見出し画像

エンゲージメント偏差値80の会社の1on1とは?

前回はエンゲージメントを上げるための方法として、【チェックイン】と呼ばれる1on1についてご紹介しました。

今日はチェックイン以外の1on1について詳しくお伝えします。



1on1のテックツールのデータから読み取れる1on1の超重要ポイントとは??

私は1on1のHRテックの会社のお仕事を手伝ったことがありますので、割と1on1の調査やデータに触れる機会が多かったのですが、

1on1では最中の内容よりも、準備がとても大事なことが明らかになっています。詳しく説明します。

1on1では、基本的に部下の話したいことを話させるのが大事と言われていますが、上司にとって厄介なのは、部下任せだと、毎回1on1のテーマが変わってしまうことです。

毎回変わる1on1のテーマ

案件の困りごとをされることもあれば、人間関係の悩みを悩みを打ち明けられる事もあります。会社の方針に対する不満もあれば、プライベートであった嬉しいことを聞いてほしいという回もありますよね。

このように、1on1のテーマは「案件」「会社」「人間関係」…など多岐にわたります。

でも実は、先述のツールのデータを読み解くと、同じ上司でも相談内容テーマによって部下からの評価に偏りがあることがわかっているのです。

案件の相談は上手いけど、人間関係の相談はイマイチ、というような感じですね。

上司に求められる無理ゲーなハイスキル

そして、さらにいうと、部下が1on1ごとに上司に求めている対応も毎回違います。

案件の相談には「アドバイスがほしい」、けど人間関係の相談なら、「責任者である上司から一言言ってほしい」、プライベートの嬉しいことの共有なら「ただ一緒に喜んで欲しい」…などなど、

1on1を実施する回ごとに変わってくるのです。

そしてのこの評価にも偏りがあることがわかっています。

「アドバイスは上手いけど一緒に喜ぶのは下手」「寄り添って聞いてくれるけど、解決はしない…」のような感じです。

部下が求めるのは、部下が話したい「テーマ」×「求められる対応」を察して、カメレオンのように適切な行動をとってくれる上司だということです。

これを見て皆さんどう思いますか??

こんな難しいことを、会社からできて当然のように求められる管理職、、、どれだけ理不尽な世界でしょう。

ファミリーコンピューターの魔界村やお化けのQ太郎に匹敵する、ものすごい難易度のクソゲーに思えます。

そしてできなければ「あいつは部下育成が下手だ」「部下の気持ちを把握していない」ダメ上司として烙印を押されるのです。とっても世知辛い世の中です。

事前準備:1on1の目的を明確にする工夫

一番の問題は、上司も部下も話し合いたいテーマや対応を明確に意識しないまま1on1に望んでいることです。

つまり、「1on1の目的」がお互いに不明確なまま行われるので、手応えがなく、効果が得にくいのです。

それを避けるために、上記のHRテックサービスでは、部下が上司にスケジュールを入れるときに、今回のテーマと求める対応を予め選択し、上司にスケジュールとともに送信するという工夫がなされています。

このプロセスを経ることで、部下も相談したいことを事前い明確にし、上司も準備して臨むことができるということです。

この辺りは特別なツールを取り入れてなくても、Googleカレンダーなど、自社のスケジューラーでも工夫できそうですね。

1on1の評価を見える化することで上司のスキルが見える

専門ツールならではの素晴らしい点にも触れておくと、このツールでは1on1実施後に部下が上司の1on1を評価します。

部下の匿名性はもちろん担保した上で、このデータが溜まってくると、上司の得意不得意テーマや、対応が得が見える化していくのです。

例えば、業務をテーマにした1on1の評価は高いけど、人間関係のテーマの時は評価が低い、とか、アドバイスは上手いけど、共感はクッソ下手、とか。

その上司の得意不得意が見えると、チーム編成や教育テーマの優先順位が見えてきますよね。データを活用する、という視点で考えると、やはり専門ツールは非常に優れているといえます。

1on1における上司側の不安

以前、1on1の件数でこんな質問を受けました。

「1on1では部下に話したいことを任せた方がいいと聞いてはいるけど、業務進捗に関して3週連続で部下からは切り出してくれなかったんです。自分としては業務に関しても確認したいことがあったのですが、その場合、こちらからどう聞いていいのかどうか迷ってしまいます。」

皆さんならどうしますか??

上司としてはチームのパフォーマンスを上げるため、タイミングのいい適切な支援は欠かせません。

そのため部下の案件や業務状況の把握は必須なのですが、部下任せにすると全然関係ないプライベートテーマ1on1のオンパレード、ということにもなりかねません。

私自身、そういう部下が複数人いるチームの管理職をしていて、困ったことがあります(3週連続、犬の話とか)。そういうときに前回紹介したチェックインが有効になるのです。

チェックインを必須事項にしてルールにする

チェックインの質問は

今週の優先順位は?
私が手助けできることは?

の2つです。業務進捗に関して、上司が確認し適切なタイミングで支援を行うことは、部下のエンゲージメントや業務のパフォーマンスに影響があることは研究でわかっています。

ですので、上司は遠慮せず部下の業務進捗を確認して良いのです(というかした方が部下にとってもいいのです)。

つまり、1on1のうち、10分-15分はチェックインで優先順位とサポートについては必須事項にして、それ以外の時間は、事前に部下の選んだテーマについて、求められる対応を意識しながら話し合うという時間配分やルールをしっかり決めればいいのです。

ルールが曖昧なまま、上司が業務のことを聞き出すと、「私の話したいことを話させてくれない」「上司は業務にしか興味を持ってくれない」という無限地獄に陥ります。

これで心を閉ざされると、この扉を開くのは天照の岩戸開きなみに大変で下手すると詰んでしまいます。

別の方法として、部下の好きなことに任せる1on1と、業務進捗に関して確認する15分のチェックインは、別々のミーティングとして運用するという方法もあります。

チェックインは前回ご案内した通り、週1回だと効果を発揮しますが、月1回になるとマイナスになり、せっかく時間をとっているのに逆効果を生んでしまうので、

チェックインは毎週、部下の好きなことを話す1on1は2週〜1ヶ月に1回、などと、部下にも希望を聞きながら適切な頻度を調整すると良いですね。

チェックインがめんどくさい方へ

「毎週のチェックイン、めんどくせーな、海外の事例だし、日本では有効じゃないんじゃない??」と思われた方、たくさんいると思います。

確かにめんどくさいですねぇ。気持ちわかります。効果がないことに費やす時間はねぇ、という声が聞こえてきます。

どうせADPRIとかいう調査も海外のだし、自分のチームに本当に当てはまらねーでしょ、、、という方へ、一つ国内の事例を紹介します。

エンゲージメントに関するツールやトレーニングを提供している国内最大手の一つ、リンク&モチベーション社によると、とある大企業が、1on1を週1回30分実施したところ、


エンゲージメント偏差値が80
になったそうです。


偏差値80という数字が、偏差値重視の日本の教育を受けてきた我々日本人にはいかに特異な数字であるかを実感いただけるのではないでしょうか。

前回紹介したADPRIと同様の報告、チェックインに高い効果があるということは日本も例外ではないということを示しています。

だって聞くことないんだもん…

チェックインしたら話すことがない、部下からも何も出ず、時間が余ってしまう、という上司の方。確かに具体的に質問が浮かんでこない、、、ということもあるかもしれません。

今回は少し長くなりましたので、次回は1on1を進めやすくするために、今回書ききれなかった具体的な進め方や質問例についてもう少し補足させて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?