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☆ 猫の派遣社員 みぃこ(7) ☆

みぃこがご飯をひとりで食べるのは、今日が初めてです。

「いつもはクロさんが見守ってくれてたけど、今日からは、みぃこひとりで食べないといけないんだ。クロさんから、ここのおうちは安全だと思うけど、危険なことがあるかもしれないから、ご飯のときは油断しないようにねって言われたから、用心しながらご飯を食べないと…。」

みぃこはあたりをキョロキョロしながら、ご飯を食べはじめました。

「はぁ…周りを気にしながら、ご飯を食べるのって大変。いままでは、クロさんが見守ってくれてたから、安心して食べられたけど、色々と気になっちゃって、落ち着いてご飯食べられない…。」

みぃこはご飯を残してしまいました。

「みぃこさん、ご飯食べないの?」

窓際で、みぃこのことをみていた福が話しかけました。

「福くん、周りのことが気になって、ご飯食べられないんです。いままではクロさんが見張ってくれていたから、ゆっくりご飯食べられていたけど…。」

「周りなんて気にしなくていいんじゃないの?」

「ダメなんです。お外は危ないことが多いのです。油断していたらダメってクロさんに言われたんです。」

「そっかぁ…。ごめんね、ぼくはお外に出たことないから、お外がそんなに危ないなところなんて、しらなかったよ。おうちの中は、お母さんやお姉ちゃんが、ぼくが危ない目にあわないようにしてくれているから。」

「いいな…すごくうらやましいです。みぃこもおうちの子になりたいです…」

「みぃこさんなら、ここのおうちの子になれるんじゃない?」

「そうですかね…。」

「うん。だってね、お母さんが、みぃこがおうちのこになるのどう思う?ってよくぼくに聞いてくるよ。」

「そうなんですか!!それはすごくうれしい!」

「うん。けどね、クロさんとみぃこさんが、お庭でお話しをしている姿を、お母さんは仲良しさんだと思ってるから、クロさんとみぃこさんを離れ離れにするのは、かわいそうなんじゃないかと悩んでいるんだよ。」

「そうなんですか。クロさんとはおしごとのお話しをしているだけなんですけどね。お母さんには、わからないですもんね。」

「あとね、みぃこさんのことを、ナデナデしてみたいって言るよ。もっと近くにきてくれたら嬉しいのになって言ってた。」

「そうですよね、いつもクロさんがお母さんの足元でスリスリしてナデナデしてもらっているのを、少し離れたところから、みぃこが見ている感じですもんね。みぃこ、お母さんのことは大好きなんだけど、足元に行くのが、なぜだか怖くて行けないんです。でも、お母さんがナデナデしたいって思ってくれているのなら、みぃこがんばらないといけないですね!」

「ぼくは、あまりナデナデが好きじゃないんだけど、でもね、ナデナデされると、とってもしあわせな気持ちになれるよ!ナデナデしてくれている、お母さんやお姉ちゃんのお顔も、とってもしあわせそうなお顔になるんだ。だから、みぃこさんもナデナデされるようにがんばってみて!」

「確かに。クロさんをナデナデしているお母さんのお顔は、とてもしあわせそうで、クロさんも嬉しいお顔してました!」

「みぃこ、少しずつだけどがんばってみます!」

「みぃこさん、ぼくが見守っていてあげるから、ご飯食べちゃってください。ご飯を残したら、お母さんが心配しますので。」

「ありがとうございます。そうですよね、心配かけちゃダメだから、みぃこがんばってご飯食べますね!」

今日から始まるひとり暮らし。不安はあるけど、お母さんは優しいし、おしゃべりは苦手だけど、福くんも見守ってくれている。はやくお母さんに気に入ってもらい、正社員になりたい!そのためには、勇気をだしてお母さんのそばに行こう、そうみぃこは決意しました。


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