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カイジュウヤドリムシ

みなさんはどの様なジャンルの映画が好きですか?ド派手なアクション、先の読めないサスペンス、心温まる恋愛ものなどなど。選択肢がたくさんあることは良いのですが、自分の嗜好に合わない作品は、世間やネットのレビューの評価が高くても好きになれないことがあります。そのため、自分が気に入っても知人には薦められない映画も多く、パシフィック・リムはそんな映画の1つでした。

13年に突如、太平洋の深海から巨大生命体が出現し、世界中の大都市は次々と破壊され、人類は絶滅の危機にさらされる。そこで人類は巨大生命体と戦うために英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発。一時は巨大生命体の侵攻を食い止める事に成功するが、再び彼らの猛威にさらされる事に。というのがパシフィック・リムのストーリーです。ちなみに、太平洋の深海から現れる巨大生命体は作中でKAIJUと呼ばれています。要は、日本の特撮とロボットアニメの大好きな監督が、自分の趣味を詰め込んだ映画になっています。

監督が観ていたであろう特撮やアニメは昭和のゴジラや鉄人28号だと思いますが、各国代表のマシンやパイロットの動きを反映する操縦法など1990年代のメカ物によく出てきた設定も登場していました。日本であればGガンダムやエヴァンゲリオンなどを観ていた世代もとりこむつもりだったのでしょうか?いわば、「オタクが好きなものを詰めこんだ映画」だなと、メカ物のアニメや映画、特撮が好きな人は気にいっていましたが、そうでない人は冷めていました。

ただ、あまりアニメや特撮に興味をもっていない人とこの映画のあることで盛り上がったことがあり、それが「闇商人がKAIJUの寄生虫を売っている」ということでした。SFにはそれなりの頻度で寄生や寄生虫が登場します。有名なSFホラーのエイリアンは卵を人間に産みつけますし、人間にきせいして乗っ取る設定の作品もあります。体の中に得体の知れない物がいるというのはよい設定になるのだと思いますが、パシフィックリムでは闇商人がKAIJUの寄生虫をチラッと見せて終わりです。しかも、それらの作品ででてくる寄生虫(寄生生物)はグロテスクで恐怖を感じる風貌であることが多いのですが、この作品の寄生虫は等脚類そのものでした。それとも、生物に興味のない人にとっては等脚類も恐怖を感じる風貌なのでしょうか?

寄生性の等脚類:ウオノエ(多分これはカイワリに寄生していたのでシマアジノエかと)

等脚類というのはダンゴムシやダイオウグソクムシなどが属している甲殻類の1グループです。寄生性の等脚類として有名なのがマダイの口の中にいるタイノエなので、もしかしてKAIJUの口の中に寄生していたのかなど話をしていました。KAIJUは別の世界(惑星)からやってくるわけだから、地球と同じではないのかと考える方もいるかもしれませんが、”収斂進化”という現象があります。簡単にいえば、全く違う種類の動物であっても生息する環境が似ていれば同じような特徴を持つように進化するということです。例えば、モグラの前脚と同じく地中に生息するケラの前脚の形態は同じようになっています。なので、KAIJUは生まれた環境は地球と似ており、タイノエのような寄生性の等脚類がいたということは海を生息場所にしているのではないでしょうか?あと、和名をつけるとしたらカイジュウヤドリムシとかどうでしょう。


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