見出し画像

詩小説 『夏の雲さんへ』 #シロクマ文芸部

 夏の雲の下
 久しぶりに漕いだ自転車。

 まあるくておっきな雲が
 太陽を隠してくれたその隙に

 やっと私も
 近所のコンビニまで行けたよ
 ありがとう!

 もわもわとした空気ではあったけど
 青々とした田んぼの中で
 存在感を放つ白い鳥。

 悪いやつじゃないと
 知っていても

 あまりの大きさに
 ちょっとビビる。

 やけど、どんな時でも
 先客にはご挨拶!

「おはようさん!
 ちょいと通るでー」

 なんて声かけて
 道を譲ってもらったけど

 飛び立った先が
 私が進みたい方角と一緒で

 またまたごめんよ
 白サギさん。


 そんなこんなで
 近所のコンビニに無事到着!

 コンビニに行こうと思ったきっかけは
 発送したいものがあったからやけど

 どうせなら! と
 私なりのちっぽけなミッション。


 じーちゃんのお供え物と
 父さんの誕生日プレゼントと
 母さんの栄養補給。

 本当は生クリームどら焼きがあれば
 一挙解決!なんやけど
 そんなに甘くてうまい話はない。

 やからじーちゃんや
 父さん、母さんそれぞれが
 気に入りそうなスイーツを……

 コンビニの物でごめんやけど
 気持ちが大事!……だよね?


 帰って即行じーちゃんの
 仏壇に供えた どら焼き。

 亡くなる前にな
 母さんずっと言うてたから。

「あんこ汁舐めさせてあげたいな……」

 でもな変に舐めさせて
 誤嚥したら危ないやん?

 まあ賞味期限的にも
 なかなか危ういやつやったけど。


 棺に入れてあげるんが
 精一杯やったとも聞いてたから
 私もどうしてもあんこ系の物を
 お供えしたくて。

 今度は賞味期限一ヶ月余裕あるから
 ゆっくり食べられるで、じーちゃん!


 あんこが好きすぎて、おらんと思ったら
 自分用にしょっちゅうあんパン・大福
 買いに走ってたんも知ってんで。

 そのわりに糖尿病にならんかったから
 母さんと不思議がってたくらい。


 ほんで日にちの感覚が
 ブレブレになるこの時期。


 父さんの誕生日
 フライングしてもうたけど
 後より先のがまだええやろ😏?

 母さんの好きな生クリーム商品は
 見つけきらんかったけど
 爽やか柑橘系スイーツにして
 生クリーム系はまた今度🙏!


 私としては自転車降りた瞬間
 へたりこんだらどうしよ……
 って不安で。

 歩けんでも自転車は乗れるし
 走れるって意味わからんけど
 同じ病気でそういう人も実際におるんよ。

 やから折り畳みの杖も
 持ってたんやけどな。


 今の私にできるギリギリのサプライズ。


 でも照りつける太陽を
 雲がほどよく中和してくれたから
 無事に辿り着けたんかなとも思う。

 太陽や雨や月は注目浴びるけど
 雲はたくさん種類があるわりに

 良くも悪くも話題に上がるのは
 「曇ってきたなあ」って
 何かの前触れくらい。

 実際に大雨、雷、雪とかって
 雲の采配やもんな……

 それに太陽も月も隠せるんも
 雲だけよな……?


 やからふと実は一番怒らせたら
 怖いやつなんかも? って考えてしもた。

 今日の私には
 優しかったけどね。


 だからお願いしたんよ。

「暑い太陽を隠してくれてありがとう。
 でも他に困ってる地域の人が沢山おるから
 せめて暑くなりすぎんように
 雷を起こさんように調節してくれん?」

 ってな。


 世界中とつながっている空のもと
 姿形を変える手強い夏の雲。

 よーく考えると
 立場としては弱いんかな?

 その後あっという間に
 太陽が顔を現したから。

 いやでもやっぱ黒幕は
 雲な気がする……


 地面が暴れ出すのが
 止められないのなら

 今日の私を救ってくれたように
 どうかどうか世界中にも
 優しくしてよ 夏の雲。


 地震にびっくりし、台風にドキドキしている方も多いかと思います。どうかこれ以上、自然災害が来ないこと、被害が甚大にならないことを願うばかりです🙇🙇

この記事が参加している募集

最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。よろしければ、サポートいただけますと大変うれしいです。いただいたサポートは今後の創作活動に使わせていただきます!