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経済を動かしているのは地理である 【読書日記】経済は地理から学べ!

本書の結論。
人間の行動は土地資源
奪い合いでした。 

地理を学ぶことで、
土地と資源の奪い合いで示される人間の行動に

より深い解釈を加えることが可能なのです。


どうも、安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタント
のタルイです。

週イチでnote更新してます。


今日は、いつもとはジャンルが違って
「経済」と「地理」のお話です。


ですがとっても面白い本だったので
紹介しますね。


地理はつまらない!


あなたは『地理』と聞くと、
国内外の河川や山脈の名前を
暗記させられたりしませんでしたか?


そのせいか、地理は退屈な授業だった印象がありませんか?


本書で知りました。

地理とは、地形や気候といった
自然環境を学ぶだけの学問ではないのです。


地理とはその土地の理(ことわり)です。


本来の「地理」は、
産業や貿易、交通、人口、民族など、
現代世界で目にするありとあらゆるものが含まれています。

なぜ資源に価値があるのでしょうか?

それは資源は有限だからです。

有限だからこそ
需要と供給によって価値が決まります。

すると何が起こるかというと
「資源の奪い合い」が始まります。


過去にあった悲惨な戦争や紛争の影には
かならず「資源の奪い合い」がありました。


貧しい国や人が豊かになると戦争が起きる。


これは「地理」からみれば
物理的必然であり
歴史が証明してきた事実なのです。


つまり、
地理を知れば、そこに住む人の気持がわかるのです。


ご興味を持っていただけたでしょうか?

ここからスタートです。


◆著者の宮路秀作さんは代々木ゼミナールの人気講師


宮路秀作

画像はこちらからお借りしました。

代々木ゼミナール・Y-SAPIX東大館地理講師の宮路秀作氏は、同予備校で「東大地理」「センター地理」などの講座を担当する実力派として知られ、講師1年目の2008年度から現在まで9年連続して「生徒アンケート全国1位」を獲得。


本書の最後「おわりに」で
著者が本書に込めた思いが
書いてありました。

日本人は歴史好きが多い。そして

歴史と地理は車の両輪のような関係だそうです。


たしかに戦国時代、
大名たちは限りある領土を奪い合い、
「国盗り物語」を描きました。

歴史好きの人に、地理が分かれば
歴史がもっと面白くなることを伝えたい。

これが著者の思いでした。


本書の目次をご覧ください。

目次
はじめに 地理がわかれば、経済ニュースがもっとわかる!

序章 経済をつかむ「地理の視点」
No.01 自然:地球が人類に与えた「土台」とは?
No.02 スケール:大きく見るか? 小さく見るか?
No.03 資源:なぜ奪い合いが起きるのか?
No.04 距離:経済は「4つの距離」で動いている

第1章 立地 地の利で読み解く経済戦略
No.05 日本の経済戦略は「資源の輸入国」から“先読み”できる
No.06 地の利を活かした「インドのシリコンバレー」
No.07 1枚の地図で読むロシアとヨーロッパの経済的つながり
No.08 イギリスのEU加盟がアジア・太平洋に与えた「影響」とは?
No.09 経済発展のカギは低賃金!? 先進国スペインの“地の利”
No.10 インド、タイ、メキシコ。最強の自動車生産体制を探る
No.11 経済大国のキーワードは「1位機械類、2位自動車」である
No.12 北半球の重要拠点、アンカレジ空港が持つ地理的優位性
No.13 カスピ海の原油を巡るパイプライン敷設の“落としどころ”

第2章 資源 資源大国は声が大きい
No.14 「水道水が飲める国」資源大国としての日本
No.15 資源戦争! 中国VSオーストラリア・ブラジル
No.16 希少資源、レアメタルが生んだ悲劇とは?
No.17 アルミニウムがわかれば、資源大国がわかる
No.18 大国ロシアを悩ませるチェチェン共和国の“声”
No.19 資源大国ブラジルに見る「安定」資源とは?
No.20 EUに加盟しない実力国、ノルウェーの正体
No.21 ダイヤモンド国家ボツワナの「3つの地理的悪条件」とは?

第3章 貿易 世界中で行われている「駆け引き」とは?
No.22 なぜ、トランプ大統領はTPPから離脱するのか?
No.23 日本のEPAに学ぶ「本当のWin—Win」とは?
No.24 オーストラリアの稼ぎ方|豊富な資源を自国利用しない
No.25 物理距離は4000km! アメリカは木材を買う? 売る?
No.26 ブラジルとヨーロッパを結ぶ意外な産業とは?
No.27 中国の14億人を支える食材とその危うさ
No.28 中国が投資を急ぐタンザニアのポテンシャル
No.29 貿易黒字なのに経済が発展しないメカニズム

第4章 人口 未来予測の最強ファクター
No.30 土地も資源もない日本が、なぜ経済大国になれたのか?
No.31 人口の増加に欠かせない2つの要素とは?
No.32 人口大国の共通点は「5つの農作物」
No.33 人口、GDP、貿易額で比較! 最強の国家群は?
No.34 なぜ人々は東京に集まるのか?
No.35 日立市の人口が減って、豊田市の人口が増えた理由
No.36 少子高齢化でも売上を伸ばしている意外なビジネスとは?
No.37 一人っ子政策の廃止|中国経済の光と影に迫る
No.38 「高度人材」が次々生まれるスウェーデンの移民政策

第5章 文化 衣食住の地域性はなぜ成り立つのか?
No.39 シンガポールの強さの秘訣は「みんな仲良く」
No.40 ソーセージ、ジャガイモ、ビールは天の恵み
No.41 イギリス料理が「マズい」といわれる本当の理由
No.42 世界をリードするニュージーランドの酪農
No.43 美味しいワインは「気候」から生まれる
No.44 牛肉輸出量世界一! インドを支える「牛」の力

おわりに 地理とは、いったい何を学ぶ科目なのか?
特別付録 「背景がわかれば、統計は面白い」

本書は「立地」「資源」「貿易」「人口」「文化」という5つの切り口から 

世界の「今」と未来を
先取りできる視点を提供しています。

私は本書から
あえて「日本」に関するところを軸に
今回まとめてみたところ

ちょっと今までの経済書とは 
違った日本が見えてきました。


今回はその感想をシェアします。


◆ 「資源の輸入国」から日本の経済戦略を先読みする

あなたもご存知の通り
日本はエネルギーと鉱物の資源とも
産出量が少ない資源小国です。

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その日本が各資源を
どこの国から輸入しているか
あなたはご存知でしたか?

原油: 中東に依存しつつも近年はロシアからも
石炭:頼りはオーストラリア、インドネシア
天然ガス: オーストラリア、マレーシア、カタール
鉄鉱石:オーストラリア、ブラジル

こうしてみると日本にとって

東南アジアオーストラリアとの
関係は最重要です。

海外の政治や経済のニュースですと

やれアメリカがどうしたとか
中国が何かやったとか
韓国がまた何か言ってきたとか

こういった情報が多いので
気にすることがなかったですね。

日本に入ってくる資源は
海上輸送ですから
東南アジアやオーストラリアと関係が
仲悪くなったら最悪なのです😱


それから

日本とロシアの関係は
北方領土問題があるので
仲悪そうですが
(平和条約は結ばれていない)

いま経済的交流は活発でした。

片方の手で殴り合いつつも
片方の手で握手できる関係。

大人の駆け引きだな🤔


◆実は資源大国でもある日本❗その資源とは...

さきほど日本は
資源小国であると書きましたが

実は資源国でもあるのです。

それは『水』です。

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日本は水資源が豊富な国です。

私たちは
「水と安全はタダ」
当たり前に思ってます。

ところが、水道水が飲めるのは
世界でたった15カ国しか
ありませんでした。

現在、世界では約7億の人たちが
水不足の生活を強いられています。


20世紀は自動車や航空機が登場して
石油をめぐる争いが絶えないことで
『石油の世紀』と呼ばれました。

21世紀は『水の世紀』なのです。

世界の大河川では
上流での水需要が多くなり、
下流で水が枯渇し始めるなど

別の理由をめぐって争いが起きています。


途上国の工業化や生活水準の向上は
水不足を押し上げています。

水不足は食糧生産のハードル
押し上げることにもなります。

水不足は食糧不足に直結するのです。



◆資源も土地もない日本の2つの強み

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実は、日本は国土面積は世界197カ国中61位
上位3分の1に入る比較的広い国なのですが

一般的には日本は狭い国と認識されています。

また日本は地形の構造上
鉄鉱石の歳出はほとんど期待できません。

ではなぜ土地も資源もない日本が、
経済大国になれたのか?その要因は

教育水準の高さ、そして人口の多さです。


明治時代日本は西洋諸国の優れた文化や
学問を導入して発展していきます。

その下地があったのは江戸時代の教育です。

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江戸時代の教育水準の高さは、
全国に存在した寺子屋の存在が
大きいと言われてます。


日本はほとんど同一の民族だけで生活してきました。

人口が多いことから同じ業種でも
 多くの企業が存在しました。

企業間競争は技術競争でもあります。

この競争が技術水準を押し上げました。


資源小国人口が少なければ
「観光立国」を目指す
という選択肢ぐらいしか残されていません。


やはり人口が多い国、
要するに国内需要が大きい国は強いと言うことです。


日本の人口は約1.27億人で世界第11位です。

しかし日本はすでに人口減少社会に突入してます。

やはり国が
積極的に対策をしないことには
少子化は解消されないようです。


◆日本がシンガポールに学ぶべき
 「みんな仲良く」成長戦略

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土地がない!資源がない!

それは日本だけではありません。
シンガポールもです。

そんなシンガポールは独自の成長戦略を描いていきます。

シンガポールは国民の4分の3が中国系です。
しかし中国系を優遇するような政策はありません。


中国系が話す中国語
マレー系が話すマレー語
タミル人(インド系)が話すタミル語

なんと、これら全てを公用語と設定しました。

もちろん英語も公用語として制定されています。


主要民族の言語を全て公用語にした結果...

民族対立はほとんどなく
非常に政情が安定した国なのです。


英語が公用語、
そして政治が安定していることで
 海外からの投資を呼び込むのに
十分すぎる条件がありました。

政情が安定し、観光業や金融業が発達しました。
台風が来ないことも経済発展の要因の1つでした。


シンガポールの資源は「人間」なのです。

人口が少ない国の経済成長において
人材育成は最優先課題なのです。

シンガポールは「みんな仲良く」を国是として
経済成長を遂げてきたのです。


「みんな仲良く」


これは日本人なら、

見習って取り入れられそうな国是ですよね。




◆〈まとめ〉地理とは本当に「地球の理(ことわり)」だった

私の本書のまとめとしては一言。

本当に「地理は地球の理(ことわり)」でした。


私は本書をきっかけに
経済の物事の道筋が見えてきたことを
ここで最後にシェアします。


まず、日本は資源と土地もない通説ですが
視点を変えてみると「超資源国家」です。

●日本は世界6位の面積を持つ海洋国家です。

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日本が自国でのレアメタル産出という
手段を持つことができれば、

主要産出国や海外の供給企業に
コバルト製品生産に関して

生かしたり殺したり、
与えたり奪ったりしている現状から
脱却することもできるのです。



●日本は「都市鉱山」では世界一です。

都市でゴミとして大量に廃棄される
携帯電話やパソコンなどの小型家電には、


金や白金、コバルト、タンタルなど、
さまざまな金属が使われています。

こちらの記事に書いてありますが

金、銀、鉛、インジウムは、
日本がなんと世界最大の資源国なのです

ただし...が付きます。

都市鉱山が世界規模なのは
「蓄積量」であって「埋蔵量」ではありません。

「埋蔵量」とは、採掘して経済的に成り立つもので、
まだ掘っていない量のことです。


「蓄積量」はその国に存在しているだけの量であり、
ゴミとして埋め立てられたものや
散逸したものも量として含まれてます。

これらをリサイクル可能になるまでに
多くの努力が必要なのです。

ここにもSDGzです。


●日本の水資源は海外から狙われている!?

10年ぐらい前に、
「日本の水が外国から狙われている」騒動がありました。

この記事を読む限りですと
どうやら本当のようです。

日本は外国人による土地取得の規制がないそうです。



●労働人口5000万の日本が、10億人の国に生まれ変わる

ソフトバンクグループの孫さんが
またもや未来に夢を与えてくれそうです。


「ロボットの時代とAIの時代をかけ合わせる、“スマボ” の時代がやって来る」

「スマートロボット」略して”スマボ”。

現在、日本では少子高齢化によって
労働人口が減少の一途をたどってます。

また、AIやIoTなど先端技術の導入が
大幅に遅れていることで
生産性も低迷しています。


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「24時間働くロボットは8時間労働の人間3人分に当たる。
加えてAIを活用すれば生産性を3.5倍にできる」

つまり、
1台のスマボで約10人分の競争力になると力説。


スマボが進めば「うなだれていたPepperも応援する」

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孫さん、ジョークも最高です🤣🤣🤣


孫さんが出資企業の中で
「世界で最も(ロボット技術が)進んでいる」
と説明してます。

Boston Dynamicsの二足歩行ロボット「Atlas」

なんとロボットがパンクールやっちゃってます!

すげーヌルヌル動いてます。


「大ボラ吹きというのは大きなビジョンを持っていることの裏返し」

と常々語ってる孫正義さん。
今回の大ボラ吹きも最高です😁


私の記事では「日本」だけまとめましたが
本書は世界の地の理(ことわり)が学べます。

学校で教わりたかった内容満載です。


最後までお読みいただき
ありがとうございます。

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役立てております。


◆著者の宮路さんから感謝の言葉を頂きました。

嬉しいです😊


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