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理系の必需品!

理系の研究もしくは趣味をもつ者にとって顕微鏡は必須です。就職してお金を貯めてからの使い道は、車でも海外旅行でもなく、顕微鏡です。顕微鏡がちゃんと使えていないことで、研究の不正が見破られたこともあるくらいです。そのため、高校の生物では細胞について学習すると同時に、顕微鏡を使った細胞の観察ミクロメーターの使い方を実験で行います。まずは、細胞のサイズをはじめ実験関係の話をします。

どこまで見える?

分解能という、2点が離れていることを認識できる最小の距離を意味する言葉があります。私たち(もしくは顕微鏡)が見ることができるのはどれくらいの大きさまででしょう?といったところです。教科書では、肉眼0.1mm, 光学顕微鏡0.2μm, 電子顕微鏡0.2nm(1nmは1μmの1000分の1)となっています。
問題集には、細胞の大きさを問う問題があるのですが、教科書や資料集にある細胞を全部覚える必要はありません。肉眼でも見える最大級の細胞(ダチョウの卵, 坐骨神経), 肉眼の分解能と同じサイズの細胞(ゾウリムシ), 赤血球, 大腸菌,光学顕微鏡の分解能より小さいウイルスを覚えるくらいで十分です。

ミクロメーターで筋肉を観察している様子です。1目盛りの長さが、2.5μmなので、筋肉のシマシマの長さがわかりますよね。

長さの測り方

肉眼で見えない物の長さをどのように測るのかというと、ミクロメーターという器材を使います。ミクロメーターには、対物ミクロメーターと接眼ミクロメーターがあります。接眼ミクロメーターは、接眼レンズに入れて使います。接眼レンズにミクロメーターを入れると、視界に常に定規のメモリのようなものが見えます。これでスライドガラスの上に乗っている標本が何目盛なのか分かります。ただ、対物レンズの倍率を変えるたびに標本の大きさが変わるので、接眼ミクロメーターの目盛りの長さは、対物レンズの倍率によって変わります。そこで利用するのが、対物ミクロメーターで、こちらは1目盛りが10μmと決まっています。そのため、事前に対物ミクロメーターの目盛りと接眼ミクロメーターの目盛りを合わせて長さを決めておく必要があります。

この図の場合、対物ミクロメーター10目盛りが、接眼ミクロメーター4目盛り分に相当します。ということは。接眼ミクロメーター4目盛りの長さが、100μmになります。なので、接眼ミクロメーター1目盛りは25μmになります。

交われば赤くなる

細胞を観察するためには、生物の体から細胞を取り出すところから始まるのですが、これは簡単です。動物細胞であれば、自分の口の中を爪楊枝の持つ部分で擦るだけです。植物細胞は、玉ねぎの内側をはがすことで観察できます。ただ、どの細胞も半透明なので、そのままでは何も見えません。そこで、染色液を用いて観察できるようにします。酢酸カーミン酢酸オルセインは細胞内の核酸に結合することから、核や染色体を染めます。また、ヤヌスグリーンはミトコンドリアを染める事ができます

こんなかんじではがします。

染色は細胞の観察だけではなく、細胞が集まってできた組織や寄生虫の標本作製にも使われます。私が研究対象にしている扁形動物門に属する単生類や吸虫類は半透明なので、エタノールやホルマリンで固定すると真っ白になって、体の内部構造が観察できません。そこで染色して生殖器官を観察できるようにしますが、ハイデンハインの鉄ヘマトキシリンアラムカーミンで染め分けをします。主に使用する染色液は鉄ヘマトキシリンで、器官どうしをつなぐダクトを見やすくしています。また、器官を構成している細胞を観察したい時にはアラムカーミンを使っています。

左が鉄ヘマトキシリンで染色した寄生虫の標本で、右がアラムカーミンで染色した標本でピントが合っていません。

最後に、私が持っている顕微鏡の話をまとめていますので、よろしければご覧ください。


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