シェア
蛙太郎
2021年8月28日 17:31
晴天の休日にこそ、人けのない日陰を探す。文化ホールの裏道や、休業中の店先や。私は一人だけれども、漏れ聞こえてくる喧騒は幸福の鐘声で、それが独りを許すのだから。晴天の休日にこそ、知らない路地で立ち止まる。干上がった赤い灰皿や、公園近くの廃屋や。私は一人だけれども、坂の上に立つ陽炎は祝福の予感で、それが独りを満たすのだから。街は辛うじてのんびりしていて、私の帰属を曖昧にする。
2021年8月23日 14:33
てーほへ てほへ父ちゃんの肩車から見えた舞台は薄霞。眠い目こすって手さすって、赤鬼が舞う冬祭。てーほへ てほへ母ちゃんは甘酒買いに、ぼくはうどんを食ったっけ。霧隠れの父ちゃんはたぶん大人の喫煙所。てーほへ てほへ湯気か熱気か白い息、もわもわ煙の夢心地。遠くに見つけた父ちゃんの血走った目は何見てる?てーほへ てほへ沸き立つお湯と酔っ払いの怒号飛び交う闘技場。赤鬼たちに囲ま