見出し画像

エンゲージメントの【5C】 「コミュニケーション」

前回まではエンゲージメントをアップするための5つのCについてお伝えしました。

前回こちら↓↓↓


今日はその中の【コミュニケーション】について詳しく掘り下げます。



前述したエンゲージメントの世界的専門家、マーカス・バッキンガムの著書「仕事に関する9つの嘘」の中で、バッキンガムは、コミュニケーションをよくする方法の中で最も効果的なのは【チェックイン】と呼ばれる1on1だと述べています。

以下【チェックイン】について解説します。

世界的権威が提唱するエンゲージメントに最もよく効くコミュニケーション 【チェックイン】とは

形式は普通の1on1、オンラインでも対面でもどちらでもOKです。できるなら対面の方がわずかに効果が高いそう。時間も10-15分でOKで、短くても問題ありません。

研究では、チェックインの頻度が高いチームはエンゲージメントに最も相関が高い質問である「仕事で強みを発揮する機会が毎日ある」をはじめ「仕事で常に成長を促されている」「優れた仕事をすれば必ず認められると知っている」の3項目のポイントをアップさせることがわかっています。

たった2つの質問だけでエンゲージメントを爆上げできる

質問する内容は「今週の優先業務は?」「私が手助けできることは?」の2点の確認だけでOKです。

もちろん時間があれば、その他に部下が気になることをいろいろ聞いてあげればいいのですが、最低限この2つだけを聞けばエンゲージメントにポジティブな影響があることがわかっています。

1on1の内容に困って、何を聞いていいかわからない管理職の方は、この2つだけを、「真剣に」「親身になって」聞いてくれればOKです。それだけで、部下のエンゲージメントは爆上がりします。

チェックインは、部下を詰めたり、部下が答えを持っているかを試したりするのが目的ではありません。お互いの思考の整理や確認、目標と現状の確認、業務の支援をするための時間です。ですので、部下が困っていたら、そのことを気にかけてあげて一緒に解決する姿勢を見せることが大切です。

1on1で最も大事なのは話す内容ではない

1on1というと、傾聴、質問など、コーチングの質をあげるトレーニングを取り入れる企業が多いですよね。弊社でも1on1のトレーニングの中にコーチングは必ずリクエストされますので、入れることが多いです。

しかし、驚くことに、マーカス・バッキンガムは「チェックインでは傾聴や質問を磨いて内容の質をよくするより、定期的に頻度よく行う方が圧倒的に効果が高いことがわかっている」と著書の中で述べています。

月一回の1on1は部下のモチベーションを下げる

驚くべきことに、研究では、週1回のチェックインはメンバーのエンゲージメントを13%高める一方で、月1回のチェックインはメンバーのエンゲージメントが5%低下させることが明らかになっています。

毎週のチェックインはエンゲージメントをあげ、毎月のチェックインはエンゲージメントを減らしてしまうのです。

1on1で過去を振り返る上司はモテない?

マーカス・バッキンガムは、「部下が希望するのは今まさに困っている業務に関しての相談である、したがって上司はリアルタイムで困っていることに対する支援ができる準備があることを、部下に示してあげることが重要である。」と述べています。

1on1では上司が「先週のあれどうだった?」を部下に聞いて、「もっとああすればよかったね。」「次はどうする?」など振り返りやアドバイスなどのフィードバックに時間を割きがちです。

もちろんそれも成長にとって大事な時間なのですが、部下からすると終わったことの「ああすればよかった。」より、今週の「どうすればいいですか?」の方が優先順位が高いのです。上司は部下の過去より未来に目を向け流ことで部下のエンゲージメントにより良い影響を与えることがわかっています。

振り返りなら月1回でハイライトだけを追えば良いのかもしれませんが、リアルタイム支援を目的とすると、1ヶ月に1回の頻度は部下が相談したいタイミングに逃す可能性が高く、悠長すぎて適切ではないということです。

助けて欲しい時に助けられない上司は大きな代償を支払う

これは、子供が産まれて離婚する夫婦の原因の上位に、「相談したい時相談できなかった。」「助けて欲しい時に助けてくれなかった」が上がるのと似たような心理なのだと思います。(猛省)

また、短い時間に頻繁に接触した相手に持って好意を持つという単純接触効果(会う時間の長さより頻度の方が相手に対する好意につながる)の心理からも、「頻度」がエンゲージメントに大きな影響を及ぼしているのでしょう。

いずれにしろ、1on1に関していえば、上司の見事なコーチングの技術よりも、開催頻度の方がより大きな影響を与えるということなんです。

エンゲージメントを上げる1on1の超NG項目

1on1で上司がしてはいけない、最もNGなことってなんだかわかりますか??それは上司が約束を破らないことです。

私も部下時代に経験がありますが、1on1のスケジュールを頻繁にリスケする上司に当たったことがあります。

やられた方は、めっちゃめちゃモチベーション下がるんですよね、これ。後から入ったスケジュールの方が、自分との1on1よりも、優先事項なんだ、というふうに部下である私は度々受け取ってしまいます。私の対応はこれらの業務よりも取るに足らないものなんだ、というように判断されるリスクがあるということです。

当然、私はこの上司は好きになれませんでした。自分との時間が必要ないってことなら、こっちだって忙しいし1on1入れんじゃねーよ。。と思っていました。多分態度にもチョコっとは出てたと思います。気持ちチョコっと。。

上司も会社からのやらされ1on1で迷惑していたのか、悪気はなかったのか、今でもよくわかりませんが、部下にはそんなこと関係ありません。そう思われたらもう管理職としては即死です。

当時私は30後半でしたが、そんなおっさん社員ですら、ふて腐れさせるだけのネガティブパワー満載のリスケの連発という行為を、女性やZ世代などはどう感じるでしょうか??そういったデリカシーや配慮がない上司は生き残りづらい時代環境だということを肝に銘じて気をつけて下さい。

部下が多すぎる場合にどう考えるか??

また部下が多すぎて捌けない問題もあります。マーカス・バッキンガムは「メンバーの声に耳を傾け、軌道修正し、目配りし、一緒に考えてあげることはリーダーの任務に加えてやることではなく、リーダーの仕事そのもの」であるといいます。

ですので、「週にチェックインできる人数が、その上司にとって適切な部下の人数である」と言い切っています。つまり、リーダーがリーダーとしての責任を果たすために、最も大事な仕事こそチェックインだということですね。

それくらい、チェックインの優先順位をあげるべきだとマーカスは言いますが、現実的に難しい場合もあると思います。

その時は権限委譲やDXで自分の時間をあけ、「チェックインできる時間を増やす」か、チームの右腕やエースに部下何人かの1on1を任せられるようにする、など、「チェックインできる人材を増やす」などが考えられます。

現実的に部下が多すぎてそこまでできない状況だったとしても、大切なのは「上司が部下のことを気にかけ、リアルタイムで困りごとに手を差し伸べる準備がいつでもある」「あなたのことを気にかけている」ということを部下に言動で示す工夫や努力をすることが最も大切だということですね。

1on1以外の施策はあるのか??

もちのろんです。

チェックイン以外にも有効な方法をこのブログでいろいろな方法をお伝えしていきますので、取り入れられるところから少しづつでも始めて頂けると嬉しいですね。

今回は、1on1は内容よりも頻度が大事と繰り返しお伝えしましたが、とはいえ1on1の進め方や上手なコーチングもいらないってわけではなく、対話の質が高まると信頼やコミュニケーションの質は間違いなく上がります。

次回は1on1の中身である「進め方」について詳しくご紹介致します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?