【読書】第167回芥川賞受賞作品
Junko Takase
題名や表紙からは、ほっこりした話かなと思う。読後は、ただただ職場とはこういうものだよなあというのが率直な感想。たしか、高瀬さんはテレビのインタビューで書く原動力は「怒り」だと言われていた。
私自身も日々感じている。会社にこういう人いるよなあっていう理不尽みたいなものを感じることがある。
芦川さんという女性社員。か弱くて、大変な仕事を体調不良を理由に免れる人。難題の仕事を許される人は暗黙の了解でいる。
芦川さんは、お菓子作りが好きな女性。職場にいろいろなケーキを作ってくる。いちごのショートケーキ・焼きバナナ・チョコとマシュマロのマフィン。甘い香りが漂ってくる。
仕事はやればやるほど、集まってくる。そのストレスが私にもつきまとってくる。なぜかその守られる人には誰も何も言えない雰囲気。職場の人間関係が如実にわかる話だ。
最後の場面で、「二谷という男性と芦川さんは結婚するのかなあ」と余韻を残しつつ終わるのだが、私はこの二谷という男性は嫌いだった。結婚なんてもっての他だと思った。
二谷さんが芦川さんの作っていたケーキを捨てていたのだから。しかも浮気性も嫌だ。
実際、職場でも大人のいじめ、パワハラのようなものはまだまだある。職場の様子がリアルに描かれている。芦川さんタイプは、女性のみではなく男性にもいるタイプだと思った。
この題名「おいしいごはんが食べられますように」は二谷さんに向けての言葉だったのかと自分一人で納得した。
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