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腰痛に対するアプローチ

理学療法士です。
長く腰痛を患っているクライアントさまへのアプローチ。
日常の臨床では、身体を階層的にみて、深層と浅層に刺激をいれています。
頭の中の思考を少し書きたいと思います。

静的アライメント

まずは身体所見から。
静的アライメントから予測をたてます。
すごいですね。顎が上がって、頭部は前に。
背部はすごい円背…
なぜか足部をみると、歩隔が狭い…
それがどうなのか…身体の中で何が起きているか。
その予測を立てることが必要なのですね。

動的アライメント

では動的アライメントは?
腰痛で定番の前屈。
では前屈するとこうなんです。
これがいいのかダメなのか。それは解釈次第。
その動作の目的なんだと思います。
例えば、何かを拾うための前屈であれば、このように背中が丸くなろうが、
『拾う』という命題は達成されるわけです。
なので、OKなのですが、
腰痛が出ている。なぜなのか?医学的情報、特に画像の情報がないので、
「その部位が“動いていいのに動かないのか”、“動かない方がいいので動いていないのか”、判断することが大切です」と思います。
組織的・構造的に壊れている。例えば、骨折している。椎間板が変性している。骨癒合できずに偽関節になっている。そうなると、極限まで動かすと痛みにつながります。
そこを目指すのではなく、隣接した部位で掛かる負担を分担し、全体としてよいパフォーマンスを目指した方がより良く動けると思っています。
このクライアントの場合、胸椎を屈曲方向へ過剰に動かし、腰椎を動かしていない、脊柱の運動パターンが問題なのかと思われる。その証拠に静的アライメントでは、各部位を不自然なアライメントでしか保てないほどの軟部組織の短縮をしているのではと予測します。

身体の状態

腰痛から腸脛靭帯炎と診断を受けた膝痛を抱えるので、膝周囲の軟部組織の動きをチェックしてみました。
すると、膝の屈伸では、ハムストリングスが異常にチカラが入ったまま。ぎこちなく動いてしまいます。もちろん最善の補助で防御性収縮が入らないようにしているのですが。
このことから、バックラインといわれる頭部から踵までの筋連結は、日常でうまく使っていないことが予測されます。

統合と解釈

とにかく身体が硬い!
「身体硬いからストレッチして!」
よく整形外科で言われること。ストレッチすれば治るのか??
なぜ硬くしているのかを考察していくと、その原因がわかってくるかと思います。
筋生理学的に考えると、筋の収縮・弛緩がうまくいかない場合、筋硬化を生み出してしまいます。ずっとチカラの入った筋肉は伸びにくい。
関節運動学的に考えると、動いていない関節は固くなってしまいます。しっかり動かすことで(もちろん動作の中で)関節運動を保つことができます。
そう考えると、「筋硬化」「関節拘縮」を見つけると動作の不備が予測されるように感じます。

今回のクライアントさま。
大きな筋群の伸張性がかなり低下しています。そのことで、静的アライメントも崩れている。適切な姿勢がとれないほど、軟部組織が短縮しているのかもしれないですね。
まずは適切な伸張性を持たせるためにアプローチしてみました。
するとアライメントは変わります。
アライメントを変えると、日常で活動する筋群・関節運動は変化すると予測されます。変化した筋活動・関節運動が定着するまで、しっかり徒手による運動の誘発を行います。

アプローチ前後での静的アライメントの違い

まだまだ、大きなユニットでの筋・関節へのアプローチのみに留まりました。今後アプローチを展開していく中で、もっと詳細なユニットに踏み込んでいくことになると思います。
解剖学的にも、筋肉は大きく複数の関節を跨ぐもの、単関節を跨ぐものと様々。理学療法士としてのアプローチも、戦略的に、その構造的特徴に合わせて段階的に行ってみてはどうでしょう。そのイメージ図を作ってみました。

今回のクライアントさまへも、

話を聞くと、腰痛の方が、昔から生じていて、かなり身体活動を行う仕事なので、その活動を行う上で、腸脛靭帯の炎症を生じているのかもしれません。病院にいって、腸脛靭帯炎へステロイド注射を打たれたようですが、それはその場しのぎかもしれませんね。

真の原因は、アプロ―チしてみないとわかりませんが、身体を変化を追いながら、解剖学・運動学的に身体活動をマネージメントしてみようと思っています。


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