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詩小説 『冬の色』 #シロクマ文芸部【その1】


 冬の色
 手をすりながら朝刊を取りに
 外に出たときの息の色。

 冬の色
 洋服を暖めるヒーターの色。

 冬の色
 ジリジリと焼けるパンの色と
 コーンポタージュの色。

 冬の色
 仕事に持っていくため
 タンブラーに注ぐお茶の色。

 冬の色
 温まった洋服の
 タートルネックと
 重ねばきする靴下の色。

 冬の色
 寒い寒いと言いながら
 顔に施す深い色。

 冬の色
 気合いを入れて羽織る
 ノーカラーコートの色。

 冬の色
 玄関に飾られた
 クリスマスツリーの色。

 冬の色
 車のフロントガラスに降りた……


 「どうしよう?! 遅刻するやんか!」

 エンジンをかけても
 一向に溶けそうになく

 洗浄液は凍っていてワイパーすら
 折れそうな強敵。


 私は悩みに悩んで
 鞄からタンブラーを……

 「コラ! なんしよんや!
 こういうときは
 風呂の残り湯をかけるんや!」

 と現れたじいちゃんの
 青いバケツが

 この冬いちばんの
 冬の色。


 本気でお茶をかけようとした犯人は私です🙈 早出の日は特に霜騒動が多く、せっかちな私は大抵他の人より早めに職場に行くので鍵を持ってることもあって焦ってしまい……人間慌てると思いもよらない行動をしちゃうんですね😇<それあんただけや!)風呂の残り湯案は母直伝です。

 じいちゃんがだんだん木久扇師匠に似てきたので、黄色い服を着せてあげたいなあ、と思ってじいちゃんを登場させたのだけれど、バケツ=青のイメージが強くて黄色の要素がコーンポタージュになったのは秘密の話🙊

(今週のシロクマ文芸部の三作は
 こちらになります♪>🙋

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