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【読書】オール・ノット

Asako Yuzuki

この本を読むきっかけになったのは、王様のブランチで著者の柏木麻子さんのインタビューを見たから。「失敗できる社会であってもいい」との思いを言われていた。

「人生の支え」「魂の友達」というキーワードも気になり読んでみた。タイトルの「オール・ノット」とは、すべて珠と珠の間に結び目がある加工。糸が切れても珠がバラバラにならない。タイトルからも人と人とのつながりを表しているよう。

描写が多く、宝石の輝きが随所にある。料理の味や輝きが伝わる。

登場人物:四葉は、苦学生・真央がスーパーで出会ったおばさんだ。四葉の「ひみつ」を知りたいと思い読み進めた。
株でも投資でもなかった。男性に騙されたと言えばいいのか。これは失敗に入るのかなと思った。

四葉から「この宝石箱をあなたにあげる」と真央は言われる。
真央はもらった宝石を売って奨学金の返済にあてた。思っていたほど高額にはならなかった。

生まれつき心のひろい人は、自分のもちものをおしみなく人にわかちあたえるだけではなく、その心をもわかちあたえる。

だから、なにもあたえる品物がないときでも、その人の心はいつでもゆたかであるから、心をふんだんにわかちあたえることができるのだ・・・。

つまりあたたかい、親切な助言やら、なぐさめやら、わらいやらである。・・・

ときには、あかるい、心からのわらいがなによりもありがたいことがあるものなのだ

著書より引用

ラストの場面で、真央はオール・ノット(真珠)を査定してもらい、30万くらいになって欲しいと願う。今度は、真央が職場の女性の学費にしようとするところで終わる。自分がしてもらったことを次世代につなげる。オール・ノットそのもの。

私も、結婚前に用意した真珠を鑑定してもらおうか。私は、子どもの奨学金の費用にしたいなあ。だが、真珠の価値ってそんなにないはずと思う現実的な自分がいた。


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