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フィルムカメラで撮る理由

  なぜいまフィルムカメラなのか?

自分自身にそう問いかけてみます。明確な答はかえってきません。
数年前から若者たちの間でフィルムカメラが流行していると聞きます。写ルンです、コンパクトカメラ、一眼レフ。好みのカメラにフィルムと想いをこめて、さまざまな被写体と向き合っていらっしゃるそうです。

私のまわりはというと……お写んぽの途中でフィルムカメラを持ち歩いている方と出会ったことはありません。そもそも、カメラ自体、持ち歩いている方をお見かけすることはほとんどありません。撮影会とかイベント会場といったところには、大勢いらっしゃるのかもしれませんけれど。

私も、何台かのフィルムカメラを持っています。が、もともとは「よし、フィルムカメラをはじめよう」と思って購入したものではありません。私の場合はレンズのほうが先でした。

オールドレンズ  

ミラーレス一眼カメラの普及によって、フランジバックの関係で今まで使うことができなかったフィルムカメラ時代のレンズが再び注目されるようになった  そこから、オールドレンズのブームがはじまります。
コーティング技術の発達によって完璧なまでに抑えられてきたフレアやゴーストの発生。そこから生み出されるキレイすぎる写真。そういったものに飽きてきた人たちによって、今まで悪とされてきたフレアやゴーストが「エモい(使い方あってるかな?)」ものとして再評価される。ある意味皮肉なものです。

それに私も興味がわいて、1本のオールドレンズを手に入れました。PENTAX Super Takumar 55mm F1.8。いわゆる定番中の定番です。

PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

Canon の EOS R6 にとりつけてシャッターを押す。見事なまでに拡がる光の輪。すごいです。とてもエモいです。(使い方あってるかな?)

Canon EOS R6 + PENTAX Super-Takumar 55mm F1.8

肉眼ではけっして見ることができない世界に魅了されて、その後も私は何本かの定番と称されるオールドレンズに手を出しました。

Canon EOS R6 + Meyer-Optik Görlitz Domiplan 50mm F2.8
Canon EOS R6 + Helios-44 58mm F2
Canon EOS R6 + Helios-44 58mm F2

そうして私は思うのです。

  このレンズ、フィルムで撮ったらどう写るのかな?

フィルムカメラの沼に両足をそろえてツッコむことになる、それがキッカケでした。

とはいえ、昭和の時代に生まれた私が初めて触ったのは亡父のフィルムカメラでしたし、社会人となって就職した会社にもフィルムカメラが置かれていましたから、フィルムに対する抵抗はまったくありませんでした。一周まわってスタート地点に戻った、そんな感じです。

Pentax SP


2023年2月現在、2022年の初頭に1本800円ほどだったフィルムは1,200円程度にまで値上がりしています。1年間で1.5倍です。それに加えて現像代が必要ですので、写真1枚あたりのコストはプリントしない場合でも65円ほどかかります。お店でデータ化すれば1枚あたり80円ほどになります。

パシャ。チャリーン。パシャ。チャリーン  

ひるがえってデジタルカメラの場合はというと、例えばレンズ込みで30万円のミラーレス一眼カメラを購入して年間1万枚の写真を撮ったとすれば、1枚あたりのコストは30円です。同じカメラを3年使えば、1枚あたりのコストは10円にまで下がります。撮れば撮るほど安くなります。撮ったぶんだけお金が必要になるフィルムカメラとは大違いです。

シャッターを押せばキレイに撮れる。
失敗するほうが難しい。

そんなデジタルカメラと違って、フィルムカメラでキレイに撮るにはある程度の技術と知識が必要になります。

Pentax SP + Kodak Color Plus 200
Pentax SP + Kodak Color Plus 200
Pentax SP + Kodak Color Plus 200

どんな写真が撮れているのか、現像するまでわかりません。一部のコンパクトカメラを除いて、露出の設定もピント合わせもすべて手動です。面倒なこと、この上ありません。

そこで私はもう一度自身に問いかけてみます。

  なぜいまフィルムカメラなのか?

シャッターを押しさえすればキレイに撮れる。そんな飽食の時代において不便さを楽しみたい。

もしかしたらそれがいちばんの理由なのかもしれません。

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