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『リトルキャプテン』 43 〜ちっぽけな僕の壮大なストーリー〜

 さっきまで静まり返っていたお店が今はとても賑わっていた。静かにコーヒーを飲んでいる一人の男を除き、全員が寄り添ってああでもないこうでもないと話している。メアリーはさっきの話の続きをするために、タイミングを見計らって男のところへ戻った。すると男は、みんなが話していたジョーイという男の子の話を聞かせてほしいとメアリーにお願いしてきた。

「変な話なんだけど、あなたが強盗に入らなかったらその子とも出会えなかったのよ。そしてあの子自身も今みたいに輝いていなかったと思う。私はあなたに感謝してる。変な話ね本当」メアリーは少し笑った。男は「ジョーイ君の原稿を見せてもらえませんか?」と言ってきた。メアリーは「どうぞ」と言って男に手渡した。

男は真剣に読み始めた。そして全部読み終えた後、メアリーにこう言った。「私を警察に引き渡すのを、少しだけ待ってもらえませんか?」「ジョーイ君の書いたこの小説・・これは絶対たくさんの人達に読まれるべきです。今この作品を必要としている人が必ずいるはずです」男は熱のこもった口調で喋った。

「実は、私の新しい職場を紹介してくれた人が出版業界で働いているんです。その人の所へこの作品を持っていってもよろしいですか?気に入ってくれたら出版につながるかもしれない。この小説を世に広めてから僕は自首したい」

メアリーは夫のことを考えていた。「主人はこの未来が見えていたのかしら?」この不思議な展開にメアリーは身を任せてみようと思った。




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