【探究学習編⑦】探究学習での教員の関わり方
みなさん、こんにちは
一般社団法人Foraの藤村です
前回までで探究学習の理念やカリキュラム、コンテンツについて考えてきましたが、今回はそれを担う教員の役割について検討したいと思います。
生徒が一人一人で進める探究学習では、生徒の進度のバラツキもまた生まれやすくなります。そのため、教員側がフォローすることが大切です。その一方で、フォローしすぎると生徒の主体性を損なうことになるため、どのような方法で、どの程度介入するのかが重要です。今回はその点について検討してみます。
生徒の段階に応じて、関わり方が変わる
以前までの記事で、探究学習では、テーマ、リサーチクエスチョン(以下RQ)、仮説、検証、考察と進めていくことを記載しました。その生徒の段階に応じて、教員の役割が変化します。というのも、それぞれの段階に応じて生徒に求めることが変化するためです。一つ一つについて検討していきます。
テーマ段階は、コーチング的な関わり方
探究学習のテーマを選定する段階では、生徒が自分なりに考えたいテーマを、生徒自身が決定することが大切となります。生徒の中には、「まだやりたいことがわからない」「好きなことと言われても特にない」と回答する生徒も少なくはないと思います。その生徒に対して、なにかインプットする方向ではなく、生徒の中には少なくともなにかのテーマはあるだろうと考えて、教員側がその考えを引き出す関わり方が大切です。コーチングでは、答えは、生徒の側にあり、その答えを教員側が引き出すような関わり方が大切になります。
RQや仮説・検証段階では、ティーチングの関わり方
探究学習を進めるうえでは、RQの考え方や、仮説の立て方、検証方法についての知識なども必要です。これらの知識がないと、生徒は自由にやれと言われても、どのように考え、進めてよいかわからずに探究が止まってしまう可能性が高いです。そこで、基本的な探究学習の基礎理解については、生徒の中に理解されていることが必要です。そのためには、通常の授業と同じように、生徒自身に探究の方法論を伝えるティーチングの考え方が必要になります。その場合には、答えは教員の側にあり、その内容を生徒が理解して、生徒自身の中で自分の探究に活かすための考えを考えてもらいます。
探究計画書を作成する段階では、メンタリングの関わり方
研究全体の研究計画書を作成する段階では、これまでのテーマ、RQ、仮説、検証の一連の流れを統合します。そのため難易度が高く、生徒自身も答えが見えてないこともしばしばです。その一方で、教員側が生徒との面談で指導しすぎると、それは「教員の探究学習」となってしまい、生徒の探究の機会を奪ってしまうことになりかねません。生徒を主体にしながら、生徒と対話を重ねることで、お互いの対話や議論の中に、より良い答えを見出そうとするのがメンタリングの関わり方です。
ここまで書いてきたように、探究学習では、段階に応じて教員の役割が変化します。その変化を理解しながら、教員側がその時々に合わせて適切に関わることが大切です。もちろん、一人ですべてができるに越したことはないですが、それは非常に難しいため、探究担当の教員や学年団、場合によっては、ティーチングアシスタントなどと協力をしながら、役割分担をして進めていくことで、学校全体の探究学習の水準を高めていくことに繋がります。
以上いかがでしたでしょうか。次回は、探究学習の評価について検討します。
これまでの連載はこちら
連載「生徒の学び続ける意欲と能力を育む探究学習を実施するには」
①2020年から始まる探究学習って実際どんなことするの?
②探究学習を導入する社会的背景とは(前編)
③探究学習を導入する社会的背景とは(後編)
④探究学習の通して、生徒にどんな資質・能力・態度を育んでほしいのか
⑤数年を見越した探究学習のカリキュラムについて
⑥探究学習の教材や核となるコンテンツ
⑦探究学習での教員の関わり方 ←今回
⑧探究学習の評価方法
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
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