『風の色✕月の色✕レモン』 #シロクマ文芸部リミックス
風の色が秋色に変わる頃に来たお客さまにわたしは
「いらっしゃいませー」
とあいさつをする。
「本日はどうされましたか?」
「月の色みたいなお肌になりたくて……」
「ふむふむ」
とうなずきながら、お客さまの顔をまじまじとながめ、真っ白な肌を見て
「そのままでも、とてもおキレイですよー」
と返す。
「お世辞が上手なんですね」
「なんのなんの、本当のことを言っただけでございますわよ」
「やっぱり月の色にはなれませんか?」
「うーん」
とわたしはうなる。でもお客さまのお願いを叶えるのも大事な仕事だ!と気持ちを切り替え、わたしはたくさんある色の中から月の色に当てはまりそうなものを探す。
これはレモンカラーっぽいかな? でも、これにオレンジ色を少し足したらいい感じになるかも!
と二色選び、わたしはお客さまの顔に丁寧に色をぬり伸ばす。うん、イメージ通り!
きっとお客さまも喜んでくれるはず。
顔の次は三日月型の目元ね。それとも、半月型の唇かしら? せっかくなら秋らしいしぶめの赤で染めたいな……
「何ひとりでブツブツ言ってるの?」
という言葉にわたしはクレヨンを握っていた手を止める。
「もうママったら邪魔しないでよ!今、お客さまとお話してるんだから」
「はいはい、相変わらずぬりえが好きね」
「ぬりえじゃないよ! わたしは今メイクさんなの!」
一度、ママとデパートに行った時に、とてもいい香りがすると思ったら、そこはコスメ売り場で髪も服も姿勢もピシッと決まったお姉さん達が魔法をかけるようにお客さまをキレイにしていく姿を見てわたしはメイクさんになるのが夢になった。
「じゃあ、もう少し上手になったら、ママのメイクも頼もうかな」
「その前にママはちゃんとお肌のお手入れをしてね」
「あらまあ厳しいメイクさんだこと」
だってまだお肌のお手入れは練習してないんだもん!
これまでのお題が個人的に消化不良というか、もう少しうまく書きたいな、と思い……とはいえ私もまだまだ練習しないとですね💦
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