わたし定時で帰ります

勇気を出して、定時で帰ろう!『わたし、定時で帰ります。』【読書感想】

『わたし、定時で帰ります。』本屋でこの本を手に取ったのは、私が定時で帰る人間だからだ。8時間以上働いても効率が落ちるし、人生は仕事だけじゃない。残業をするということは、能力が足りないことだって教わってきた。だから、この本の主人公は、どうして定時で帰りたいんだろう。周りの残業する人たちとどう付き合っているのだろう、と気になったのだ。

自分に無理させないことが一番大事

『わたし、定時で帰ります。』を読み始めたのは、体調不良から回復し始めたときだ。仕事もGW前で忙しく、その他のことでもバタバタしていた。あんまり自分で料理を作らず、レストランでも食べる機会が減り、コンビニのお弁当で済ますことが増えていた。コンビニの食べ物って連続で食べると具合が悪くなる。でも、そんなことにも気づいていなかった。やることに振り回されて、自分を労わることを忘れていたのだ。

一方、主人公・東山結衣(以下、「結衣」)はどうだろうか。法事で会社を休むし(当たり前か)、もうだめだと思ったら温泉に行く。飲みすぎて体調が悪ければ、無理して会社に行こうとはしない。体調を崩したときの私と結衣との大きな違いは、自分の心やからだの状態を常に第一に考えて、行動している点だ。定時に帰って、上海飯店のハッピーアワーでビールを飲み、常連のおじさんたちと話し、その後はおそらく家に帰ってドラマを見たり、好きな人と話をする。そうやって、定時後の時間は、仕事を忘れて自分を労わって、楽しませるようにするのだ。

盛だくさんのサイドストーリー

職場が舞台のドラマ、定時で帰る女性がそんな職場で戦う話、そう聞くと「倍返し」的な威勢のいいもののように思うかもしれない。しかしそんなことはない。

結衣の周りは「あーこの人いるいる」って思えるキャラクターでいっぱいだ。元婚約者の晃太郎との職場でのやり取り、現婚約者の巧との関係、ブラック企業で働いたことが原因でひきこもりになってしまった、晃太郎の弟、モーレツ社員だった結衣の父など、様々なサイドストーリ―が描かれている。

ただただ、職場で結衣が奮闘する話ではない。軸がづれることなく、これらのサイドストーリ―を楽しめることも、この本の面白いところだ。

最後はなんだかきれいに終わってしまったけど、きっと多くの人が楽しめる本だと思う。ドラマよりももっと辛辣に(?)書かれているので、私は本で読むことをおすすめしたい。

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