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自分を表しているもの

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私の性格がよく分かるものをまとめています。
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掃除機

 平日朝、一人暮らしのワンルーム。  着替えている途中だった。  ローテーブルに足を引っかけた。その程度のこと、ほんの少し踏ん張れば別に転ぶほどではない。  しかし踏ん張るエネルギーが湧かなかった。なぜか重力が急に強くなった。重力に従った方が、逆らうよりも遥かに楽だった。  床に頬がついた。  埃と髪の毛に覆われた床を見つめた。  ここは、会社よりも楽かもしれない。このまま目を閉じてしまおうか、閉じたら二度と開けないかもしれない。  辛うじて右頬を床から離し、顔を上げて

夢を叶えることが夢だった。 【勝手にリレーエッセイ2023冬 #4】

 こんにちは。「勝手にリレーエッセイ2023冬」グループB第四走者を務めます、潮永三七萌です。 ▼第三走者様のエッセイはこちら 「『自分主体の夢』を持ったことがない」という言葉を受け、私の場合はどうだろうと考えてみました。そこから私なりの夢を見つけ、諦めた経験について繋げて書きました。  エッセイの本文は1728字。1200字までの目安よりもオーバーしてしまいました。  1200字に収めたかったのですが、わにのこさんのエッセイを読んで「本気で書く」と決めたので、過不足の

夢に殺されるくらいなら捨てろ

夢に生かされ、幸せに生きている人はそのままでいればいい。 しかし、夢のせいで不幸でいる人、夢のせいで死にたくなっている人がもしこれを読んでいるのなら。 夢なんか何の役にも立たないのでさっさと捨てて楽になった方が良い。 「夢、もう諦めたの?」と言ってくる人間は、あなたの人生の責任をとってはくれない。最悪の場合、夢のせいで自殺した後で「何で自分に何も話してくれなかったの……」と言って被害者ぶる。 「夢を諦めた」という事実が嫌なら、「夢を捨てた」「夢を変えた」「夢を保留した」

あまりにもスポーツを見ない

 イトーダーキさんが、「アゴラリレーエッセイのオフ会はW杯の試合がない夜にしましょう」と言った。  サッカー好きの幼馴染が数日前、インスタとツイッターで狂喜していた。  今日、給湯器の点検に来た業者さんから「今日は日本戦ですね」と言われた。  私はひたすらに「何事だろう」とキョトンとしていた。  私は、今までの人生でワールドカップを観たことが一度もない。  去年の東京オリンピックでは一つも試合を観なかった。開会式は全部見た。私にとってオリンピックは文化の祭典なのだ。開

エロ本退治

 20年程前、私が小学校4年生頃のこと。  3歳年下の幼馴染の男の子といつものように遊んでいると、人気のない駐車場の隅に、いつもはない何かがあった。  近寄ってみると、一目でいかがわしいと分かる雑誌だった。 「うわっ、エロ本だ!!」と叫んで飛び退き、恐る恐る目を凝らすと結構な量が茂みに隠すように押し込まれていた。  折角誰かが隠したものを、私達は容赦なく引っ張り出した。雑誌と漫画とDVDケースとビデオケースが出てきて、一つ残らず肌色だらけで女だらけだった。  幼馴染は肌

ごどう君と即興コントをした

超普通の会社員だけど即興コントがしたかった あの空間で、まあ場違いだっただろう、私の個性の無さは。別に私は芸術を仕事にする人間ではない。安定した給料は欲しいし雑に名乗れば私の仕事は「事務職」だし、古い大企業で平社員を6年やれるような私は「超普通の人」だろう。もう別にそれでいい。一言で自己紹介しなければならない時はもう、「会社員です」でいい。一言の自己紹介しか聞く機会のない他人など、「こいつクソつまんねえな」の認識でいてくれて構わない。  だからそんな人間が、一言も喋ったこと

無名人インタビューガイド

「無名人インタビュー」というのを受けた。私は正真正銘の無名人なので、もちろんインタビューのオファーなんか来ない。応募したのだ。 「有名人だから面白いんじゃない。人は誰でも素晴らしく面白い」というキャッチコピーに激しく共感し、インタビューを受けた人達の「素直に話せた」「自己分析できた」「自分の大事な軸に気づけた」といった感想や個性豊かなインタビュー記事を読んで羨ましくなり、自分も受けてみるに至った。  まず、この記事は約13,000字もある。1時間分みっちり喋るとこんな分量

転がり続ける多面体

 一番有名なサイコロは6面だが、6面以外のサイコロも数多く存在する。りぼんで連載していた「PARA★ダイス」で知った。  「人間は多面的だし、その多面的な部分を見せたっていい。だから矛盾したことを書いたっていいと思う」と背中を押してくれた友達がいた。だからnoteを書けている。  自分は何面あるだろう?球体ではない気がする。「見せるべき面」と「見せるべきでない面」に明確に境界があり、人前で好き勝手に転がることは許されない。「今日は絶対1を見せろ、出来たら2と5もチラ見せ出来

ホンカツとは ※独自解釈

 好きな本、面白い本を見つけると「ホンカツ」に参加する。  ホンカツとは大学の先輩が運営メンバーに入っている読書会で、5年前にFacebookで案内が流れてきて参加し始めた。初参加時の意気込みがクソしょうもなかったという話は近々上げる。 ホンカツのルールと特徴概要 他の読書会には参加したことがないが、ホンカツは以下のルールで行われる。 ① まず15分間、持参した本を読み返して印象に残った箇所に付箋を貼る。 ② 次の15分間で、印象に残った部分に対して思ったこ