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全ビジネスパーソンが知っておきたいKPIマネジメントのツボ

フォレスト出版の寺崎です。

今日は以前ご紹介した「年収が上がる実践ビジネススキル①の第二弾です。今回のテーマは「KPI」。KPIマネジメントは経営者のためと思われがちですが、部署レベルでも、はたまた個人レベルでも応用できる考え方です。ひとりのビジネスパーソンが「経営者目線」で仕事することは、「年収をUPさせるスキル」として重要です。

そもそもKPIって何ですか?

KPI=Key Performance Indicator

「ケーピーアイってよく聞くけど、なんのこと?」と思った方は本稿で「なるほど、そういうことか!」とご理解いただけるかと思います。

それでは、参りましょう。テキストブックは『最高の結果を出すKPIマネジメント』(中尾隆一郎・著)です。

「先輩、ケーピーアイって何ですか?」
 
 後輩に聞かれました。
 さて、あなたは、何と答えますか?
 講座の初期は、ヒントなしでこの質問をしていました。
 ところが、質問に対する回答が芳かんばしくないのです。
 例えば、当時の回答の一例を挙げると――

「事業を数字で見ること」
「たくさんの数字を管理すること」
「売上や利益のこと」


――といった回答が大半でした。
 もしかすると、この本を手に取られた方の中にも、これらの回答が正解だ
と思う方もいるかもしれません。

KPIって・・・いろんな数値をあれこれいじるイメージがあります。「事業を数字で見ること」は正しいように思えますが、違うようです。

誤って理解されがちな「KPIの定義」

 詳しくは後述しますが、「事業を数字で見ること」や「たくさんの数字を
管理すること」はKPIマネジメントではなく、単に数値でマネジメントし
ているわけですから、Indicator マネジメントです。
 KPIの「K」と「P」、つまりKey Performance の部分が、すっぽり抜け落ちているのです。
「売上や利益のこと」という回答は、KGI(Key Goal Indicator)のことを指しています。KGIとKPIのつづりを比較すると、中央のP(Performance)とG(Goal)の一文字が異なっています。
 つまり、KGIは最終的な目標数値を表現しているのです。
 もちろん、きちんと説明できる人もいるのですが、数値マネジメントやKGI(Key Goal Indicator)と混同した回答が目立っていました。
 そこで、講座スタート3年目くらいから、次のような「ヒント」を加えました。

   KPIは「Key Performance Indicator」の略
   Key performance は「事業成功の鍵」
   Indicator は「指標・数値目標」

 このヒントを付加すると、正解率は大きく上がりました。
 そうなのです。下の図を見てください。

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 KPIとは、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したもの。
 簡単ですね。
 そして、この単純で簡単な一文にKPIのすべてが詰まっているのです。
 最大のポイントは、事業をただ「数字」で見るだけではなく、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」として見ることです。
「事業成功」「鍵」「数値目標」と3カ所を「 」にしているのはそういう意味です。大事な部分を強調しているのです。
 つまり、KPIマネジメントをしているということは、「『事業成功』とは何か分かっているのか?」ということを問いかけています。
 つまり、「事業成功」が何なのか分かっていないとKPIマネジメントは始まらないのです。
 また、重要な鍵は1つなので、たくさんの「数値目標」を見ているのもKPIマネジメントではありません。この「1つ」というのは、後で詳しく説明しますが、とても重要なキーワードです。

まず、「KPI」と「KGI」がまったくの別物であること、KPIは「ひとつ」であり、たくさんの数値目標を設定するのは「KPIマネジメント」ではないということがわかりました。

まずは覚えておきたい3つの登場人物

さらにKPIマネジメントには3つの重要な要素があるそうです。

 KPIについての全体像を図で説明しましょう。
 主要登場人物は次の3つ。

 ①KGI(Key Goal Indicator)=最終的な目標数値
 ②CSF(Critical Success Factor)=最重要プロセス
 ③KPI(Key Performance Indicator)=最重要プロセスの目標数値

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 上の図の左右は時間軸を表しています。左端は「現在」あるいは、「期初」そして右側が「未来」あるいは「期末」を表しています。つまり、左側から右側に向かって時間が流れていきます。
 ちょうどゴールのマークがあるところが、「期末」のタイミングですね。会社によって半年後だとか1年後のことです。
 ゴールの横にKGIがあります。主要登場人物の1つめです。
 KGIはKey Goal Indicator の略で、最終的に期末に到達したい最も重要な数値目標のことです。一般的には、企業全体であれば利益などの数値目標がそれにあたります。
 営業組織であれば売上目標数値などが、あるいは事業開発であればユーザ数などの目標数値などがKGIにあたります。
 KGIは期末終了時に到達したいゴールの数値のことです。わざわざゴールの話から始めているのは、しばしば関係者間でこのゴールの認識がずれていることがあるからです。

なるほど!
これで「KPI」の位置づけがかなりはっきりしてきましたね。ただ、関係者間でゴールの認識がずれることがある・・・とは、いったいどういうことでしょうか?

関係者間でゴールの認識がずれるのはなぜか?

 ゴールの認識がずれるのは2カ所で起きがちです。
 1つめは、そもそもゴールそのものがずれるケース
 つまり目指しているものが何なのかがずれるケースです。例えば、私たちの最終ゴールは利益なのか、売上なのか、ユーザ数なのかが関係者間でずれているのです。
 この状態を旅行でたとえることがあります。
 ゴールは、旅行でいうところの「行き先」です。フランスに行くのか、ハワイに行くのか、はたまた国内で福岡に行くのか、福島に行くのか、行き先が違っていたら、旅行計画は作れません。
 信じられないかもしれませんが、実際の旅行計画で行き先が違うケースはまれですが、ビジネスのゴールについては、関係者間で確認していないケースが少なくありません。
 もう1つは、数値がずれるケースです。
 同じゴール、例えば「ゴールは利益」と合意を得られていたとしても、利益目標数値が異なることがあるのです。特に最低限の目標数値と、可能であれば目指したい目標数値などがある場合は、要注意です。
 これも旅行にたとえると、旅行日程が異なるケースです。5泊なのか6泊なのか、あるいは予算などがずれるケースです。関係者間で旅行費用のみで考えている人と現地でのコストも含んで考えているケースなどです。
 2つのずれをなくすためには、当たり前ですが、関係者間で事前に確認することが必要です。
 ゴールと数値目標。
 旅行にたとえると、行き先と旅行日程、あるいは予算を確認して合意を取る必要があります。

たしかに、考えてみたら「我々のゴールは何か」をキチンと話し合ったことはないかもしれません。ここはひとつ、周囲との差をつけるために「経営者目線でのKPIマネジメント」を実践したいところです。

ところで、たびたび出てくる「CSF」とはなんなんでしょうか?

CSFは「最重要プロセス」

 ゴールが何か、その数値目標はいくらなのか、確認して合意が得られると、次は主要登場人物の2つめのCSFです。CSFはCritical Success Factor の略です。直訳すると「重要成功要因」。
 事業成功のポイントを表しています。
 KGIを達成するためには、やらなければならないプロセスがたくさんあります。その中で、最も重要なプロセスのことです。プロセスですので、結果であるゴールではなく事前に実施する内容のことです。
 例えば、営業組織であれば、売上というゴールの前に、その売上を上げるために行う顧客訪問や提案活動などのプロセスを指します。つまりCSFをきちんと実行していれば、結果としてゴールにたどり着けるプロセスがCSFです。
 また、プロセスなので、現場がコントロールできるものである必要があります。現場の努力で変化するプロセスであることは必ひっ須す です。
 そのプロセスの中で、最も重要なプロセスを1つ選択します。
 それがCSFです。

CSFとは設定したKPIの数値目標を実現させるための「業務プロセス」というわけです。とくにもっとも重要なプロセスを1つ選択します。上記では営業組織を例にしたCSFとして「顧客訪問」「提案活動」が挙げられていますが、業態が変われば、KPIもCSFもさまざま。

そこで、本書『最高の結果を出すKPIマネジメント』では「第4章 さまざまなケースから学ぶKPI事例集」に11のケースが分析されています。

最後に「KPIとはなんぞや」という話に戻ります。

KPIはCSFを数値で表したもの

 そして3つめが真打登場。KPIです。Key Performance Indicator です。
 KPIは、2つめの登場人物であるCSFを数値で表現したものです。
 つまり、最も重要なプロセスであるCSFをどの程度実施すれば、期末にKGIが達成できるのかを表す数値がKPIです。逆に表現すると、期末時点でKPIを達成していれば、結果としてKGIは達成できているといえます。下図に三者の関係を示しました。

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 KPIについてまとめます。
 KPIはKGIの先行指標で、(現場がコントロールできる)プロセス指標で、CSF(事業成功の鍵)の数値目標です。
 KPIに加えて、KGIやCSFという言葉が出てきて混乱したかもしれないですが、ここでは最低限、KPI以外に大事な言葉が2つあることを覚えておけば大丈夫です。

以上、いかがだったでしょうか?
冒頭の質問「先輩、ケーピーアイって何ですか?」と聞かれた場合にサクッとシンプルに回答できるようになったのではないでしょうか。

今回の解説は「KPIマネジメント」のほんのさわりの部分です。詳しくは中尾隆一郎『最高の結果を出すKPIマネジメント』をご参考ください。

現在、こちらの本の実践編として『最高の結果を出すKPI実践ノート』(2020年8月発売予定)を鋭意編集中です。ご期待ください!

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