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いい関節してるね⁉

こんにちは。忙しさのあまり記事の投稿をさぼっていました。
そんなときもありますね。
変な表題で話を始めましたが、
『「質のいい筋肉しているね」と有名なトレーナーさんに言われました』
運動している選手との会話で、そんな話は聞いたことないですか?
トップアスリートになるべくして必要な要素かもしれません”質のいい筋肉”筋肉の質どのような基準で言われているかわかりませんが、多くの身体を触らせていただく中で、経験から言える”いいね”はあると思います。
ちょっと待て!
”いい筋肉ですね”は聞きますが、”いい関節ですね”は…
聞かないですね。同じ運動器なのですが、不思議なもので。
どのように判断して”いい”のか、ちょこっと考えてみたいと思います。

筋肉の質

筋肉の質については、いろんな話があります。
ざっくりですが、私が考えていることをすらっと書きます。

筋肉は粘弾性を持つと言われます。
伸びて弾力があって…てな感じでしょうか。
材料力学の分野でも粘弾性という表現があります。

液体の流れる性質「粘性」と、固体の変形する性質「弾性」を合わせ持つ性質が「粘弾性」です。この一見関連性のない様に見える性質ですが、実は私たちの身のまわりにあるものはほとんどが「粘弾性」の性質を持ち合わせています。例えば様々なゴム製品が良い例です。衝撃のエネルギーを吸収する「粘性」と、元に戻ろうとするエネルギーを蓄える「弾性」の性質をその製品・用途にあったバランスで利用しています。また、金属・プラスチック・樹脂・フィルムなど他の様々な素材も用途に合わせた「粘弾性」の特長を利用しています。引用:アイティエスジャパン株式会社HPよりhttps://www.gabo.jp/viscoelasticity/elementary.html


元々その方が持っている筋肉の質のようなものもあるかもしれません。
赤筋と白筋、速筋と遅筋の割合は遺伝子レベルで決まっているという話もありますし。
その他に、筋肉の質を決定する要因として、普段の身体活動における活動性もあるのかと考えています。いわゆる使い方ですね。
上手に使っている筋肉は、しっかり伸びるし、収縮する。
うまく使っていないならば質は落ちる。それは容易に予測できることだと思います。関節運動を阻害したり。筋肉の柔軟性の低下、硬化ですね。
これは、伸張ー収縮を繰り返す活動の質によって影響されるのではと考えています。
単純に考えて、筋肉の長さ範囲で十分に伸び縮みできた方がいいのではないでしょうか。
スポーツをする上で、強い筋収縮を必要とするとき、生理学的要素として、伸張反射という機能が筋肉にはあります。直列に配列された腱には腱反射ですね。素早く伸張された筋肉を収縮させるこの機構。術後の膝関節のリハビリ早期でもこのような筋活動はなかなかでないですよね。まっ反動をつけると関節への負担も増えてしまいますから。
以前、アームレスリングの選手のケアをしたことがあります。
あの競技は、特定の肘関節の角度で筋出力が必要な競技。
その選手は肘関節の伸展制限があり過ぎて…
最大出力は大きいんでしょうけど。

また隣接した関節を損傷した過去がある場合、筋肉の質も低下していることが多いです。私も半月板を20年前に手術していますが、大腿四頭筋は委縮しているし、下腿三頭筋はみるから左右差があります。無理してしゃがまないからですかね?ストレッチしても伸び方が左右でちがっています。

筋膜に関しても同じように言えますね。
筋膜は、筋肉を円滑に動かすために組織のように言われています。
しかし使い過ぎで癒着を起こすとも…
使う量の問題なのか、使い方いわゆる質の問題なのか。
これは大きな違いのように感じます。

筋肉が硬くなる。それは生理学的に○○のような筋肉の働くが阻害されているから!と解釈するとリハビリ・コンディショニングをすすめる上で、良いヒントになるように思います。

伸張反射(しんちょうはんしゃ、Stretch Reflex)とは、脊髄反射の一つで、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象。 この収縮は、筋肉の伸展によって生ずる張力を、その筋肉の中にある筋紡錘が感受しておこるものである。引用:特定営利活動法人 日本ストレッチング協会HPより

考えると複雑ですが、伸張性がある。収縮がしっかり入る。伸張反射もOK。関節運動を妨げない。硬化していない…などなど。いろんな評価ができそうですね。医療機関でもリハビリに従事しますが、術後、関節運動を強制的に阻害されると、筋肉に質は確実に落ちますね。この反射的に筋活動は絶対にできない状況に追い込まれるので、仕方がないですかね。
失われた機能を再獲得する。まさにリハビリテーション。頑張って筋肉の質を上げましょう!

関節の質

関節は、Renge of Motion:ROMで表します。動き角度ですね。
動きすぎる関節もあります。膝が伸びすぎて、逆に曲がってしまう水泳選手もいます。
可動域は大きければ大きい方がいいか?
そうではないですね。

関節運動学的アプローチ、AKA(Arthrokinematic Approach)とは関節運動学に基づき、関節の遊び、関節面の滑り、回転、回旋などの関節包内運動の異常を治療する方法である。日本関節運動学的アプローチ協会HPより引用https://www.aka-japan.gr.jp/index2.html

関節運動には関節の外の運動と関節の中の運動があります。
外の運動と中の運動がうまく連動してしっかり関節が動いてきます。

1980年代、オーストラリアやニュージーランドの理学療法の影響を受け、…関節機能に着目した評価、診断そして治療を行う方法が注目され始めた。これは、関節副運動とそれに伴う痛みによって評価する。
この治療法は、今まで行われていたような物理療法で炎症を抑制したり、一般的な運動療法で問題のある部位の筋力を強化するなどとは違ったものであった。関節副運動を利用して評価することは、理学療法士の専門性における大きな転機になったともいえる。
痛みを一時的にやわらげるために物理療法を使うのが主な役割であったが、軟部組織や関節の制限など、障害の原因をつきとめることが理学療法のかかわりの中心となっていた。 引用:Shirley A Sahrmann:運動機能障害症候群のマネジメント,医歯薬出版,2005


このような文章をみると、関節運動として出現する現象を、しっかり診ることができないと、関節の質を評価することはできなさそうですね。
歴史を紐解くと、物理療法して筋トレして…
いまもこのようなアプローチを行っている施設、行ってしまうこと。ありそうですよね。関節運動に関する文章を参照してみましょう。

関節は関節包と呼ばれる袋に包まれています。この袋の中で関節は動くわけですが、この動きを関節包内運動と言い、通常は2つに分類されています。これらの2つは正常な関節運動にはなくてはならない重要な要素です。
その重要な2つの要素とは、1つは骨の運動に伴って起こる運動で構成運動といわれます。もう1つは骨の運動と関係なく起こる動きで副運動と言われます。これは普通の随意運動では起こり得ない運動で、2つのタイプがあります。
1つは随意運動に抵抗が加わったときに起こり、関節の構造的な許容限界まで動く運動です。
もう1つは筋肉が完全にリラックスした状態で、他動的にのみ起こる関節面の動きで、離開(りかい)や滑りと呼ばれるものです。この動きは関節の遊び(joint play)とも呼ばれます。引用:日本関節運動学的アプローチ医学会HPより

整理すると、関節運動には 【1】構成運動 【2】副運動に分けられ、【2】の中には、①随意運動に抵抗が加わった…これが靭帯損傷につながるんじゃないですかね。構造的許容範囲を超えると、関節運動を制御する靭帯組織は無理なストレスにさらされますから。②筋肉がリラックスした状態で、他動的にのみ起こる…これはよく臨床で使っています。関節運動を整えていく過程で、「整ってきた」目安にもなるし、整える手段にもなり得るように考えています。

「関節運動を整える。」そういう考えで、徒手的に触っていくと、「あっ 動きがスムーズになった。」というセラピストの主観と、「楽になってきました。痛みがなくなりました。」というクライアントの主観がリンクする瞬間を経験します。これはしめたもの。もしかしたら、”質のいい”関節運動を身体が再認識してきているのではないでしょうか。

以前経験した例で、プロスポーツ選手の例ですが、
オフシーズンに手術を受けた膝関節。副運動がうまく出ない現状ですが、エクササイズを負荷をコントロールすること、徒手で関節運動を整えることを並行しながら身体を動かしていました。しかしチームはキャンプイン。動画で現状を確認すると、思ったより負荷を強くかけながらトレーニングを行っていました。しかし、シーズン開幕前に膝蓋腱炎にて離脱。


やっぱり関節運動を整えること。周囲の軟部組織の動きにも影響することは明白ですね。
前述した”関節副運動を利用して評価する”ことは、実は障害予防にもつながるのかもしれませんね。

筋の質、関節の質を評価することができれば、動作を阻害する因子を抽出することが容易になります。筋ー関節、それぞれの関係で身体活動への影響を評価・解釈することで、よりよい動きの獲得に利用できないか!!

臨床でも関節運動を評価することで、損傷部位の検討、リハビリメニューの決定などなど、いろんな情報を得ることができます。
実際、行っている動画を参考までに!

このようにみると、「いい関節してるね!」そういう表現で表す身体の状態ってあるのかもしれません。
「いい筋肉しているね」「いい関節しているね」
使ってみようかな…笑笑長々と読んで頂き、ありがとうございました。


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