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東京都立大学MBA入学体験記(修論指導)

今回は修論指導について、書いてみたいと思います。

以前、「学校の特徴」の投稿でご紹介しましたが、都立大BSは修了の条件として、修士論文か課題研究論文の執筆が求められます。もともと私は修士論文を書くことが実務でも有用な思考力の獲得に繋がるという考えのもと、MBAを志望した経緯がありましたので、論文執筆は学びのなかでも特に重視をしています。

都立大BSでは以下のように通常のMBA科目の授業とは別に、本格的な論文指導の科目履修が求められます。
 ①M1前期:グループ研究
 ②M1後期:論文指導(プロジェクト別)
 ③M2前期:論文指導(専門科目別)
 ④M2後期:論文指導(専門科目別)

まず、M1(修士1年)前期でおこなうグループ研究ですが、これはプロジェクト(戦略・組織・マーケティング)毎に、6人程度ずつのグループに分かれて、与えられたテーマに沿って共同で研究をおこない、学内発表および学外発表をおこなうといったものです。入学して数カ月と間もない時期ではありますが、かなり高いレベルのアウトプットが求められます。

例えば、私はミクロ組織(組織行動)グループでしたが、「リモートワークへの移行が従業員の組織行動へ及ぼす影響」といったテーマで、具体的なリサーチクエスチョンや作業仮説を立てて、調査会社に依頼して700人程度の方に質問紙調査をおこない、その結果を分散分析や重回帰分析といった統計的な手法によって、定量的に分析・考察していくというものでした。テーマが与えられてから学内発表まで1カ月半もありませんでしたので、仕事や他の授業をしっかりとこなしつつ、授業が終わった後や日曜日にメンバーでオンラインミーティングをおこなって、リサーチクエスチョンを考えたり、質問紙を設計したり、調査会社に依頼したり、統計解析をおこなったりといった多くのタスクを6人で手分けして猛烈な勢いで進めていきました。

調査手法や統計解析の方法など素人同然でしたので、文字どおり暗中模索の状態でしたが、指導教員の先生が付いてサポートしてくださったお陰で、学内発表までやり切ることができました。その後、学外(入学希望者向けのセミナー)での発表もおこないますが、さらに私のグループは指導教員の先生からせっかくなので学会に出してみないかとのご提案をいただき、何と同年秋に学会発表をすることになりました。8~9月の夏休み期間(といっても夏季講義や仕事は普通にあるわけですが)にグループ研究の成果+αを学会発表用の原稿に落とし込んでエントリーをし、最終的に11月にメンバーと先生とともに学会で発表をおこないました。

非常事態宣言の影響などで例年より学会の開催時期が遅くなったなどの事情もあったので、毎年挑戦できるようなことではないとは思いますが、いずれにせよ、入学して半年程度で学会発表をおこなうという濃密な学習経験は、まさに私が求めていた自ら問いを立てて、それを検証するという本質的な思考力の訓練の機会そのものであり、本当に幸運だったと感じています。このような学習の場を提供してくれた指導教員の先生とメンバーの皆様には感謝しかありません。


さて次に、M1後期になりますと、プロジェクト(戦略・組織・マーケティング・会計・マネジメントサイエンス)毎に分かれて、論文指導がおこなわれます。内容はプロジェクトによって異なりますが、各自の研究関心の発表や、関心に沿った先行研究の読み込み、研究計画の具体化等といった本格的な指導が行われていきます。

余談ですが、入学後に、入学試験の際に提出する研究計画から内容が変更になっても問題ありません。私は入学後の授業で学んだ理論が自分の問題意識の解明に適合すると感じたため、入学後に研究計画をガラッと変えました(あくまで用いる理論を変えたのであって、背景にある問題意識までは変えていません)。

そしてM2前期になりますと、専門科目別(例えば、組織プロジェクトであればマクロ組織、ミクロ組織、意思決定といった単位)にわかれて各自が研究計画を具体化し、正式な研究計画書を作成します。前期の終わりには中間レビューというステージゲートがあり、そこで指導教員や副指導教員の先生方から研究計画に関する指摘やコメントを受ける形になります。大体の生徒がここで論理的にかなり詰められますので、それに耐えられるように十分な準備が必要となります。無事にステージゲートをパスすれば、晴れてM2前期には研究計画が固まり、夏休み(8月~9月)から本格的な論文執筆や調査に入っていきます。私はいま現在、M2の夏休みですので、まさしく論文執筆まっさかりというところですが、9月までには質問紙調査を完了して、10月から本格的な分析や執筆をおこなっていく予定です。

M2後期になりますと、指導教員の先生との個別論文指導が増えていくようです。そして1月に論文を提出し、最終的に2月に最終審査(口頭試問)という流れになります。


いかがでしたでしょうか。通常の授業をしっかりと行いながら、かなり早いタイミングから論文執筆に関する本格的な指導が行われていくということで、大変そうと思われるかもしれませんが、論文のテーマは自身が強い関心を持ったものを選ぶことができますし、都立大BSでは大変丁寧に指導をしてくれますので、入学前に論文を書いたことがないという方でも安心して取り組むことができるのではないかと思います。

今後、修士論文を書き上げることができた際には、あらためて振り返りという形でご紹介させて頂きたいと思います。

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