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イズムが紡ぐ【最高】のカタチ。大阪のSio


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有料無料とお金に縛られずに読めるように
書きました。今回は余裕があってもご購入しなくていいです。
そのかわり【ザ・ニューワールド】に足を運んでみてください。
そのお金はそれ以上の価値をつくります。
僕にお金を払うより断然意味があります。

本日、Sioとザ・ニューワールドのコラボコースに足を運ばせていただきました。

早速のタイトル回収ですが、今回は【大阪のSio】と題打っています。

しかしながらSioの系列店とはいえど【Sioの、、、】と言ってしまったら失礼なのではないかと思えるくらいの高い意識や技術が2時間で伝わってきました。

ザ・ニューワールドは【ザ・ニューワールド】でした。それ以外はありません。そのくらい素晴らしい時間でした。

Sioとニューワールドの特別コース(前編)

運良く鳥羽シェフのTwitterを拝見することができ、運良く今回のコースへの参加権を手に入れて胸を躍らせた今日、自分の考えている以上のエンタメが料理にはあるのだと実感しました。

この記事では料理に関しては深く触れまいと思っています。

料理に関しては他の方の方が上手に書かれていると思うからです。

しかしながら話を提供料理に沿って進めていきたいと思います。

慣れないパルコの地下2階。ザ・ニューワールドをウロチョロしながら見つけ、席についてからのお話です。

周りにたくさんの居酒屋が並ぶなか、一際緊張と期待が高まる一角でまずは【出汁】からの始まりました。

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静かに落ち着かせる意味での奥深さと【整える】意味での和の基本。
しっかり丁寧に取られたキュイソンは一点の濁りもありません。

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2品目のチューリップ。
元来、居酒屋としてのコンセプトなので頷ける唐揚げも、大阪堺のやまつ辻田さんの信じられないくらい素晴らしい山椒がまず1回目の驚き。

カリッカリの皮には料理人のしっかりとした経歴を感じました。

そこに合わせるレモンサワーもノンアルなのにしっかりとある発酵の香り。塩麹による発酵の応用でした。

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一度は食べてみたかった馬肉のスペシャリテ。

思っていたよりも小さかったですが、生地のしっかりとした食感はきっと普通には意識できません。

どんな生地でも上に乗る水分で少なからずしなるのですが、ここは思いっきりの歯応えで上下のバランスを極限に高めます。

馬肉やマリネの美味しさももちろんですが、僕が驚いたのは生地もおざなりにしない料理人の気配りでした。

茄子ブラータと呼ばれるおひたしもチーズと茄子の相性が良く、それを作り、表に立たせているのは、上に乗る薬味のジュリエンヌ(細切り)のサラダ。

アクセント程度にあしらってはいるものの主張せずにあくまで茄子の後ろ側にひっそりと立っていました。

ここでも気になったのは皮焼きのレベルの高さ。

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茄子の皮を剥きつつ、しっかりと八方出汁が浸るまで待つことの出来る焼き茄子の実の硬さ。
それを可能にする焼きの技術。

茄子の頭の部分から料理人の丁寧さが本当に伝わってきました。


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またまたこれも食べたかった【朝ディナーのオムレツ】
卵半熟がチーズの濃度と等しく、ソースの温度差と相まって旨みと軽いホワイトバルサミコの酸味に奥行きを作っていました。

オムレツを焼くことは料理人にとって基本です。
しかしながら、セルクルを使い表面と中心の火入れを分ける技術の高さはオムレツの裏面を見てはっきりとわかりました。

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綺麗な焼き色はアパレイユの状態をしっかりと把握している証拠で、これまた高いレベルを感じました。

勝てません。
Sioしか勝たんって感じです。

スタッフの皆様の会社への愛


本当に失礼なことだとはおもいますが、僕には今まで愛社精神がありませんでした。

料理人として技術をつけるということと、会社のビジョンを好きになるのは僕の中では別で、技術を得るためには基本的に会社を好きかどうかは関係ないと言うタイプでした。

しかしながらここではそれが覆りました。

スタッフ方々が時折出す本音です。

ペアリングドリンクや料理の説明は、説明する方々が暗記した内容でご説明してくれていました。

しかし途中で妻が何気なく【制服が可愛いですね】と言った一言でスタッフの方が【どれだけ会社を好きなのか】がわかりました。

東京でも使っているユニフォームの腕部分に付いている【washed hands】と書かれている一文を紹介してくれた女性のスタッフの方。

さりげないポイントを楽しそうに話す姿には【嫌なことをされていないんだなー】という背景が見えました。

飲食業、料理人として14年目の僕には【働く=イヤミの連続】でした。
その反骨精神での上達もあるのでしょうけど、素直に【そんな働き方が羨ましい】と思いました。

僕が作りたい会社の理想像は、Sioが先に作っていたし、僕はそれを習うこともコースの料金に含まれていたと感じました。

また良くスタッフの方の口からは鳥羽シェフの名前が出てきました。

トップなんだし、発案者なんだから当然か。
みんな鳥羽シェフのTwitterを見て予約しているんだもん。当然か。

とはじめは思っていましたが、なんだか違いました。

スタッフの方の話し方が【当然知っているよね?】というような話し方(書き方が下手ですが嫌な意味ではないです。)で、
給料でも勤務時間でもなく鳥羽シェフの理念に深く共感して働いていることがよく分かりました。

今日僕の時間帯であの場に10人のお客さんがいました。
1人1万円のコースなので10万円
回転数で店の売り上げがはじき出せます。
しかも客はそもそもSioを気に入ってくれている人。
来店の経験はなくても僕のようにイズムに共感してくれている人で構成されています。
完全予約制で売り上げの大部分が確定している中でも一切ホスピタリティーに真剣さを抜かない姿勢は、上に立つ人への共感やその場で働いていることへの誇りがあるからだと思います。
ない、もしくは少しでもかけていたら人間は必ずサボり出します。
だって利益は確定しているんだから。

きっとあのばにそんなスタッフはいなかったし、みんな自らあの場に臨んで立っている【しっかりとした現場感と自責の気持ち】があったからだと思います。

すごかったです。
やばかったです。
羨ましかったです。

あとあのユニフォームは販売して欲しいです。
客を代表してお伝えします。
めっちゃかっこいい。


Sioとニューワールドの特別コース(後編)

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特別メニューには魚料理がありませんでした。

しかしながらそれを当たり前に受け入れられる客の気持ちは、その前に仕込まれている丁寧な和出汁で十分に魚の存在を知っているからだと思います。

全く問題ありませんでした。


肉料理は驚きの連続でした。
肉の火入れは美しく美味しかったです。
それではありません。

ソースです。今まで料理人として働いてきて、フレンチにおける旨味の足し算は嫌と言うほど勉強してきました。
魚をだし汁に鶏の出汁汁を加える。肉のだし汁を煮詰め旨み凝縮する。

ウマミ+うま味=旨みと言う方程式は散々目にしてきましたが、
この肉料理における甘味の存在はいまだかつて経験したことがありませんでした。

わりしたベースで作られる丁寧な肉のソース。
そこに添えられる甘みを含んだカプチーノ。
奥に作られている甘味基軸と旨味の黒にんにくのピューレ。

そこにベーシックだけど高等技術である肉の火入れ。

噛むたびに肉の甘みが丁寧なアセゾネ(塩打ち)で際立ち、わりしたの濃く深い甘めのソース、口の中でスーッと消えていくカプチーノの甘さと余韻にひたる黒ニンニクの力強くもくどくない甘味。そばで支える椎茸の旨み。

皿の中で別の甘さが4層になってそれらがリレーしていることに驚きを隠せませんでした。

皿を舐めたろうか と思うくらい美味しく、スタッフの方に【綺麗に食べてくれてありがとうございます】と言われた時には勝手に少し恥ずかしかったです。

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丁寧に作られるガストリックの奥深さは本当に大好きです。

ナイフも舐めたろうかと思っていましたがやめました。
他の場所なら間違いなく舐めていました。


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〆の一皿は妻とシェアしました。正直1000円のオプションで二つ食べれる選択肢がありましたがなぜ選択しなかったのか未だに後悔しています。

パスタの理論で茹でられた麺はそれ自体に味を含み、スープはそれを見越しての引き算の塩加減。
ブイヨンと魚の丁寧な出汁での旨味の掛け算は正直【最後でかましてきたな】と思いました。

しらすも上質なものでしたが、隠れているご飯が素敵でした。
きっとStaubで炊いているのでしょうか。
炊き方、合わせ方も絶妙です。

また【しらす丼はスプーンでガッと食べていただいてもいいです。】と言ってくれた一言。
あそこまでレベルの高いご飯としらす。
卵がとろけ出したらはっきり言って箸では無理です。
僕が箸を使うのが下手くそなのかと思いましたが、あの一言は嬉しかったです。

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最後にアイス。
周りのお客さん、僕の妻。
【おいしー】。
やまかしいわ!!

このアイスのレベルの高さ教えたろか。と心の中で突っ込んでいました。

クリームチーズの入ったミルクジェラートはとても滑らかでした。

もちろん上品でコク深くとてもおいしかったのは言うまでもありません。
それは写真で見ればわかると思います。

大事なのはその滑らかさ。

基本的にミルクに硬さの違うクリームチーズという硬さの違う二つのものが混ざっていてあの滑らかさは、作る時点での各素材の硬さの平均化や乳化がしっかりとできていないと生まれません。
ルセットも美味しいのだとは思いますが、滑らかさは何回裏ごしたん?ってくらいの美味しさでした。

アイスでテンパリングしてんのかってくらい衝撃でした。
あれは敵わない。

食べ終わってみると

食べ終わる前、少し自分の中で焦っていたことがありました。

何が一番印象的でしたか?

という質問です。
僕の舌がアホなのか、頭が悪いせいなのか、集中できていないせいなのか。

僕は食べ終わった後は【チーズケーキのアイスクリーム】の味しか覚えていませんでした。
本当に申し訳ありません。今なら思い出せますが、あの時は本当に覚えていませんでした。
しかしなぜ覚えていないのか。
自分に都合よく解釈しなくてもたどり着いた答えが一つだけありました。

コースのクオリティーがありえないほど高いんです。

コースとは各々の料理が主張し続けてはいけません。

各皿が一瞬光り、次の皿にバトンを渡す。
次の皿はその光を受け継いでまた輝き次にバトンを渡す。

それがコースだと思います。
それでコースな気がします。

僕が今まで食べた内容を覚えていないのは、僕の舌がポンコツなのは一旦置いておき、

図られた設計図の上で僕が進んでいたからだと思っています。

もちろん全ての料理が美味しかったです。
全てのペアリングが美しかったです。

でもそれを流すコースの構成は、最後のアイスしか残していませんでした。
覚えれないくらい完璧で滑らかな曲線でした。

緻密さがどこにでもある


また驚いたのは他にもあります。
店内の設備です。
キッチンの業務用の調理器具はしょうがないとしても空調にまで普通雰囲気を詰め込むかなと思いました。

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店内の空間を邪魔しないような配色は空調から始まり、椅子や皿など細部に見られました。
もうこれは正直ストイックすぎてプロの中のプロでした。

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一番の衝撃は【箸】です。

席に着くやいなや、一番印象深く目に留まるのがオリジナルの箱に入った木の箸。

みんな注目したと思うし、みんな気に入っていたと思います。

その箸を最後に持って帰れるプレゼント。
何がすごいかって、箸拭きを用意してくれていまいした。

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これは立ち上げ時の初めの箸のチョイスの時に、お客が箸を気に入ってくれるのが分かっていたかのような流れです。

言い方がうまくありませんが

みんなコレいいと思うよね?みんな気になるよね?

と自信を持っていたようにも見えました。

最後で全てを詰め込んだ箸のプレゼント。

そしてそれが嬉しいとわかっている準備の良さと意識の誘導。

コースでの誘導がうまかったようにニーズのキャッチがハンパないです。

どれだけ完璧に設計されているんだと思いました。
この流れは最近でいったら庵野秀明監督のエヴァンゲリオンの緻密さにそっくりです。

シン:シオ】みたいなノリでした。

しかしながら接客の価値作りはそういったところなのだと深く考えさせられました。


僕が最後に後悔したことは会計時に折れた一万円札を2枚で支払ったことです。

レジの中で一万円札は折れることはありません。

大抵が他の札が上で重石となるようにしまう場所が設計されています。

僕はあの場に新札の一万円札を2枚持っていくべきでした。

それで後日食材の買い物をするかもしれません。

その一万円が他の取引先に流れるかもしれません。

僕が感じた【嬉しさ】をそうやって派生させる努力をするべきだったと考えていました。

フランス料理のコースは普段からよく食べる人からすると物足りないことも少なくありません。
しかしながら腹八分目でも満足できる理由、お腹いっぱいにならなくても満足できる理由は【そこでの時間が自分にとって刺激的だから】だとおもいます。

今日は今まで見たことのない【素晴らしい時間】をしっかりと可視化できた日だったと思っています。

ザ・ニューワールドの店長様(はやちゃんさん)をはじめ多くのスタッフの方々にモチベーションをいただきました。
東京のSioに行きたくても簡単にいけない現状、大阪でのこの機会は本当に嬉しかったです。
また弁当売れ残ったら僕の家に着払いで勝手に送って欲しいとおもました。

素晴らしい時間をありがとうございました。

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働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。