7月9日(土):靴販売の変革期
先般のyahooニュースでは「ナイキやアディダスによる「選別」が加速、靴小売り業界で始まった静かな地殻変動」と題した記事がありました。
記事の要旨としてはナイキなどのメーカー側が販売チャネルを絞っていて、それによって靴の小売りでの商品ラインナップに大きな違いが出てきている旨を報じたものです。
日本でいえば国内靴小売り首位のエービーシー・マートにはナイキが並ぶ一方で、2位で「東京靴流通センター」などを展開するチヨダの店舗にはそれがない状況が、如実に違いを示しています。
またこの動きは国内だけに限らず、アメリカでも運動靴販売大手のフットロッカーが、大手NB(ナショナルブランド)のDtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー、メーカーが消費者に直接販売する形式)強化の動きを受け、ナイキ製品の取り扱いを今後減らしていく方針を明らかにしている通りです。
書籍「ナイキ 最強のDX戦略」でも触れられていますが、ナイキでは「コンシューマー・ダイレクト・アクセラレーション(CDA:消費者直接加速)」というエンドユーザーとの直接的な結びつきを加速する戦略を掲げています。
実際にコロナ禍での様々なアプローチによってナイキのアプリ会員数が約1.4倍ほどに増え、エンドユーザーとの独自の強いつながりを構築してきました。
そうしたエンドユーザーとの直接的な結びつきが強まったため、ナイキとしては自社のチャネルと少数の戦略的小売パートナーとだけでこの先の成長を実現できる、との考え方で小売の選別が進んできている経緯です。
またプレミア度の高い商品は販売を自社のチャネルだけに絞り、なおかつ供給量を上手く制限して希少性を高め、商品とブランド価値を高く維持するなどしています。
このようにメーカー側が強いブランド力を背景にエンドユーザーとの直接的な信頼関係を築いていくと、小売りの役割が限定的になっていく面は否めませんね。
一方で小売り側はこれまでエンドユーザーとの直接的な接点を確保していた側だから、本来的にはそこでの関係を強化したり、ニーズを拾い上げることができれいれば存在意義を高めることはできたはずです。
同記事ではワークマンなどがPBでのシューズの強化や「ワークマンシューズ」で店舗展開している旨を記していたように、製造小売化していくことはひとつでしょう。
ブランド力ではトップのメーカーには及ばないものの、それでも「機能性×廉価」といった掛け合わせによる強みを発揮すれば、そこで新たな需要を喚起できる良い例だと思います。
いずれにせよ靴販売においてメーカーや小売の垣根を超えて変革期に入っているのは確かでしょう。
ポイントになるのは「エンドユーザーとどのように強い結びつきを築いていくのか」、そして「その結びつきをどう活かしていくのか」ですね。
この点は靴販売だけに限ったことではなく、私たちの業界であるフィットネスクラブにとっても同様なことが言えます。
対岸の火事だと傍観せずに自分たちも先の点を踏まえたクラブ運営をしていきたいと思います。
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