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音楽の師匠のメールを夜中に開いた話

差出人でソートしてメールの整理をしていたら、懐かしい名前を見つけてなんとなくメールを開いてみた。音楽の師匠(自分を音楽沼にハマらせた原因)からだ。

お久しぶりですが生きていますか?
ふと思い出してメールをしてみました。

数年間音沙汰のなかった大学の先輩からのメールで、当時入っていたサークルのメンツで飲み会をしたこと、今は名古屋に住んでいて、映像の仕事をしていること。それと、始めたというブログのURLが書かれていた。

そういえば大学時代に共同で音楽ブログやってたこともあったな…先輩に頼まれて大学の図書館のPCでHTMLを手打ちしてジオシティーズに作ったんだった。タイトルは「太陽の渚を突っ走れ」。好きなバンドのひとつが、Dinosaur JR. だったからだ。

その先輩が新しく始めたブログに飛んでみたらサイトはまだ生きていた。
短い文章と、CDのジャケ写を添えたシンプルなブログ。
ブログよりむしろTwitterにぴったりな分量。

記事をスクロールしていくと、全然知らないハードコア系のバンドが並ぶ中に、ELLEGARDEN/BRING YOUR BOARD!! の記事を見つけた。マニアックな盤を漁っているクセに、メジャーな音楽も聴くというバランス感覚には、すごく影響を受けた。

過剰なプロナウンスィエーションが好きなんです。

過剰ね!確かに!と思いながら、この「過剰なプロナウンスィエーション」という響きと発音に近い字面が好きで、エルレを聴いてると、ふと思い出すのだが、このブログで見た記憶が残っていたということか。

先輩から来たメールに「エルレの良さが元旦にわかりました。メロディーも良いのですが、バスバスゴゴゴゴーという音が好きです。」と返信していて、COUNT DOWN JAPAN で元旦にエルレ観たから好きになったのかと思ったのだが、05/06 のエルレ出演は12/29だったので違うっぽい。

気になったので試しに何年かぶりにmixiにログインしたら丁度2006年にmixiを始めていて、エルレは06/07 の30日のトリで初めて観て、「腸楽しかった(原文ママ…)」ことが書かれていた。ということは、さっきのメールの返信は元旦にCDを聴いたかなんかで好きになったということで、そこからハマって年末に初めてライブを観たというのが正解か。スッキリした。

それはともかく、先輩のエルレの記事が投稿された日付は2006年2月4日、今から17年前だ。その間に、ELLEGARDEN は活動を休止し、活動を再開し、新しいアルバムをリリースした。活動を再開したこと、新しいアルバムについて、また、自分がコロナ後初めてライブで観たことを熱く語ったら、先輩は何と返してくれるだろうか。

大学でサークル(音楽と関係ない)に入って、それまで自分の知っていた音楽の世界はほんの一部分で、世の中には最高な音を鳴らすミュージシャンが数えきれないくらい存在するということを先輩に教えてもらった。

先輩の部屋には凄い数のCDが(床に)並べられていた。
自分もCD屋巡りをし始めCDがどんどん増えていった。
何でこんないいアルバム売るんだろう…でもありがとうって思いながらCDを買い漁っていた自分も、時が過ぎ、1,000枚近くまで増えたCDを処分した。

今ならプレイリストだが、当時はまだiPodすらなかった時代だから、オススメの曲をカセットテープに入れて、定期的にもらっていた。
最近になって、このバンドめっちゃいいな!と思っても、先輩が大学時代に作ったカセットテープに入ってもらっていた!とかフェイヴァリットに挙げていた、みたいなことがたびたび起こり、愕然とした。

好きな音楽の幅が広がって、フジロックにも海外のフェスにも行ったし、社会人になってコミュニケーション能力も学生時代よりはだいぶマシになった今なら、もっとたくさん音楽の話ができると思う。
でもきっと、自分が知らない音楽が山ほど出てきて、やっぱり師匠には追い付けない…と驚きながら嬉しく思うのだろう。

整理して見つけた、先輩からもらった3通のメール。
日付は2006年2月21日、23日、28日。17年前だ。

2006年のフジロックに先輩が大好きだった evvy が初出演した時、ビールをひとつだけ買って「envy フジで観てますよ!スゴいっすね!」と乾杯した。

二つ買いたかったが、あまり飲めないし一つしか買わんあたり…


ビールを飲み、激情的轟音が山に囲まれた自然を支配するenvyのホワイトステージを観ながら、「envy めっちゃ良かったっスよ!先輩も行くべきでしたよマジで!」なんて、このステージを観てきたって先輩に自慢したいのに、もうできないなと泣いたのを思い出した。



正確にはわからないが、
2006年の5月から7月あたりに先輩は亡くなった。


夜、神田を歩いてセブンイレブンに向かって歩いている時に、他の先輩からかかってきた電話で訃報を知り、立ち尽くして泣いた。暖かい日だったから多分6月とか7月とか。結局、葬儀も通夜も墓参りも行ってないので詳しいことはよくわからない。

今もブログを書いている余裕ないほど忙殺されて、LINEも返す時間もないと忙しがっているような状態なのだが、この状態はやっぱり良くない。できるだけ早く、何でもいいから返信した方がいい。なんとしてでも時間は作るべきだと、今強く思ったから、感情が温かいうちに、note に書き記しておいた。忙しいと、今日と同じような明日が来るとは限らないという当たり前のことを、つい忘れてしまう。

メールをもらった当時も忙しかったのだろう。返信の痕跡がないので、先輩から最後に届いた2006年2月28日のメールに、おそらく返信していない。

先輩から最後にもらったメールには、
こう書かれていた。

ところで最近のオススメは何ですかん
ジャンル問わずで。


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