職場での合理的配慮の伝え方・具体例など(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~
はじめに(チームより)
「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス※ご紹介>」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介>
知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「お仕事ハック」をご紹介しています。
▼本日のお悩み
「障害者雇用で採用されています。合理的配慮をしてほしいのですが、職場に伝える方法を具体的に知りたいです」
合理的配慮とは 簡単に言うと「障害がある人もない人も、すべての人が等しく社会に参加できるように、環境の変更や調整といった配慮をする」ことです。障害者雇用でも、実際に仕事をしていく中で困難があった場合に、合理的配慮を求めることができます。
※合理的配慮についての詳細はこちら(政府広報オンラインにリンクします)
ここでは職場に合理的配慮を求める前に、自分なりの整理をして職場に伝えるポイントをご紹介します。
お仕事ハック①困りごとに対して自分ができそうなことを整理する
合理的配慮は求めれば必ず認められるものではありません。職場にとって「過重な負担」と判断されれば実施しなくてよいとされています。双方の合意の上で配慮をおこなうかどうか、職場との話し合いの上で決めていきます。
まずは、職場と話し合う前に、どのような困りごとがあるのか、配慮をしてもらうことに対して、自分なりにできそうなことをまとめておきます。
考えを整理をするために、大阪府商工労働部 雇用推進室就業促進課 障がい者雇用促進グループの「合理的配慮のための対話シート」に記入していくとよいでしょう。
お仕事ハック②周囲への理解が必要であることを理解する
求める配慮内容によっては、周囲への理解が必要な場合があります。一緒に働く人達に障害特性を知ってもらうことで、助けられることも多くなります。
自分の中で「障害や特性について、社内や部署内のどこまで話を伝えていいのか」を決めておくことも大切です。例えば、チーム内のメンバーだけには伝えるのか、チーム外でも業務で関わりのあるメンバーには伝えるのかなど、検討しましょう。
お仕事ハック③職場での話し合いのポイント
職場との話し合いの場では「合理的配慮のための対話シート」を見せながら「どんな場合に困りごとが起こるのか」「どういう配慮があればよいのか」「自分が出来そうなことはなにか」を人事や上司などに説明しましょう。
話し合いの結果、もし、自分が思っていた配慮を受けられなかった場合でも、対立せずに、何度か話し合うことも必要です。ぜひ、前向きに進めてください。
最後に
今回は、職場に合理的配慮を求める前に、自分なりの整理をして職場に伝えるポイントをご紹介しました。
合理的配慮は、採用面接時に話し合われることが多いですが、実際に働いていく上で、配慮してほしい点が出てくることもあります。そんな時は、まず、自分の困りごとの整理からはじめてみましょう。
*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。
執筆の背景
障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。
そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました
▼過去記事一覧はこちら
ここまでお読みくださりありがとうございます。一つだけお願いをさせてください。
認定NPO法人フローレンスは障害児の保育・支援問題、ひとり親の貧困問題、赤ちゃんの虐待死問題、などの子どもや子育てに関わる社会課題の解決に向けて多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでおります。何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、フローレンスへの寄付をご検討ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?