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詩| 花祭

てーほへ てほへ
父ちゃんの肩車から見えた舞台は薄霞。
眠い目こすって手さすって、赤鬼が舞う冬祭。

てーほへ てほへ
母ちゃんは甘酒買いに、ぼくはうどんを食ったっけ。
霧隠れの父ちゃんはたぶん大人の喫煙所。

てーほへ てほへ
湯気か熱気か白い息、もわもわ煙の夢心地。
遠くに見つけた父ちゃんの血走った目は何見てる?

てーほへ てほへ
沸き立つお湯と酔っ払いの怒号飛び交う闘技場。
赤鬼たちに囲まれてぼくは逃げ出したくなった。

てーほへ てほへ
父ちゃんの肩車から見えた祭の空騒ぎ。
てーほへ てほへ
赤鬼と帰る胸騒ぎ。