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高校の社会科の先生たちが集まる場で「まなざしの革命」の教室を開く

高校の社会科の先生を中心とする「関西・21世紀社会科の会」の特別企画『「まなざしの革命」の学校』が終了。20名ほどの高校の先生がお集まりになり、皆で一緒に考える時間を持った。

雨の中、会場の近畿大学附属高校の教室の一角を、机と椅子でバリケードを築き、パルチザンの隠れ家風の空間に。薄暗い教室の中で、普段は教壇に立つ先生方が今度はハナムラの話を聞く。こちらも腹を据えて真摯に話さねば。

最初に拙著「まなざしの革命」の第三章「平和」の章の一部を朗読する。これを書いたのはウクライナへのロシア軍の侵攻の前だったが、今やもうこの朗読を聴きながら、誰もがこの戦争のことを想像していたのではないかと思う。

その後、革命旗の裏側に先生に書いてもらった質問を回収し、それに一つずつ答えていく。当然、戦争の話題、プーチンやロシアの話題、コロナとワクチンの話題、自由の話題など、今の時代に即した様々な話題が出てくる。それに一つずつ丁寧に答えていると、三問ほど答えた所でタイムアップになった。

残りの30分は先生方がグループに分かれて、残った質問をディスカッションする時間を設ける。それらを発表してもらって、最後にハナムラが高評する時間を持った。最後に全員で「革命前夜」の映像で語られる拙著の最後の部分の朗読を見て、会を終えた。

締めくくりの際に、僕が高校の社会科の先生に期待していることを伝えると同時に、社会科ほど教えるのが難しい教科はないのではないかと話した。社会というのは多様な見方があり、本来は正解を簡単に決めることは出来ない。

歴史一つを取ってみても、その裏側には選択されなかった無数の歴史があり、どの立場から何をどのように伝えるのかには、何重ものバイアスがかかっている。そしてそこには表裏様々な政治の力学が渦巻いている。

そうしたことを見過ごさず、目を逸らさず、あきらめず、それでもこれから大人になっていく人々たちに何かを伝えるとすれば、まずは自分が実は何も知らないということに真摯に向き合うことが、今こそ必要な気がする。

情報に踊らされて簡単に何かの結論を決め込み、安易なメソッドに飛びつき、答えを単純化して伝える大人のリアリティの無さに、敏感に感じているのは子供の方だ。そんなことになっていないかと、今こそ自分を見つめ直すチャンスではないか。

世界は今、文字通り革命的な状況だ。そんな時だからこそ、私たちは落ち着いて、自らの内面にしっかりとまなざしを向けねばならない。我々大人が落ち着いて問題に取り組まねば、子供たちはどうなるのだろうか。そんなメッセージを最後に伝えた。

終わってから何人もの先生が来て、個人的な悩みや、クラスで抱えている問題を吐露して行かれた。皆もがいている。でもそのままで良いのだと答えた。大人だって答えの分からない状況であることを、しっかりと子供たちと共有して、同じ目線で一緒に考えることが大事だ。

こうして教室から革命を起こしていく。そんな同志たちに力強くメッセージを伝えたつもりだったが、どう響いただろうか。奮い立ってもらえたことを願う。場をご用意頂いた先生方、そしてご参加下さった先生方に心より感謝を。

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