をしなければと考えて、貸すといっても、借り手が出てくるのか不安。活用しようと思っても、現在のライフスタイルから考えると現実的ではない。じゃあ、売りに出してみようと思っても、親がせっかく遺してくれた、思い出が詰まった実家を簡単に売り出すなんて、親に申し訳ない……。
 
さあ、あなたならどうしますか?
 
空き家・古家再生のスペシャリストである三木章裕さんが、7月23日発売(Amazonは7月21日より先行発売)の新刊『実家の「空き家」超有効活用術』の中で、まさに、相続した実家を活用するか、売るかに悩む人の事例を交えながら、解決するヒントを解説しています。
 
今回は、同書発売に先立ち、このnoteで特別に、同書の中から該当箇所を一部編集して全文公開します。


【事例】親が遺した、思い出の詰まった実家を活用するか? 売るか?――竹本さん(仮名)の場合

 先日も、私はある相談を受けました。
 講演後に突然、「先生なら私の親の家、どうしたらいいと思います?」と問いかけられました。
 竹本さん(仮名)は、前日夜も、奥さんと2人で家族会議でした。
 竹本さんは、子供の頃からの思い出の詰まった実家を、できれば売らずに活用したいと考えていました。
 一方、奥さんは売却して、高校生と大学生の子供の学費に補填したいと主張しました。確かに、今から子供たちの教育費に一番お金がかかる時期です。また、学資ローンでの破綻の話も耳にしますので、できれば、子供たちに余計な借金を背負わせたくないという思いもありました。
 そこで、空き家や古家を再生させて活用している先生の講演を聞いてから判断しようと、ここに来たとのことでした。
 私は、竹本さんに「どうするかの考えはまとまりましたか?」と聞きました。
「いや〜、先生の話を聞くと、相続された物件を、高利回りで活用されている事例を見て、売らないで持っておきたい気持ちも出てきましたが、私の友人の税理士さんは売却をすすめるので余計に混乱しています」と言います。
 そこで、「では、頭を整理するために、4つのパターンを考えてみましょう」と、竹本さんに質問しました。
 
「売ることは考えましたか?」
「使うことは考えました?」
「住むことは考えましたか?」
「貸すことは考えましたか?」
 
 すると竹本さんは、こう話し始めました。
「売却」については、友達の税理士さん相談すると、1981(昭和56)年5月31日以前に建築されている家なので、売却にあたり、2027(令和9)年末までは、相続人でも譲渡所得の3000万円の特別控除の特例を受けることができる。なので、売ったほうがいい、との助言があったようです。
 しかし、周辺も空き家が増えており、簡単に売れそうにない感じです。
 竹本さんは続けます。
「実家なので、『家族で住んでみようか』とも考えましたが、実際、私の仕事や妻の仕事、子供たちの学校のことも考えると、ここに住むことは難しいだろうと思っています。何か自分たちで活用もできないかとも思いますが、私も妻も勤め人なので、この実家を利用して、事務所や店舗にすることはありません。
 住宅として賃貸するにしても、周辺にこれだけ空き家が増えて、住む人が減っている中で、借り手がつくかどうか、心配です」
 こんなふうに考え出すと、いったいどこから取り掛かったらいいのか、皆目見当がつかず、考えがまとまらないどころか、問題を思い出すたびにストレスになってしまうと言います。
 私は、「竹本さんがどう判断するかの優先順位がはっきりしていないので、どれも迷うために混乱してしまっているのです」とお伝えしました。
 竹本さんは、私に「どう考えるかの優先順位ってあるんですか?」と怪訝な顔をされたので、少し整理しながら話をしました。
 せっかく親が残してくれた財産で、いっぱい思い出も詰まったお家でしょうが、ここは、
「相続した人に財産価値としてどれだけ多く残るのか?」
 を考えればいいと思います。

「財産価値」という物差しで考えてみる――空き家にかかる譲渡所得の「3000万円の特別控除」のメリットを見逃すな

 財産価値として金額に置き換えて考えるといいでしょう。
「この時点で一番お金として残るのは?」
 という基準で考えるわけです。
 今回は、もし3000万円の特別控除が使えるなら、売却するのが一番お金が目減りせずに相続人に入ることになります。
一般的な売却なら、売却価格の20%ほどが譲渡税として課税されます。
 たとえば、竹本さんが売却するなら、1800万円くらいかなと言っていたので、数字でざっくり計算すると、建物解体費や測量費、売買手数料などの売却諸経費を引いて1500万円(譲渡所得)が残ったとしましょう。
 一般的な(長期譲渡)で特例を使わない場合は、1500万円なら300万円ほどの税金がかかります。1200万円ほどの手残りです。
 でも、特例適用なら、その課税所得が3000万円までかかりません。手元には1500万円ほどの手残りです。
 ということは、300万円ほどが余分に手元に残るわけです。
 例えば、賃貸で毎月の5万円の家賃で貸せるとすると、節税分300万円でさえ賃料収入で得るのに5年間かかってしまいます
 長期の賃貸経営を続けないと、なかなか売買で得られるような金額にはたどり着きません。
 では、住む場合はどうでしょう。
 自分が住めば、現在住んでいる家賃や住宅ローンの負担も減りますので、これも金銭的なメリットは出ますが、やはり売却のように一気にまとまった資金にはなりません。
 特に、今回の相続人の3000万円の特別控除を受けられる場合は、一度誰かに賃貸してしまうと認められません。
 ここは、重要ポイントです。絶対に忘れないでください。
 相続したら誰にも貸さずに売却に回すのが一番優先的な対処法です。

※竹本さんは、最終的にどのような判断を下し、解決したのか? その答えは新刊『実家の「空き家」超有効活用術』でご確認ください。

【著者プロフィール】
三木章裕(みき・あきひろ)
収益不動産経営コンサルタント。一般社団法人日本不動産コーディネーター協会理事長。一般社団法人全国古家再生推進協議会顧問。指導先の資産形成額が300億円以上にのぼる、不動産による資産づくりの専門家。
バブル絶頂期には不動産仲介で、1人で1億円以上稼ぎ出し仕事や遊びを謳歌するも、バブル崩壊とともにほとんどの資産を失い10数億円の借金を背負う。しかし、代々大阪商人の家系に育ち、言い伝えられた商人道と蓄財術を活用して復活を図る。
「不動産投資は一部のお金持ちのものでない。すべての人が経済的自立をするために、もっと取り入れるべきだ」という理念のもと、一般のサラリーマンでも無理なくできる資産形成としての不動産投資のノウハウを伝授している。特に、現在は全国に1000万戸を超えるといわれる「空き家」を活かして手軽に収益化するノウハウを提供。「空き家」という社会問題の解決し、住まいを確保することが困難な人々と投資家をマッチングして、たくさんの人を豊かで幸せにすることをミッションに日々邁進している。大阪商人に口伝で伝わった「長者教」伝承者。喜ばれる大家の会事務局長。著書に『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』『儲かる! 空き家・古家不動産投資入門』(以上、フォレスト出版)などがある。

いかがでしたか?
 
何もしなければ金食い虫となってしまう実家の「空き家」ですが、上手に活用すれば金食い虫どころか、所有者にお金が残る、資産として潤してくれる“富動産”に変わるお宝になります。
 
【売る】【使う】【住む】【貸す】――。
 
日本で随一の古家・空き家再生、利活用のスペシャリストが、「負動産」を「富動産」に変える4つの目的別対処法をわかりやすく解説した新刊『実家の「空き家」超有効活用術』は、Amazonでは7月21日から先行発売、全国書店では7月23日より順次発売されます。興味のある方はチェックしてみてください。

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▼新刊『実家の「空き家」超有効活用術』の「はじめに」「目次」の全文が読めます。

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▼今回紹介した新刊『実家の「空き家」超有効活用術』についてトークしたVoicy音声はこちらです。

 
 
 

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