8月23日(金):オーバーツーリズム対策の障壁は地域内での合意形成の難しさ
このところは日経新聞でクローズアップされていた欧州のオーバーツーリズムの記事を契機に関連したことに触れて、本日もその続きです。
これは日本にとっても対岸の火事ではなく、現在進行形で抱える重要な問題で国内でも富士登山や京都、沖縄はその代表例で、私の身近なところでいえば鎌倉でも目に見える形でオーバーツーリズムが生じています。
観光客の増加はその地域に恩恵をもたらす面もありますが、コントロールができない状況になると自然環境の破壊、地域住民の生活への悪影響を中心に様々な問題を引き起こすため、建設的な対応が必要です。
本件に付随して書籍「オーバーツーリズム解決論 ‐日本の現状と改善戦略‐」を手に取ってみましたが、解決に向けた考え方や手法が示唆されていました。
その内容をもとに昨日はオーバーツーリズムを引き起こす要因である観光客の「量」と「質」の観点に触れつつ、同書が提示するオーバーツーリズムのコントロール方法である「規制的手法」「経済的手法」「情報的手法」の3つの切り口を説明したと思います。
書籍内では海外や国内の事例なども引き合いにしながら、これら3つの手法に言及していますが、その一方でこれらは理論的な側面もあって、いざ実行に移そうとすれば壁に直面することのほうが多く、簡単に前に進むものではないといいます。
例えば規制的手法であれば、それを実施するには原則的に法律や条例、規制に基づく必要があり、相応の費用が必要になるのだと説明されていました。
また法律や条例を制定する際に観光産業や地域住民をはじめとする利害関係者との調整が必要となる場合もあり、関係者の一部に反対があると実現が難しいことが多いそうです。
先般に一部有料化した富士山であっても、自然公園法では「多様な利害関係者との調整」を求めており、たくさんの利害関係者が存在するから、そこでの合意形成の問題は避けて通れないのだと思います。
同書には「『この合意形成と実施にかかる時間とコスト』こそ、日本におけるオーバーツーリズム対策を阻む障壁である」との記載もあり、そこが規制の理論を実際に運用に移していくためのハードルであり、核心部分なのだと感じましたね。
明日も関連のことを続ける予定です。
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