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ES卍リベンチャーズ

手塩にかけたESが通らなかった!

努力が実らなかった時、人はどんな心情をたどるのか。


正午少し前、以前ESを提出した企業からメッセージが届いた。
すぐにメールを開封するとそこには、
「書類選考の結果が出ましたので、マイページよりご確認ください。」
の文字が記されていた。
第一志望群の企業でないにしろ、結果は気になる。
すぐにマイページにログインし、結果/確認のボタンをクリックした。
「今回はご期待に添えない結果となりました。」
思わず乾いた笑い声が小さく漏れた。
インターン落選ごときで文句を垂らしていては就活なんて出来ない。
だけども今までで一番時間をかけた自信作であったこと。ESで落ちた経験がないこと。こりゃ受かるだろうと妙な驕りがあったために、落ちたことに心底驚いたのだ。

電車に揺られながら、「あいつなんて本命じゃないし。」と振られて強がる男子中学生のような心象に浸った後、次にこみ上げてきたのは悔しさだった。なんであんな頑張ったのに。時間を返せ。
第一志望群でない企業にESを出す。落選した時の腹立たしさは通過した時の喜びの比にならないぐらい大きかった。まったく困ったものだ。

扉が開いて連絡通路を渡り、JRに乗り換えを行う。
次に乗る電車が来た時に映った自分の姿、落ち込んでいるのか。いや普段からテンションが低いのか。よく分からなかった。

電車に乗り込み地下鉄に入ったところで、先日神社で引いたくじに「反省すべし」と書かれていたことを思いだした。
なんだか急に冷静になって、スッと脳がクリアになった。
そんな頭にふと思い浮かんだ、名案。

そうだ、本選考の椅子を奪って返上してしまえ。

そんなくだらない悪巧みに胸を躍らせ、ホームに颯爽と降り立った。
憂鬱を電車に乗り捨て、改札を通り抜ける。
ぼくは一歩を踏み出した。


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