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『リトルキャプテン』 ④ 〜ちっぽけな僕の壮大なストーリー〜

 ジョーイは固まったまま動くことができなかった。男の後をつけてきて、カフェの隅にある小さな窓から覗き見していたのだ。窓が少し開いていたので、二人のやりとりもしっかり聞こえていた。「まさか強盗を目撃するなんて・・」ついさっき目の前で起こった出来事に、怖くて体がまだ動かなかった。メアリーは男が逃げた後その場に立ちすくんでいたが、少ししてからカウンターに腰を下ろした。その姿を窓から見ていたジョーイは、急いでカフェの入り口に向かった。「すみません!」入り口から店に入ったジョーイは、カウンターにいるメアリーへ声をかけた。「僕今の全部見てました!」

 メアリーは突然現れた少年の存在に驚いた。そして「怖かったでしょう」と優しくジョーイを気遣った。「は、はい、とてもびっくりしました」ジョーイは自分がこの近所に住んでいることと、さっきの男を不審に思ってつけてきたことをメアリーに説明した。メアリーはカウンターの椅子にジョーイを座らせた。そしてコップにオレンジジュースを注いでジョーイの目の前に差し出した。「飲みなさい」ジョーイは「ありがとうございます」とお礼を言った。「僕ジョーイって言います」「私はメアリー」二人はすぐに強盗犯の男の話をし始めた。「メアリーさん警察に連絡しないんですか?」「ええ、しないわ」メアリーは即答した。「なんでですか?」「お金はとられちゃったけど私はこうして無事に生きてるし」ジョーイはメアリーの言っていることが理解できなかった。「それになんでわざわざ大切な指輪を渡したりしたんですか?」メアリーはその理由をゆっくりと語り始めた。





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