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仕事の生産性を劇的に上げる方程式

フォレスト出版の寺崎です。

これから夏のボーナスのシーズンです。今年は外出自粛による経済的な影響でボーナスの金額が下がるんじゃないかと、戦々恐々としているビジネスパーソンも多いかもしれません。

一方では、このご時世、入社したものの新入社員研修ができないといった問題もあるようです。

そこで、私たちはビジネス書版元ですから、ビジネスパーソン向けの情報を日々お届けしなければならない(!)との使命のもと、過去に担当した書瀬からとっておきのビジネススキルを複数回にわたってご紹介します。今回はリクルート・グループで活躍された中尾隆一郎さんの『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』から、選りすぐりのビジネススキルをお届けします。

生産性を上げる方程式とは?

「生産性向上」と叫ばれてからずいぶんと経ちますが、「生産性ってなんですか?」と問われて答えられる人はどれほどいるでしょうか。

じつは「仕事の生産性」はきわめてシンプルな式で表現できます。

 仕事の生産性は「成果(物)÷かかった時間」という式で表現することができます。いわゆるROI(Return On Investment:投資対効果)です。ここでいう投資とは時間やお金のことを指します。この生産性を表しているROIは分数として表現されていますので、生産性を向上させる(=分数の値を大きくする)ためには次の3つの方法があります。

① 分母にあたる「かかった時間」を小さくする
② 分子にあたる成果(物)を大きくする
③ ①②とも行う


 つまり、少し乱暴に言うと、成果(物)を大きくすることができれば、少しくらい時間がかかってもROIは大きくなるということです。

①の「かかった時間」を小さくするのはイメージしやすいですね。3時間かかっていた仕事を1時間で終わらせる=生産性向上というわけです。時短=時間を有効に使う方法を追求するという生産性向上策です。

分子を大きくしてROI を簡単に高める方法

一方、「分子にあたる成果(物)を大きくする」とはどういうことでしょうか? 詳しくみていきましょう。

 例を使って説明しましょう。
 ある顧客から「○○についての現状」を調べて欲しいと言われました。見積もるとおおよそ1時間程度の仕事です。1時間かけて、依頼された顧客に資料を提出します。顧客は内容も適切であり、時間も速くて喜んでくれました。これで一件落着となるのがよくある仕事風景ではないでしょうか。
 その際に、このROIの式を思い出して、次のように考えてみてください。「この資料を少し加工して提供すると喜んでくれる他の顧客はいないだろうか」と。
 例えば、あと30分かけて資料を加工することができれば、資料作成の依頼をしてきた会社を含んで3社に資料提供ができるとします。すると生産性はどのようになるでしょうか。
 当初の生産性は1社の資料に1時間かかったので、 

1社÷1時間=1社/時間

となります。
3社に提供した場合の分子は3となり、分母は30分増加するので、

3社÷(1時間+30分)=2社/時間

となります。
 すると、当初の生産性1に対して、1時間に加工時間の30分を加えても、分子が3になっているので、ROI=2と当初の2倍になるのです。
 しかも、当初の1社以外の2社に対しては、「貴社が、このような資料が必要ではないかと思い作成してみました」と資料を提供できるわけです。
 これが案外重要なのです。顧客から見ると「いつも当社のことを考えてくれている企業(あるいは営業)だ」とあなた(の会社)の評価も向上するわけです。結果として取引増加のきっかけになったりします。

なるほど! ROIで分析してみると、とてもシンプルです。これはさまざまな業種にも応用できる考え方ですね。

つねにROIを意識して仕事をすればグンと差がつく

リクルート・グループで活躍された著者の中尾さんは、この「ROI仕事術」でどんどん業績を挙げることができたそうです。

 私は営業職時代に、よくこのROIを意識して仕事をしていました。
 例えば、横浜市の中区にある従業員3000名規模の日立関連のソフト会社(私の担当エリアは横浜市で、市内には多数の日立関連企業がありました)から資料作成の依頼がきたとします。
 その際には、4種類の切り口で資料を他に転用できないかを意識していました。4種類とは、担当顧客の「規模」「地域」「業種」「関連」です。このケースでは、私の担当企業で、「同規模の従業員3000名前後で、この資料を必要とする企業はないか」と考えるわけです。
 私は当時、人材採用の手伝いをしていました。企業の人材についての悩みは、同業種や同規模であれば、同種であるケースが多かったのです。
 同様に「同じ横浜市中区に本社がある企業でこの資料を必要とする企業はないか」と考えるのです。企業規模がもう少し小さい、工業団地などにある企業では、同地域で同課題のケースがあり、転用可能な場合が多かったのです。
 同様に、「同じ業種である、ソフト会社や、他の電機メーカーの関連会社で、転用できないか」と考えるのです。
 私は、当時50~100社弱の法人企業を担当していましたが、このように他に転用できないかと考えると、だいたい1つの資料を5社以上に提供できるケースがほとんどでした。
 このような仕事の進め方を継続すると、長期的に担当企業との取引関係によい影響を及ぼすのです。私自身も、これによって取引の拡大と安定的な取引継続ができました。
 このように、あなたが何か行動を起こそうとする場合に「他に転用ができないかを常に考える」習慣を持っておくことができれば、生産性向上にとても有効です。あなたが社外の顧客と接する仕事(営業・販促・商品開発など)であれば、私のようにいくつかの軸で、顧客をグルーピングしておくと便利でしょう。
 ぜひ取り組んでみることをお勧めします。

図でまとめてみると、こういうことになります(『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』36ページより)。

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「知ってる」と「できる」の間に存在する大きな溝

もう一つ、重要なスキル(というか考え方)をお伝えします。

自分も20代の駆け出しのころ、よくやってしまってたことですが、仕事において知ったかぶりをして「それ、知ってます」「わかってます」という態度を取ること。

みなさんも身の覚えはないでしょうか?

これ、イケてる社員とダメ社員を見分けるポイントなんです。

 様々なビジネスパーソンと話をしていて面白いことに気づきました。
 それは、仕事ができない人(ここではダメ社員と呼びます)の大半は「知っていること」と「できること」を混同しているのです。つまり、あることに対して「私はそれを知っている」→「だから、できる」という反応を示すのです。
 一方で、仕事ができる人(ここではイケてる社員と呼びます)は、決してこのような反応を示しません。彼らは「知っている」と「できる」の間には、大きな溝があることを理解しているのです。
 さて、本当に「知っている」と「できる」には、そんなに大きな溝があるのでしょうか。
 まず、誰もが「知らない」という状態からスタートします。対象が何であれ「知らない」と何も始まらないので、まず「知る」という状態にする必要があります。しかし、「知っている」からといって「理解している」とは限りません。内容を「理解している」ことが必要です。「理解している」上で、「実行する」。つまり実際にやってみることが必要です。
 そして、実際に「実行してみた」結果として「できる」という状態になるわけです。

うーん・・・・じつに耳が痛い話です。ダメ社員は「口だけ番長」「評論家」という感じです。

イケてる社員とダメ社員の反応の大きな違い

じゃあ、イケてる社員とダメ社員はなにがどう違うのか。具体的にみていきます。

 少し専門的な話で恐縮ですが、私は「ベンチャー企業の求人広告の掲載料金をストックオプション(新株引き受け権)で支払っていただく」というスキームを、日本初で成立させた経験があります。
 ちなみに、当時は通産省(現・経済産業省)の新事業創出促進法に認定されたベンチャー企業のみが、サービスの対価として自社のストックオプションを使用できたのですが、現在では、商法が改正されて、大半の国内企業でも使用できるようになっています。
 ところで、その際の社内外の反応が非常にユニークでした。ベンチャーキャピタルやベンチャー向けの市場(当時東証マザーズの他、ナスダック・ジャパンもありました)の担当者や社内のイケてる社員は、「実行した」という点に驚き、話を聞きに来ました。
 彼らは、経験上「知っている」あるいは「分かっている」ことと「実行する」ことに大きな溝があり、それを超えたことに対して敬意を表してくれたのでした。
 しかも、彼らは、したたかです。具体的なスキームに関して詳細に質問をしてくるのです。自分たちの仕事に何か参考になることがあるかもしれないと考えたのでしょう。どのような情報であっても、それを自分の仕事に転用できないかと考えるわけです。このような姿勢こそが、彼らがイケてる社員である所以(ゆえん)でしょう。
 ところが、社内で「私も考えていた=知っていた」という反応をした社員は、ほぼ例外なくダメ社員でした。彼らは「自分も知っていたので、やりさえすればできた」と考えたのです。当然、質問などありません。彼らの仕事に参考になるポイントがあったのかもしれないのに、もったいないことです。

なるほど。

ダメ社員は質問もせずに「自分もそれは知っている=だからできる」と安易に考えるのに対して、イケてる社員は「知っていることと実行することには大きな溝がある」とわかっているし、ガンガン質問して情報を取ろうとする。

これって、ビジネスマン人生が積み重なると、どんどん差が出てくるポイントのような気がします。

相手が理解しているか見分けるためのキラーフレーズ

逆にもしこの記事をお読みのあなたが、部下を持つ上司の立場だった場合、部下が「ダメ社員」か「イケてる社員」かを見分ける方法があります。

 その人が「知っている」だけなのか「理解している」のかを簡単に見分ける方法をお教えしましょう。すごく簡単です。
 そのことに関して説明してもらえばよいのです。
「知っているだけ」でも質問には回答できます。しかし、「理解」していないと自分で説明できないのです。さらに、「どうして?」と質問を数回繰り返してみてください。それに対応できる状態が「理解している状態」です。
 例えば、今月から新製品の販促キャンペーンをするとします。担当者に「今月から販促キャンペーンをすることを知っているか?」と聞いてみます。これに関してYESと答えるのが「知っている」状態です。
 さらに「ではどのような内容なのか教えてほしい」と質問します。担当者が概要を説明します。それに加えて「どうして、今月から実施するのか?」「どうして商品を限定して、新商品に限っているのか?」「どうして販促策をするのか?」など深堀りの質問をしてみてください。
 必要であれば、回答に対して、さらに「どうして?」と質問を繰り返してみてください。これに回答できる状態が「理解している」という状態です。
「できる」ためには、この「理解している」を超えて、「実行」して「できる」ようになることが必要なのです。
 理解すらしていないのであれば、「できる」は望めません。「知っている」と「できる」の違いを知っていることがイケてる社員への第一歩です。
 同様の溝は「アイデアを思いついた」と、それを「実現した」の間でもあります。素敵なサービスや商品を見つけて「私もこのアイデアを思いついた」という人がいます。それが仮に事実だとしても、ほとんど意味がありません。
 もちろん世の中には画期的なアイデアというものが存在します。いわゆる発明といわれるものです。これを例外にすれば、アイデアだけでは、ほとんど意味がありません。
 実現することこそが重要なのです。

この話も図でまとめてみます(中尾隆一郎『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』244ページより)。

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いかがだったでしょうか?

今日ご紹介した『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』には、新入社員が押さえるべき基礎スキル・基本的な考え方から、管理職のためのマネジメント・スキルまで幅広く、計78個のビジネススキルがまとめられています。どこから読んでもためになる作りになっています。

この本に書かれているスキルをホントに実際に一つ一つ着実に実行したら、あなたの年収はどんどんUPするはずです。ぜひビジネスを成功させるための座右の書としてご参考ください。

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