金曜日の深夜、タクシーに乗って海へと急ぐ【歌詞】

必然を越えた先にある私を司る母なる海

金曜日の深夜、タクシーに乗って海へと急ぐ

何処まで行けば夜を越えて、聳(そび)えるビル群を横目でスルー出来るのか

目が回るのはアルコール度数で殺菌した体

履き慣れないグリーンのヒール

靴擦(くつづ)れを起こした足では何処へも行けない

すべてを洗い流そうと疲れた心の足は海へと向かう

誰もいない真っ暗な世界、聴こえるは漣(さざなみ)の音

火力発電所のネオンが遠くで光る


待たせてるタクシーの料金メーターが上がっていく

人はいずれ海へと帰り、そして天へと昇華する

そう思えば、不意に海に還りたくなるのも仕様が無いこと

海風は寒く、もうすぐ夏が来るのにと呟いた

誰にも会いたくない、涙は私を置いてけぼりにしてた

こんなにも眼は熱いのに


日中の暑さに薄着を着飾った私

夜の扉は向こうから勝手にやって来て、また勝手に朝陽が昇る

タクシーの運転手は疲れた顔して、こちらをじっと見てる

気にせずに傍観する光景は意外な感動性があって中毒になりそう

水面に反射する光で海が包まれて、後光が私の世界に差す

嫌な記憶は流れたかな

まだ誰もいない海で大きく叫ぶ


記憶の片隅にこびりついて離れない一言

脳内から分泌されるアドレナリン

不可避出来ない事はどう流せばいいのか

海に尋ねるニ人称単数

軽くなった心は安堵の涙を連れてきた


偶然なんて信じないって卑屈になってた

金曜日の昼下り、逃避したくて夜の街へ急ぐ

何処まで行けば人間は絡みつく鎖から開放されるのかと小窓を覗き込む

頭が痛いのはいつもの片頭痛で嫌気が差す

剥げてきたベージュのマニキュア

妥当な色で妥当な考えで冒険が出来ない頭

何だか自分のすべてが嫌になる心は救済を求め出す

解決策の無い大人は虫のように光へと吸い寄せられる

ネオン街のライトが私を癒やそうと手招く


馬鹿騒ぎの代償は少し心を寂しくさせた

ひとり寂しい部屋には帰れない海に還りたくなる

多分海に安堵するのは人の体が水分で出来てるから

地球は青い、人間も青い、もうすぐ夏が来る

タクシーはLEDの世界を飛んでいって、視界が狭まってく

道を照らす光が間を空ける


闇だけが続く窓からの風景は濃く

何も考えたくないのに夜に耽(ふけ)る考えは勝手に追い掛けてくる

海まではここから遠い、耽(ふけ)るには時間があり過ぎる

見慣れた道を見つめてはくだらないことが頭を過(よ)ぎっては泡のように消える

何処までも続く闇に瞳孔が開いて、まだ見ぬ明日までも見ようとしてる

淀(よど)む記憶は流れるかな

淀(よど)んだ血液は体を巡って叫ぶ

深夜1時過ぎの冷たい海風が流るる海辺の駐車場


記憶の片隅にこびりついて離れない一言

脳内から分泌されるアドレナリン

不可避出来ない事はどう流せばいいのか

海に尋ねるニ人称単数

軽くなった心は安堵の涙を連れてきた


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