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今しか観られないリーガルリリーの純度

今すぐテレキャス買いに行きてェェ〜!!
フィードバックノイズの海で溺れてェェェェェ〜!!!

なんてことをライブ中ずっと思ってた…。
リーガルリリーってこんな感じなん?

もう忙殺されてインスタのリール動画がおっぱいと保護猫とスケボーだらけになる(前回参照)病みっぷりの中、音楽へのアンテナは機能を停止していたワケだが、いつのまにか自分の奥深くに眠ってしまっていた音楽に対する衝動に光を当てて浮かび上がらせた…いや、ナイフ突き刺してえぐり出し突きつけられた感じ。

これから長々と書きますが、これは、初Zepp Hanedaで、今年のくるり納めで、初リーガルリリーだった「cell, core 2022」というツーマンライブイベントを観たくるり好きが、

リーガルリリーというバンドのライブは
今しか観られない

ということを、まだ観たことのないヒトに伝えたくなって書いた文章です。


突然行くことにした

ライブの存在自体知らなかったのに、公演3日前の真夜中、現実逃避中にYouTubeであらきゆうこ×ゆきやま(リーガルリリーDr)のツインドラム、くるり佐藤征史ベース、松本大樹ギターでワンダーフォーゲルを演奏してる動画を観たらテンションが上がってしまい、チケットをチェック。

今年もう一度くるり観たいし、丁度この前、昔ガールズバンド好きだったなと思い出したばっかりだし、リーガルリリー観たことないからツーマンとしてはアリだし、コレは行けって言われてるとしか思えない…ということで奇跡的に残っていたチケットを衝動買い。衝動買いとか何年振りだろうか。

そういえばこの動画のトーク部分で、図鑑であらきゆうこが数曲叩いてるというのを初めて知って、マジか!ってなったな…。


ちょっとだけくるりの感想も書きたい

トップバッターのくるりが、いきなり街、そして東京、さらにばらの花、そしてハイウェイという流れ…マジか!くるりと共に生きてきた往年のファンもご新規さんも、ずっきゅんさせにかかってんな!という曲順で、今まで観たことなかった初のあらきドラムくるりで大満足だったけど、今回はリーガルリリーのハナシなので割愛。


チャットモンチーみたいにキャッキャしてない

チャットモンチーがそこまでキャッキャしてたか正直覚えてないんで、あくまでイメージなんだけど、そういう感じを想像してたのに、アンコールまでMC少なめだった。(ちなみにチャットモンチーはわりと好きだったし悪口ではないです。吉祥寺の銭湯に橋本・F・高橋で演ったの観たり、フジでうどん買うの並んでたらの目の前にメンバー並んでてびっくりしたの思い出した…。)

「くるりが対バンでライブ前日に緊張したけど、ライブ観たらテンションが上がった(ベースの子)」とか、「前日にくるりでダジャレ考えてた(ドラムの子)」とか、覚えてないけどわりと真面目なハナシ(ギターボーカルの子)をしたりといった感じで、それぞれキャラが分かれてるのがわかったし、演奏中は真剣だけど(当たり前か)それ以外はキャッキャしてるのかもなと想像したりもした。

奏でる音楽が一番大事だけど、メンバーのキャラが立ってるのも良いバンドに必要なスパイスだと思う。


なんでそのフォーメーションなのか

さっきの動画と、このライブと音源以外の情報が一切ない状態で書いているので理由は知らないけど。
左からギター、ベース、ドラムの順で、ベースが少し奥の位置関係で、トライアングルフォーメーションというか…みんな内側を向いてるし、いつも練習してるスタジオと配置一緒なんか!?みたいなフォーメーション。

フツー全員なるべく正面を向いて立とうとすると思うんだけど、そうじゃない。なんというか、この3人で共鳴し合って音楽を紡いで幸せな空間にします!観ててください!みたいな感じがする。客席を煽って盛り上げるような動作も多分ほとんどなかったし、音楽に対して純粋な感じが伝わるフォーメーションかも。

こういう視覚的な(だけではないと思うけど)部分は音源だけじゃ伝わらない、ライブだから伝わって、曲がさらに強力になる部分だし、そこがライブの良さだなと思う。


ギターボーカルが裸足

察してしまう。


リッケンバッカーだけやたらキャッチー

いやまあ知ってた(覚えてた)曲がコレだけだったというのもあるかもしれないけど、この曲のイメージでライブに挑むと面食らうかもしれない。

あの見た目であんな良い声で、こんなにポップと紙一重の曲調でディストーションとフィードバックノイズの大洪水。…と言っても、シューゲイザーのような感じとは程遠いから、そういうのを期待すると全然違うんだけど、個人的にこういう音を鳴らすバンドのライブを久しぶりに観たから余計にそう思ったというのはある。

リッケンバッカーをテレキャスターで弾くんかい!みたいなツッコミを心の中でしてニヤニヤしつつ、ああ、たかはしほのか (Vo.Gt.)は本当に音楽が好きなんだな思った。楽しそう。歌ってる時もギターを弾いてる時の動きとか、気持ちよさそうだし、楽しそう。楽しそう? なんというか、音楽と一体化している感じがする。

リッケンバッカーの歌詞通り、音楽に生かされてる感じ。そしてその音楽で生かされている自分。


おっさんの聴く音楽ではない

今すぐテレキャス買いに走って、
フィードバックノイズの海で溺れたい。
とにかく溺れたい。
大学生に戻ってヒマな時間全部、
フィードバックノイズの海で浮かんでいたい。
そう思ってしまった。

歌詞にしても音にしても、若者が発する音楽そのもの。
学生だったら、どハマりしていたと思う。
おっさんには鳴らせない音。
音楽に年齢は関係ないと思うけど、それは若者から出てくるものとは根本的に純度が違うし、感じ方も年齢によって変わってくるのは当然。

こんな純度の音楽に接した時に、これはおっさんの聴くような音楽じゃないと判断するのがフツーだと思う。
だってツラいし。自分が失ったものを、輝きを放っているものと対峙した時に冷静でいられるような、ちゃんとした大人になっていないから。そんな青春をこじらせたようなおっさんには、若者とは違う角度から刺さって激痛が走るだろうし、そもそも刺さらない人には必要ない音楽。

対バンのくるりと続けて観たから余計にそう感じたのかもしれない。

「さよならストレンジャー」と「The World Is Mine」と「ワルツを踊れ」では全然違うし、くるりはその時々でやりたいことが違うバンドで、それが成立しているのはスゴいことだなと思う。
くるりはめちゃくちゃ上手いし、説得力がある。でも今、リーガルリリーのような純度の音楽は作れない。大人すぎて。


いつまでも活動し続けるバンドではない

前回も書いたが、ガールズバンドを長く続けることはかなり難しい。しかも、この純度を保ったまま続けるなんて不可能だと言ってもいい。
ガールズバンドに限ったことじゃないけど、成長の過程で環境も心境も変化するから、リアルな感情を放出できるのは今しかない。10年後20年後に同じ曲を演奏しても、今と全く同じエネルギーを、輝きを持つことはない。だから今、観て欲しい。そう強く思った。

明日にでも解散すると思っていた方がいい。
そんなバンドをいくつも観てきたおっさんだから言えること。どんなに最高のアルバムを作っても急に解散したりする。マジで急にいなくなるから。

音楽に対する向き合い方が真摯であればあるほど、身を削っていればいるほど、どこかにほころびが生じてバンドが短命に終わるのは当然な気がする。それくらいのエネルギーが必要だということだ。

最近は再結成することに抵抗がなくなってきたところがあるし、ノスタルジー消費にとどまらず新しいファンを獲得するくらいの勢いな上に油の乗り切った演奏をするバンドもいて歓迎だけど、メンバーがこの世を去ったら再結成もできないし。何より、本当に当時のままの音を鳴らすことはできない。本当に当時のように自分が感じることもできない。

だから今のうちに観ておくしかない。
彼女たちの今、この瞬間にしか出せない音楽を体感できるのは今だけ。
喜びも悲しみも、すべての葛藤を飲み込んで鳴らしている音を浴びることができるのは今しかない。

リーガルリリーはカッコ良い。


ていうかアンコールで虹カバーァァァ!!
カバーというかリスペクト溢れて虹を演奏しました
っていう感じでオリジナルっぽい感じでやったりして、
いいイベントだった。

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