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被災者の心癒やす「風の電話」

2022年3月29日新聞掲載記事
 目を疑うような光景が報じられた東日本大震災から11年。ふと「風の電話」を思い出した。被災地、岩手県大槌町の高台にある白いボックスだ。

中にはつながっていない黒電話が置いてある。電話で亡くなった人に語り掛ける人もいれば、置いてあるノートに思いをつづる人もいる。被災者を含め、さまざまな理由で訪れた人は数万人という。

「風の電話」をモチーフにした映画も製作され、米ハーバード大の授業でも取り上げられるなど、海外でも有名になっているという。

どこの国でも、いつの時代でも大切な人を突然亡くしたときの悲しみは同じだ。新型コロナウイルスや災害、戦争は人の命を奪う。理不尽な出来事を受け入れることができないとき、人はどうすればよいのだろうか。

つながっていない電話に思いを話したり、書いたりすることで、人は心の整理をしているのかもしれない。被災された方の悲しみやつらさが、少しずつでも癒やされることを願う。

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