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ハイブリッドのアートワークショップを企画(フィンランド×日本) 【前半:企画編】

2021年4,5月にフィンランドと日本を同時にオンラインで繋ぐアートワークショップをフィンランドセンターと企画・運営をしました。
対象は20歳以上の英語を話せる方。フィンランドの会場はDidrichsen Art Museum、日本の会場はメッツァパビリオンです。

ワークショップの内容に関してはこちらに寄稿しているのでぜひご覧ください。
https://note.com/lapuankankurit/n/n41923c5f644c

合わせてワークショップ告知サイトです。
http://www.finstitute.jp/ja/2021/04/09/sensory-art-journey-finland-x-japan/

こちらではワークショップのプログラム設計の過程を紹介しようと思います。ワークショップの裏側の話になるので、参加者の方があまりご覧になられていないことを祈り・・・。

■始めたきっかけ
私の大学院での研究テーマは、どのように五感・アートを使った会社員の方の多様性を認め、創造性を高めれる企業研修を考えることです。アートや五感に触れることで、色々な考え方を受け入れることができたり、多角的に物事を捉えるきっかけが生まれます。それを創造的に仕事をする上でどのように役立てることができるのかを考えています。
ワークショップを企画したのは、テスト的にハイブリッドでアーティストを入れたワークショップをどのようにできるのかを試したい、どのような課題が出るのかを知りたいという思いがありました。

またアーティストの田中紗樹さんとしたフィンランドに来る前に、一緒にフィンランドと日本を繋いでアートワークショップをしたいねと話していました。その約束を実現したいという想いが強く働き、企画実現に至りました。

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■ワークショップの概要と目的
概要
旅行できないけれど、アートは旅をできる、とフィンランドと日本をアートで繋ぐワークショップ。日本とフィンランド同時開催、描いた絵が互いの国を行き来し、最後一つの作品になります。
主催:フィンランドセンター                     アーティスト:日本-田中紗樹  フィンランド-Sanna Kananoja

1日目
・アーティストトーク
・Didrichsen Art Museum/公園(有栖川宮記念公園)を探索(オンラインで両国と繋ぎながら)
・森で見つけたものを元に、感覚を使って絵を描く
・日本/フィンランドの参加者とオンラインで描いた作品について意見交換
~~~描いた絵を実際に郵送しフィンランドと日本で交換~~~

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2日目
・フィンランド/日本から送られてきた絵と自分達の描いた絵を使ってアーティストと参加者で一つの作品を仕上げる
・フィンランドと日本で出来上がった作品の違いなどについて語る

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目的
・コロナ禍でフィンランドと日本の行き来ができない中アートで両国を結ぶ
・参加者がリモートで同じアート体験をしながら違いの国の違い、似ているところに気づきを得る
・他国の人とアートを通じて交流することで考え方を広げるきっかけを作る

■協賛パートナーを見つけるまで
まずは企画書を英語でざっくり作成して、大学院のProject Managementの授業でクラスメイトの意見を聞きながら案を練りました。
そして練りにねった提案書を持って知り合いを当たりました。以前ワークショップを行った美術館EMMAの担当者の問い合わせたものの、スケジュールが合わないと断られ、KIASMAで働いていた教授に聞くもリニューアル中のため難しく。その際になぜその美術館でないといけないのかが足りないと指摘をもらいました。
そこで知り合いの方に、フィンランド大使館の広報部の方を繋いでもらうよう依頼をしました。そしたらフィンランド大使館の方がフィンランドセンターが企画にマッチすると紹介をしてくれ、実現することになりました。

■実現までの過程
フィンランドセンターには提案書、予算、スケジュールを初回のミーティングで提案しました。コロナ禍での実現可否や会場など課題はありましたが、前向きに捉えてくれ、一緒に企画することに!アーティストのパフォーマンス費用、材料費などはフィンランドセンターの予算内で。

そこからは関係者、アーティスト2人と連絡を取り合い、内容を詰めていきました。
一番ネックだったのが日本とフィンランドそれぞれの会場と日程。日本の一番の候補に上がっていたフィンランド大使館内のメッツァパビリオンは、緊急事態宣言と、オリンピック開催の有無などで使用できるかわからず。そこでフィンランドセンターがDidrichsen Art Museumを紹介してくれました。フィンランドセンターのセンター長がDidrichsen Art Museum Foundationのボードメンバーであることから政治力が働きました。そこから館長に企画詳細を説明し、どのように施設を使えるか、日程の交渉をしていきました。
館長は優しく、これもいるよね、あれもあったらいいね、とPCを繋ぐプラグや、当日のコーヒーとシナモンロールの手配をしてくれました。フィンランド人の働き方なのか、私立美術館ということもあり、とても融通が聞き親切でスムーズでした。
最後にダメもとでワークショップの最終作品を展示させてくれないか、お願いをしたら場所を作ってあげると、企画展会期中にも関わらずスペースを作ってくれました。

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■プログラム設計
プログラムの大枠はフィンランドと日本の共通点、実現性、目的に添い私が固め、田中紗樹さんと詳細を詰めていきました。ハイブリッドでの開催だったのでどうフィンランドと日本の参加者の参加している感覚を強く生むかが大きな課題でした。
パキスタンからリモートで勉強しているクラスメイトから、アドバイスを受け、ワークショップで作った作品を互いの国で送り合うという内容を加えました。リモートで授業に参加している子ならではのリモートでも参加者同士の繋がりが生まれるアイディアでした。
説明やアーティストの話よりも能動的にやる部分を長くした方が満足度が高まると、アートのワークショップを企業と行ってきた経験のある田中紗樹さんからアドバイスを受け、今回でいう、森からのインスピレーションを受けて絵を描く部分、と最終作品を仕上げる部分をなるべく長くしました。
進めていくうちにやりやすい方へと内容がずれていってしまいそうになりますが、参加者がハイブリッドでもそれぞれの国と繋がりを感じることができるか、より発見が多くなるかを第一優先に設計していきました。

多くの人に支えられ、実現することができたワークショップでした。誰かにやらされているのではなく、自分の中から好きな人とこれをやりたい・やれたら楽しい、という思いがあると、自分でもその執念に驚くほど実現に向けて突っ走れるものだなと。

次回は今回のワークショップでの学びを紹介します。

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