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『響く礼節をペンペンしてみる』 #毎週ショートショートnote【風習編】


明け方に響き渡る音に頭が痛む。

うちの自治体は東西南北で班に分かれていて誰かが亡くなると軽トラの荷台に乗ってそれぞれの区ごとに決められた太鼓やおりんなどを鳴らして訃報を知らせて回るという習わしがある。

鳴らすのはその前に見送った人の身内、もしくは近しい人が任されることになっているのだが超高齢化の田舎では連続して担当することも多々ある。

この音はまたうちの班だ。
今度は一体誰が亡くなったのだろうか。

私は自宅前の道を軽トラが通るタイミングに間に合うよう慌てて外に出る。

しばらくすると我が家の前をゆっくりと進む軽トラが現れ、運転席には息子が、荷台では娘が銅鑼どらを鳴らしており、二人とも泣き腫らした顔をしていて目を見張る。

私は軽トラに駆け寄り、響く礼節をペンペンしてみるように運転席の窓をてのひらでバンバンと叩くも反応が…いや手応えがない…

「仲良し夫婦だったから奥様に引っ張られてしまったのかしらね…」

同じように玄関先で佇む近所の人が呟いた。


 まさかの軽トラ繋がりです。(意図して繋げようと思ったわけではないのですが……)実際にある地元の習わしなのですが、色々と細かなルールがあるようです。

おしどり夫婦として表ても良かったのですが実際のおしどりはおしどり夫婦ではないからな~(中国の故事が由来みたいですね。)と言いつつ、画像だけお借りしました🙇

夏だからなのか、お盆だからなのか、こういう話ばかりで面目ない🙏💦

 一台目の軽トラはこちらとなります🙋

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