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展覧会レポ「共創の場:ジェンダー問題とアジアのアート・コレクティブ」

ジェンダーの問題と、そういった社会問題を訴える活動がどのように作品として展示されているのかが気になり、行ってきた。

会場の写真

印象に残った作品の感想を書いていこうと思う。

ーリブ新宿センター資料保存会の映像記録


こちらの作品は、昭和の女性たちが解放を求めた活動の一環として行ったパフォーマンスの映像記録。舞台上でさまざまな劇や歌が繰り広げられる。ビデオの長さは1時間以上あり、見切れなかったので、置いてあったスクリプトも活用して作品を鑑賞した。

①一番刺さったのは「キンタマなんて怖くない」の替え歌。
私は怖い、そう思った。ずっと女子高育ちだった。中高大と女子大だった。
大学を卒業し、社会に出た。販売職に就いた。
お客さんから受けたセクハラの数は数え切れない。あげく近隣店舗のおじさんにストーカーをされた。

私は自称かわいいであって客観的に別に美人じゃない、じゃあ何故セクハラされるかって、それは私個人は尊重されてないから。若い女というだけでぞんざいに扱われ、性的対象化される。最近それにすごい嫌気と怒りが湧いていて、ちょうど失恋もしたし、なんかもう男の人嫌だ!ってなってた。私のような女性、私よりもっと怖い目に会ってきた女性は昔から今までいっぱいいる。昔と変わったようでまだまだジェンダー後進国の日本を再確認した。

②これはスクリプトしか見てないんだけど、お茶汲みの女性(22歳)と上司の対話劇のあと家に帰って、お母さんにたいしてお母さんにも若い時があったなんてびっくり(想像できない?)という言葉があった。
これは、女性からの女性差別を示唆する含蓄の深いセリフだなと思う。ここでドラマ『逃げ恥』のゆりちゃんを思い出せずにはいられなかった。

ーー「自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからは、さっさと逃げてしまいなさい」ーー

女性が女性に対して若さにしか価値がないと思い、差別する。
ほんと、こういうの未だに蔓延してる。
それぞれの世代にしかない輝きがきっとある。そう誇れるような女性が増える社会になりますように。


ークィア・リーズ・ライブラリーのzine


クィア内から生まれる言葉はどこから来るのか、またどのような言葉があるのかをzineで紹介していた。

言葉をどこまで広げることを目指すのかは大事な気がする。悪用するクィア以外の人も出てくるんじゃないかと思う。


ーNUMANの活動

ファストファッション化が進み、大量のの安価な洋服が売られ買われ、捨てられる。これはファッション界の抱える大きな問題の一つでもある。そして、安価な洋服は、物によっては低賃金で雇われた人たちによって作られている。こうした社会問題を訴えると同時に、良いものを長く着ることなどの提案をコンセプトとして掲げているのがNUMAN。

その方法として、NUMAN(縫う人)捨てられたTシャツに刺繍をして、Tシャツの意味を変え、販売するというサークル活動をしている。

沢山の美しい女性がいますという英字ロゴに「URUSE」と縫われているTシャツ


環境問題や労働問題、大量生産を訴える既存のコンセプチュアルなアートと明確に差別化されたユニークな作品であり、アートだと感じた。

ただリクリエイトしておしまいじゃなくて販売もしてる。その上既存のものの持つ意味を利用して、「トンチ」というユニークな発想で作り変えているところがすごく好きだと思った。

シリアスな問題をユニークにポップで楽しく、それでいて伝わるアイデアで訴えてるところがグッときました。

そしてそれが、活動でもあり、サークル内で案を出し合って作ってるというのも良いなと思った。一緒に同じ問題意識を持っていて、でもそれをユーモアに取り組んでいくコミュニティはとってもクールだと思う。

最近、個人的に、アートプラクティス、SEA、アートコミュニティについて気になっていて調べてる最中だったこともあり刺さった。
というのも哲学書のの読書会をしていて、生まれて初めて生きててよかったと思えて、滅茶苦茶楽しくて、これのアートバージョンを作れたら最高だなって思ってるところだった。

まず最初に思い浮かべたのが、ワークショップという形のものだけれど、ワークショップであってアートでないものや、ワークショップというと体験講座のようなものも多く、ただのワークショップだと情緒的な繋がりは形成されないのではと思ってて…どうやったら「コミュニティ」をデザインできるような活動をアートの要素を残しつつできるんだろうって考えていた。

NUMANの活動はまさにアートであり、社会問題を訴えているものであり、ちゃんと情緒的な繋がりのあるコミュニティであって全てが両立されてて、すごい!!!!と思いました。勉強になりました。

最後の晩餐会を縫った作品も、”there are many beautiful women”に”uruse”って縫った作品もどれも最高だった!


全体を通しての感想は、情報量が多くて見応えたっぷりの展示でした!!