刹那な美への憧れ
儚いものの美しさ。
散りゆく花の美しさのような、終わりへの憧れ。
若い頃はそんなものに惹かれていたのかもしれない。
いつだって、全てを捨てて、誰も自分を知らない土地に行ってみたいと思っていたし、1ヶ月働いて稼いだお金を三日でギャンブルに使っても、「仕方ない。」なんて思っていた。
堕ちていく自分に酔っていたのだ。
お金も無い、時間も無い、地位も名誉も名声も無い。
それがすごく心地よく、底辺こそ自分の居場所で底辺こそ自由。
何も持たなければ、何も失わない。
何も失わないならどこへでも自由に行ける。
なんて思っていたけど、結局、そんな事出来なかったんだ。
その時々で大事な人が居たりするから。
そんな存在のおかげで蛇行しながらも、前を見て生きられているのかな。
ルールに縛られない事こそ自由。
レールに乗らない事こそ自由。
何か大きなものに反発する事こそ自由。
そんな意味の無い自由の定義において、僕は若さを墜ちる事に費やした。
なのに、今は子供の指標になりたいなんて思って、信号無視さえ躊躇われる。
そんな大人になった。
そんな自分が今は少し気に入っている。
刹那なものは美しい。
終わりへの憧れがそう思わせる。
でも、永く続くものも美しいものだな。
なんて、今はそう思える。
その美しさを知る前に、
儚く散るなんて選択は、もったいないと思うんだけどな。
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