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【伝説の芸能マネージャーが独白】今後、その人が売れるかどうかをココでみる

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

日本中から才能が集まる世界、「芸能界」。そんな才能がせめぎ合う厳しい世界では、「売れる」のはひと握り、さらにずっと業界に生き残っていけるタレントや芸人はほんのわずかといわれています。

芸能マネージャーは、自社に所属しているタレントや芸人が持っている才能を見つけ出し、育て、伸ばすのが重要な仕事の1つです。

60年以上にわたり、自分の事務所に所属するタレントや芸人はもとより、他事務所のタレントたちの浮き沈みを多く目にしてきた、芸能界の生き字引的な存在、“伝説の芸能マネージャー”として知られる川岸咨鴻さん(元・浅井企画専務取締役)は、次のように述べています。

才能があるかないかの前に、今後、その人物の才能が開花するかどうかを見抜く上で、大事なバロメーターがある。

今回は、人気放送作家・鶴間政行さんと川岸さんの共著『芸能界で学んだ人の才能の見つけ方、育て方、伸ばし方』の中から、「今後、才能が開花するかどうかのバロメーター」を公開します。

 お笑い芸人になりたいと、事務所の門を叩いてくる若い人は多くいます。
 キャイ〜ンのウド鈴木も、いきなり押しかけてきた1人です。
 ウドは、アポなしでいきなり「タレントになりたいんです」と浅井企画の事務所に押しかけてきました。当時、頭を五分刈りにしていたかもしれません。
 私がたまたまその場にいたので対応し、説教しました。
「あのね、キミね。たとえば、よそのウチを訪ねるときは、前もって電話するとか、『これから行きます』とかアポイントをとってからくるものだろ? そういうのが大人の世界のマナーだよ」
 すると、ウドは、「すいません!」と謝って、そのまま出て行ってしまいました。
 そのあと、すぐのことでした。
「川岸専務、鈴木さんという方から電話です」と事務員から渡された受話器をとったんです。
 当時の事務所は、ビルの7階にあったのですが、ビルの下に公衆電話があって、ウドはそこから電話してきたのです。
「これから行っていいですか?」って言うから、
「じゃ、また上がってこいよ」って(笑)。
 天然なのか、本気で考えてやったことなのか、よくわかりませんが、ここまでやられたら、お笑い芸人としては合格です。だって、やっていること自体がコントですから。
 彼と浅井企画の関係は、こんなエピソードから始まりました。
 多くの若者は、説教された段階で、すごすご退散しちゃうものです。でも、ウドは天然というか、根が素直なんでしょう。その素直さが芸能界入りというチャンスをつかんだといえます。

 別の項目でもお伝えしましたが、まわりの言うことに耳を傾けない人間は伸びません。これから新しいことを目指そう、やろうとする人は、いろんなものを吸収しなくちゃいけません。経験者のアドバイスに耳を傾けられない人間は、いずれ限界がくるものです。だから、育つかどうかは、まず素直さが第一条件だと思います。

 例外はあります。
 たとえば、プロ野球のイチロー選手です。
 彼は、プロ野球入りした頃、彼独特の振り子打法を打撃コーチとかに否定されていました。
「その打ち方を直さないと試合で使わないぞ」とまで言われていたようです。
 でも、イチローは自分のスタンスを頑として変えませんでした。そのときは新人でも、小さいときから人一倍努力して、高校野球でも実績を残していました。その積み重ねてきた努力という裏づけがあっての信念だったわけです。だから、イチローは自分を貫き通すことができたのでしょう。
 イチローには一本の芯があったんです。
 芯がないうちは、頭を柔らかくして、つまり、素直になって、いろんなものを吸収したほうがいいでしょう。素直さがあるかどうかが、育つかどうかの境界線と言っていいと思います。

今回紹介した新刊『芸能界で学んだ人の才能の見つけ方、育て方、伸ばし方』は、芸能マネージャー歴60年超の「芸能界の重鎮」&伝説の人気「放送作家」という最強タッグが「人の才能を見つけ、育て、伸ばす」ための思考法&実践法を公開しています。部下や子どもの才能を見抜いて、磨きあげるヒントが詰まった1冊になっています。

著者プロフィールは、次のとおりです。

川岸咨鴻(かわぎし・ことひろ)
元・浅井企画専務取締役。株式会社ICH名誉会長。1940年生まれ。栃木県出身。藤圭子の初代マネージャーを経て、芸能マネージャーとして数々の才能を世に送り出す。コント55号の萩本欽一、坂上二郎をはじめ、小堺一機、関根勤、キャイ~ン、ずんなど数々の一流お笑いタレントを生んだ芸能プロダクション「浅井企画」の専務取締役を45年間務める。2018年4月に株式会社ICHの名誉会長に就任。芸能マネージャー歴60年超の芸能界の重鎮。
鶴間政行(つるま・まさゆき)
放送作家。1954年埼玉県熊谷市生まれ。1976年東洋大学在学中に放送作家を志して欽ちゃん(萩本欽一)に師事する。5年間の居候を経てデビュー。以後、「欽ドン! 良い子悪い子普通の子」「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」「笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」「SMAP×SMAP」「王様のブランチ」など、多くの人気テレビ、ラジオ番組を構成。現在は、「超逆境クイズバトル!99人の壁」「キニナル金曜日」を構成。長寿番組「ごきげんよう」のサイコロトークの発案者としても、業界では名高い。


また、下記の記事で同書の「はじめに」「おわりに」「目次」全文公開しています。

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