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第2回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 概要

第2回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 概要(本文3,166文字)
 
厚生労働省は、食品ロス削減目標達成に向けて、令和6年09月13日に「第2回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会」を開催しました。検討内容のエッセンスをまとめます。
 
 
<趣旨>
厚生労働省健康・生活衛生局による開催要綱(令和6年7月4日)から抜粋・引用

持続可能な開発目標(SDGs)の目標12(持続可能な生産消費形態を確保する)を踏まえて、令和元年に制定された食品ロスの削減の推進に関する法律(令和元年法律第19号)に基づく基本方針により、食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させることを目標とし、令和5年12月22日に開催された食品ロス削減推進会議において、「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」(以下「施策パッケージ」という。)が取りまとめられた。
施策パッケージでは、食べ残しの持ち帰り場面において、その食品衛生上の取扱いに関する事項を整理することが、外食事業者側と消費者側双方の食べ残しの持ち帰りに対する共通の意識を持たせる上で有効であると考えられている。
こうしたことから、食べ残しの持ち帰りは自己責任であることを前提としつつも、食中毒等の発生予防の観点から、消費者及び外食事業者の食品衛生に関する留意事項を示したガイドラインを作成することは、双方の行動変容を促し、もって食品ロスの削減に資するものである。
このため、「食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会」(以下「検討会」という。)を開催する。

これまで「食べ残しの持ち帰り」については、消費者庁、農林水産省、ならびに環境省との協議を経て、それぞれ一般的な留意事項をホームページに掲載しています(4省庁の取組については<参考情報>にあるとおり)。
今回、厚生労働省が食品ロス削減目標達成に向けて踏み込んだ検討を行うのは初の試みとされ、外食時の食べきり啓発の促進と並行させつつ、食中毒等の発生予防の観点から、食べ残しの持ち帰りは自己責任であることを前提としたガイドラインの作成を進めるものです。
 
 
<議事次第>
(1)事業者ヒアリング
(2)今後の予定
(3)その他
 
 
<事業者ヒアリング概要>
1. 株式会社アレフ: 「食べ残し持ち帰り」の取り組み

同社は1968年に創業し、現在は357店舗(直営144店、フランチャイズ213店)を展開している。従業員数は正社員712人、パート3247人であり、2024年3月期の年商は489億円である。
2021年4月26日から「びっくりドンキー」全店で食べ残しの持ち帰りルールを統一し、運用を開始した。これにより、食品事故防止と食品ロス低減を目的としている。持ち帰りはお客様の自己責任であり、指定の有料容器(40円)を使用する。持ち帰り可能な食品は生ものや傷みやすいものを除く。
「モッテコ」という取り組み名のもと、環境省と協力して食べ残しの持ち帰りを推進している。持ち帰りの際には、衛生面に配慮し、加熱の際には別の容器に移すことを推奨している。持ち帰りに関する問い合わせはなく、従業員には共通マニュアルで衛生教育を行っている。
 
2. 城山観光株式会社: 食品の持ち帰り「mottECO」の取組みについて
同社は、2023年11月から「mottECO」のトライアルを開始し、2024年4月より本格導入した。トライアル期間中、宴席7件で334個の利用実績があった。鹿児島県内の外食産業「康正産業」と共同で導入し、鹿児島市ごみ削減課とも連携している。
「mottECO」は、環境省・消費者庁・農林水産省が推奨する食品ロス削減啓発運動であり、飲食店で食べきれなかった料理をお客様の自己責任で持ち帰ることを推奨している。持ち帰り可能な食品は中心温度75度で加熱したものに限られ、容器への移し替えはお客様自身で行う。持ち帰りの際には、十分に再加熱し、見た目やにおいに異変があれば食べないように注意喚起している。
アンケート結果によると、回答者の84.2%が食品ロス削減を意識しており、持ち帰った食品はほとんどが消費されている。今後の普及に向けては、導入店舗の拡大や市民へのPR活動が必要とされる。
 
3. 株式会社筑波学園ホテル: ホテルが取り組むフードロス
株式会社筑波学園ホテルは、2020年9月にフードロス削減プロジェクトを発足し、2023年7月から「mottECO」を導入した。ホテル日航つくばでは、食べ残しゼロを目指し、環境省推奨の「mottECO(持ち帰り容器)」をレストランや宴会場で活用している。2024年4月からは有償化し、対象店舗は2店舗、宴会場である。
ホテル日航つくばは1983年に開業し、現在は164室の客室と最大700名収容可能な宴会場を持つ都市型ホテルである。2023年6月には、SDGsを実践する宿泊施設として「サクラクオリティグリーン」の認証を取得した。
フードロス削減の取り組みとして、規格外野菜のメニュー販売やフードバンクの「きずなBOX」設置などを行っている。特に「まつりつくば2023」では、規格外野菜を使用したメニューが完売するなど、地域との連携を強化している。
持ち帰り可能な食品は中心温度75度で加熱したものに限られ、容器への移し替えはお客様自身で行う。夏季期間(6月~8月)は利用を停止している。持ち帰りの際には、十分に再加熱し、見た目やにおいに異変があれば食べないように注意喚起している。
アンケート結果によると、持ち帰った食品はほとんどが消費されており、問い合わせやクレームはない。保健所からの指導も特にないが、食中毒発生時には通常の調査が行われる。
 
 
<事務局による説明(事業者事前ヒアリング)>
食べ残しの持ち帰りに対する事業者の対応は、食品の種類や季節、リスク管理の観点から大きく異なる。持ち帰りを認める事業者は、消費者の自己責任を強調し、特定の条件下でのみ実施しており、一方、持ち帰りを認めない事業者は、食中毒リスクや営業停止のリスクを懸念している。食品ロス削減の取り組みは進んでいるものの、安全性確保とリスク管理が重要な課題となっている。
 
1. 食べ残しの持ち帰りを認めている事業者
・事業者A・・・生もの以外の食べ残しを無償容器で持ち帰り可能とし、消費者が自己責任で詰める。6月から10月は持ち帰りをお断りしている。
・事業者B・・・生ものや汁物以外の食べ残しを無償容器で持ち帰り可能とし、早めに食べるよう口頭で伝達。自己責任であることをHPやメニューブックに記載している。
・事業者C・・・パンや加熱調理品を無償容器で持ち帰り可能とし、温かい場所に置かないことや再加熱を推奨。夏季期間(6月~9月)は休止している。
 
2. 食べ残しの持ち帰りを認めていない事業者
・事業者D・・・食中毒リスクや営業停止のリスクを理由に持ち帰りを認めていない。「3010運動」の声かけを一部の宴会で実施している。
・事業者E・・・食中毒リスクや持ち帰り後の管理状況が不明なため、持ち帰りを認めていない。「3010運動」の声かけを一部の宴会で実施している。
・事業者F・・・以前、揚げ物やチャーハン、パンなどの加熱した食べ残しの持ち帰りを認めていたが、現在は中止している。「3010運動」の声かけを一部の宴会で実施しているが、ビュッフェ形式での提供のため、持ち帰り可能なメニューを限定することが難しい。
 
3. 食べ残しの持ち帰りを積極的ではないが一部認めている事業者
・事業者G・・・ パンや小菓子の持ち帰りを認めている。「3010運動」の声かけを一部の宴会で実施し、ビュッフェをオーダー式に変更するなどして食品ロス削減に取り組んでいる。
 
 
<配布資料>
議事次第・参加者名簿
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001297567.pdf
資料1 参考人資料:(株)アレフ(「食べ残し持ち帰り」の取り組み)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001303286.pdf
資料2 参考人資料:城山観光(株)(食品の持ち帰り「mottECO」の取組みについて)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001297569.pdf
資料3 参考人資料:(株)筑波学園ホテル(ホテルが取り組むフードロス)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001297570.pdf
資料4 事務局説明資料(事業者事前ヒアリング)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001297571.pdf
(参考資料)第1回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 事務局説明資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001303287.pdf
 
 
 
<一次情報>
「第2回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会(ハイブリッド会議)」を開催します(開催案内)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43001.html
第2回 食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43161.html
 
<参考情報>
第1回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 概要

「第1回食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会(ハイブリッド会議)」を開催します(開催案内)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41404.html
第1回 食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン検討会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41407.html
【厚生労働省】食べきれなかった料理を持ち帰る際の留意事項
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/01_00022.html
【消費者庁】外食時の食べきり
https://www.no-foodloss.caa.go.jp/eating-out.html
【農林水産省】外食における食品ロス対策
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/170516.html
【環境省】「motteECO(モッテコ)」ダウンロードページ
https://www.env.go.jp/recycle/food/motteco.html
第9回食品ロス削減推進会議(2024年7月2日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/review_meeting_002/038612.html
第9回食品ロス削減推進会議 概要
https://note.com/fir_institute/n/n46ab2c51476d
【消費者庁】食品ロス削減推進会議
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/review_meeting_002/
 

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