『二次会デミグラスソース』 #毎週ショートショートnote【新年会編】

　上司に勧められるがまま飲み食いしていたら胃袋が限界になり慌てて席を外す。

トイレのドアを開けると血塗ちまみれになった男が倒れていて
「うわーッ！」
と叫んだ。

「どうされました？」
「人が倒れてる！」
駆けつけた店員に事情を話すも首を傾げられ、結局別のトイレを借り事なきを得た。

ふらふらと席に戻る俺に
「林、顔色悪くね？二次会行こうって話してたけど、もう帰りなよ」
と先輩。

「すみません」
「気にすんなって」
「ありがとうございます」

二次会に行く人達を見送り駅へと向かう。

「林！」
突然肩を叩かれ振り返ると同期の森がいた。

「二次会行かないんだ？」
「まあ…」
「もしかして見ちゃった？」
「は？」
「実はさ…」
と話す森が今回の幹事だった事を思い出す。

曰く、あの居酒屋には二次会の参加を穏便に断れるように二次会デミグラスソースという裏メニューがあるらしい。

「いい世の中になったよな」
と笑って、二次会に向かう森の後ろ姿を見てあいつは出世しそうだなと悔しくなった。

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　この作品は二次会デミグラスソース事件として書いたのですが、字数がオーバーするため「なんじゃこりゃー！」って言わせたかったのを泣く泣くカットしたのがちょっぴり心残りです。（毎度のことながら、元の作品はあまり知らない。）林さんより森さんの方が一枚（一本？）上手うわてだったということで。
これにてドロン💨

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