東京から徳島に異動して気づいた「働くことの意味」
たった半年で変わった「徳島の印象」と「自分の感覚」
みなさんこんにちは。富士通Japan徳島支社の酒井晴菜です。
私は新卒で富士通に入社して東京本社に勤務していたのですが、社会人２年目の2022年１月に希望して徳島支社に異動してきました。
それまでは四国にすら来たことがなく、徳島県のことはほとんど知りませんでした。イメージとして私の中にあったのは、阿波踊りとすだち、それに環境問題に関心があるので上勝町にあるゼロウェイストセンターの存在も知っていましたが、そのくらいです。
でも、実際に住んでみると、たった半年でいろんな出会いがあり、徳島の印象も、自分の感覚も想像以上に変化しました。
たとえば、今なお毎日感動して見ている眉山。
名前の通り、徳島市の中心にある眉毛の形をした山で、そう高くはないのですが、市内のどこからでも見ることが出来ます。
近くに山がない関東の平野で育った私が、眉山のそばに初めて住んで気づいたのは、山の表情は四季だけでなく、日々違うということです。
日差しが強い日は緑の濃さが薄まったり、雨の日は霧が立ち込めて頂上が見えなかったりしますし、１日の中でも朝日に照らされている眉山と、夕日が沈んでいくときの眉山はまた違います。
徳島に来てそんな眉山を見ながら、時の流れや、季節の移り変わりをすごく身近に感じるようになりました。
「自分はこの地域の一員なんだ」
徳島でいろんな出会いを経験するなかで、自分の感覚や気持ちにもさまざまな変化が出てきました。
たった半年ですが、本当にたくさんの人たちと出会いました。
同じ会社で働く人、近所のカフェのご夫婦や市内を船で周遊する「ひょうたん島クルーズ」のボランティアのガイドさん。
社会課題に取り組む人、移住してきた人、山奥に住む人。同世代の友人もできました。
阿波弁を話さない私に気づいて、街で「どこから来たん？」「なんでわざわざ徳島に？」と話しかけられることもあります。
あるカフェにひとりで訪問したときには、オーナーのご夫婦とたくさんお話をして帰ろうとしたら、徳島名物の鳴門金時やすだち、庭で採れた柑橘類をかばんいっぱいにいただいたこともありました。
いつもお店の方と話すわけではないのですが、それでも「前も来てくれてたよな？」「いつもありがとね～」などと声をかけてもらえることもよくありますし、出かけた先で時刻表通りにバスが来なくて不安になっていると、たまたま居合わせた人が一緒に悩んでくれたりもしました。
また、ひょうたん島クルーズで船に乗っていると、子どもからお年寄りまで町中の人たちが手を振ってくれます。反抗的だった私の高校時代とは違い……、学生も自然に手を振ってくれるのが印象的でした。
こういう出会いと経験を重ねていく中で「自分はこの地域の一員なんだ」と強く感じるようになりました。
そうなると、自然と日々の行動も変わってきました。買い物のときには、自分が住む地域の人が作ったものを食べたいと、徳島の食材を探すようになりましたし、お店での接客ひとつをとっても受けとめ方が違ってきています。
レストランの店員さんの対応で残念な気持ちになることもありましたが、徳島に来て「自分はこの地域の一員なんだ」と感じるようになってから、あまり気にならなくなりました。
きっと、以前の私はレストランの店員さんとの関係をサービスを提供する側と享受する側ととらえていたのだと思います。でも今は、同じ地域に住み、地域の生活を支える者同士であると感じるようになりました。
ひとりの人間として仕事をする
徳島の人たちに関わるなかで感じるのは、ひとりの人間として仕事をしている人が多いということです。
だからこそ、みんな自分が好きなものを大切にしているし、仕事には関係ないようなことを教えくれたり、手伝ってくれたりと「そこまでしてくれるの？」といいたくなるくらい、他人に親切にしています。
そこにはやっぱり「自分はこの地域の一員だ」という自覚があるのだと私は思います。働くとは本来、誰かの困りごとを解消したり、誰かを喜ばせたり、幸せにしたりするためのもの。
そして、それが自然にできるのは、自分自身が「地域の一員」であると自覚し、まわりにいる人を「仲間」だと思う気持ちがあるからなのです。
この感覚は、いまでは私の日々の仕事にも影響を与えています。会社のために、目の前のお客様のためにという意識を持ちつつも、「地域の一員として地域を支えるために、徳島に住む私は、富士通Japanの社員として、この地域のためになにができるだろう？」と考えるようになりました。
私もまた「地域の一員」として、本当に大切なことを忘れたり、見失ったりすることなく、ここに住む人のためになるような仕事に取り組んでいきたいと思います。
