教育の未来は
教育の未来への懸念
つい先日、わが県の2025年度公立学校教員採用試験の結果が報道された。受検倍率は2.3倍で2000年度以降で最低、特に校種別では小学校が1.3倍だったと発表された。
1.3倍というと、「受検したらほぼ受かる」状況だ。自分が受検した30数年前は、その年によって多少の差はあれど、平均して3倍以上の倍率はあった。10人受けて3人チョット合格するかどうかの世界だったから、大学のゼミ仲間と学習会を開き、採用に向けて必死に勉強した記憶がある。
こうした状況が続くと、懸念されることがいくつかある。その最たるものは、教員の質の低下と教員の絶対数の不足だ。合格者の中には、1.3倍だからまあ、とりあえず受かるだろうから試しに受検してみようという人、公務員試験や民間企業の試験と掛け持ちをして”すべり止め“と考えている人なども相当数入っている可能性が高い。いわゆる本当に教員をめざそうとして受検したわけではない人も合格者に含まれているわけで、そういう人は仮に合格したとしても、あっさりと採用を拒むか、学校現場では長続きしない場合も多いだろう。
そう考えると、確保した採用数があっさりとマイナスになってしまうことは想像に難くない。こうして教員不足が慢性的な課題となる。
もちろん、教員になりたくて受検した人もたくさんいるとは思う。ただ、倍率の低さを考えると、必ずしも教員になることを望んでいなかったのにやむなく採用を受け入れ、現場に立っているという人がいてもおかしくはない。教育という仕事に情熱をもてないまま教師を続ければ、直接影響を受けるのは子どもたちである。
受検者確保のためには
新聞報道によれば、教育委員会は「全国的に深刻化している教員のなり手不足の影響で受検者が減少し、倍率低下につながった」といい、今後の受検者確保の対策として「高校生や大学生に教職の魅力を伝える取り組みを続ける」と述べている。
受検倍率低下には様々な原因があり、受験者の確保は口で言うほど簡単ではない。特に、就職を目指す若者たちが、教員の労働条件や労働環境の劣悪さを見聞きして、教職を敬遠しているのがその一因であり、ここが根本的に改善されなければ倍率低下は今後も継続するのではないかとは思っている。
一方で、教職という仕事の魅力は計り知れない。特に、子どもが人として育ち、自立していく過程を目のあたりにできるところにこの仕事のすばらしさや尊さがあると思う。
このnoteでは、聴き合いによって学ぶ子どもたちがすくすくと育っていく姿をとおして、教育現場に身を置こうとしている人々に、教職のやりがいやすばらしさを少しでも伝えることができればと考えている。