〈○○フリー深堀シリーズ5〉そもそもシュガーフリーって何だろう?

1 シュガーフリーとは

 シュガーフリーとは体に影響を与える可能性があるほどの糖質が含まれていない、もしくは糖質を使用していない食品のことをいいます。しかし、シュガーフリーという言葉よりも「シュガーレス」「糖類ゼロ」「無糖」という言葉のほうが良く耳にすると思います。ここで注意していただきたいのが、日本の食品表示上ではこれらの表示であっても、糖類の含有量が必ずしも0.00%ではないという点です。
 日本においては糖類で「ゼロ表示」できる基準として、「食品100g中(または飲料100ml中)の含有量が0.5g未満」と規定されています。ここでいう糖類とは、単糖類や二糖類をさし、糖アルコールは対象にはなりません。(※1)

※1 独立行政法人 農畜産業振興機構「糖に関する表示について」(閲覧日:2024年1月22日)
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000240.html

炭水化物、糖質、糖類の分類

2 シュガーフリーが広まった背景

 2015年のWHOの「成人及び児童の糖類摂取量」(※2)にあるように、様々な研究から糖類の摂取量と生活習慣病に分類される肥満や糖尿病、う蝕などの疾患リスクとの関連性が指摘されています。糖類の摂取量を抑えることにより、これらの疾患の予防につながるという考えからシュガーフリーの考えが広まっていきました。
 特にアメリカなど肥満が社会問題になっている国においては菓子や飲料だけではなく、加工品や調味料にもシュガーフリー食品が多く販売され、砂糖の代替となる低カロリー甘味料やノンカロリー甘味料を選択する人々の割合が増えたという研究結果も報告されています。(※3)

※2 食品安全委員会「世界保健機関(WHO)、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表」(掲載日:2015年3月4日)(閲覧日:2024年1月22日)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04220570294

※3 Allison C Sylvetsky,corresponding author Jean A Welsh, Rebecca J Brown, and Miriam B Vos.Low-calorie sweetener consumption is increasing in the United States1,2,3.Am J Clin Nutr. 2012 Sep; 96(3): 640–64; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3417218/

3 シュガーフリーのメリット・デメリット

(メリット)

①    糖類の摂りすぎの予防
 糖類の過剰摂取と疾患リスクとの関連性が様々な研究結果から指摘されています。シュガーフリー食品の活用は糖類の摂取量を根本的に減らすことにつながるため、関連するこれらのリスクを下げる効果があります。2で取り上げたWHOの「成人及び児童の糖類摂取量」によると“成人及び児童の1日当たり遊離糖類摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満に減らす”よう勧めており、砂糖が含まれていない「非糖質系甘味料(天然甘味料および人工甘味料)」(つまり、シュガーフリー食品)を合わせて活用することで、糖類を適正量に保ちながらも食事の満足度を損なうことなく愉しむことができます。
 しかし、WHOが2023年5月に発表した「ノンシュガー甘味料の使用に関するガイドライン」(※4)の中で、「体重管理又は非感染性疾患のリスクを減らすための手段としてノンシュガー甘味料を使用しないことを勧める」という条件付きの勧告を行っており、あくまで健康的な食事を実践、維持する上での一助としての使用を勧めています。

※4 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部「食品安全情報(化学物質)No. 11/ 2023(2023. 05. 24)」p.5-6(閲覧日:2024年1月22日)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202311c.pdf

(デメリット)

①    砂糖の代替にされる人工甘味料の安全性
 非糖質系甘味料のうち人工甘味料の糖代謝に及ぼす影響についてはまだ十分わかっていないとする指摘もあります。習慣的な人工甘味料の使用は、味覚や腸内細菌叢の変化を介し、糖代謝に悪影響を及ぼしている可能性も示唆されています。(※5)
 食品に含まれる非糖質系甘味料は食品添加物として食品安全委員会の安全性評価を受け、健康への悪影響がないとされる「一日摂取許容量」(ADI)をもとに使用量が設定されています。

※5 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」(閲覧日:2024年1月22日);https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.html

4日本での広がり

 2006年に「メタボリックシンドローム」という言葉が一躍脚光を浴びると、日本でも生活習慣病として肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが注目され、カロリーや糖質、脂質を意識した食品が注目を集めるようになりました。また、ダイエットや健康志向の高まりにより低糖質、糖質制限の食事の需要が高まると、関連商品としてシュガーフリー食品や非糖質系甘味料を活用した商品が販売されるようになりました。






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