総合商社と食品業界のふかーい関係①

こんにちは、食品業界で働いているらびです!

さて、今回は総合商社と食品業界というテーマで記事を書いてみました。食品業界の方はもちろん、異業種の人でもわかるような噛み砕いた内容にしましたので、ぜひ、ゆるーくご覧ください。

1. 私たちが食べている食品は、どうやって届くのか?

食品業界には "問屋" とか "メーカー" とか "卸" とか、いろんな呼び方の業態がありますよね。総合商社と食品業界の "ふかーい関係" を理解するために、まずは「私たちが食べている食品は、どうやって届くのか?」という事を知っていただきたいと思います。下記フローをご覧ください。

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図1. 食品製造業をめぐる情勢(農林水産省, 2017)

"生産者" は収穫した農作物等を農協や組合を通して "卸売業者(問屋※1)へ売ります。そして卸売業者は、"仲卸業者※2などを経て "食品製造業者(食品メーカー)" へ商品を売ります。食品製造業者によって加工された食品は、再度 "卸売業者" や "仲卸業者" を経て、"食品小売業者(スーパーなど)" や "外食業者" へとわたり、ようやく "消費者" である私たちの手元へやってきます。

これが日本における一般的なフードシステムとなっています。

※1:問屋と卸はどちらも同じ意味で使用される事が多く、"生産者や商社から製品を仕入れて、メーカーや小売業者へと売る業者"を指します(法律的には意味が異なります)。
※2:仲卸業者を経由せずに、直接販売する場合も多々あります

さて、上図ですが、何かが抜けているのにお気づきでしょうか?


そう、"外国からの輸入品""輸出品" です。


日本は今の人口を賄うために、食料や生活必需品の輸出入が必須になります。この輸出入(トレーディング)を手助けしているのが、"総合商社" であったり"専門商社" と言われる業者になります。その名の通り、ロケットの部品から食品まで幅広く扱っている業者が総合商社、ある特定の分野に特化している業者が専門商社と呼ばれています。

今使っているスマホの部品から、今日食べたメキシコ産のアボカドまで、実は総合商社と私たちイチ消費者はふかーいところで繋がっているのです。

2. 食品製造業と総合商社

食品製造業とは、実際に食品を製造しているメーカーのことです。実はそんな食品メーカーも、総合商社と"資本関係"がある会社が多々あります。

食品製造業と総合商社("資本関係"のものを抜粋)
● 三菱商事:
 伊藤ハム・米久HD、日東富士製粉、大日本明治製糖、塩水港製糖
● 伊藤忠商事:
 昭和産業、プリマハム、不二製油
● 三井物産:
 日本製粉、スターゼン、三井製糖
● 丸紅:
 日清オイリオ、エスフーズ

資本関係とは、簡単に言えばある会社が他の会社に出資(資金提供)をしている状態になります。上記の場合は、総合商社が食品メーカーに出資している構造になっており、基本的にはお互いに独立性は保たれています。しかしながら出資比率によっては出資元が出資先の経営に影響力を及ぼすこともできるという、絶妙な関係になっています。

例えば上記表で言うと、伊藤ハム・米久HDの場合、三菱商事が約39%の株を保有しておりますので、かなりの影響を与えることができる、と想像できます。一方、昭和産業の主要株主と株の保有率を見てみると、伊藤忠(8.2%)、三井物産(4.9%)となっており、伊藤忠の影響力は、伊藤ハムの三菱商事の例よりも弱い事が考えられます。

日本ではかつて "商社不要論" が喧伝され、トレーディング業務で利益を得ている商社に対するバッシングが高まった時期があります。当然各社、このままで本当に持続的に成長できるのか?と、悩みました。

結果、国内外の事業投資関連会社の経営支援などに力を入れる総合商社が増えてきました。トレーディングで得た知見を活かし、資本関係のあるメーカーの事業投資への助言、海外進出・販売のサポートを行うなど、コンサルティングのような業務も日々行っています。

まとめ

以上、日本のフードシステムと、食品メーカーと総合商社の関係性が何となくわかったと思います。ややこしいところだと思いますが、卸と商社の違いはざっくりと下記になります。

総合商社:輸出入を行う業者。取り扱う品目は食品以外も多岐にわたる。
卸(問屋):生産者からメーカー、メーカーから小売などへ食品を流通させる業者。基本的には国内の取引のみを指す。

次回は、食品産業における各総合商社の得意分野、流通・小売と総合商社というテーマで、さらにお互いの関係を深掘りしていきたいと思います!


おしまい


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